はじめに
これは出産の立ち合いから学んだことに関する覚書です。出産の付き添い,立ち合いを考えている男性の参考になればと思い,書き記します。
私はあくまで教育者なので,教育的視点からお話します。
なお,実際に出産の場面に立ち会うかどうかはともかく,出産前の陣痛の段階(付き添い)には仕事を休んででも付き添ってあげるべきだと考えます。
妻がどうやって産んだのか,この子はどうやって産まれて来たのか,知っておくことで,より妻への尊敬の念,子どもへの愛情が深まるはずです。
立ち合い可能かどうかの確認
私の妻の場合は,私が立ち合いたいという希望を常々言っていたこともあり,快く承諾してくれましたが,妻によっては立ち合いして欲しくないと思う人もいるはずです。
やはりあの壮絶な場面,様子を見られたくないという気持ちはよくわかります。
血が苦手とか,スプラッターがダメだとか,そういう話ではなく,見られたくないなら無理に立ち会うべきではないかも知れません。
また,既に子どもがいる場合は,その子の年齢にもよりますが,年が離れていないならば,預ける,もしくは男性が見ておく必要があると思います。
個人的には寄り添っていた方がいいとは思いますが,事情もあると思いますので,二人で事前に話し合っておいた方がいいでしょう。
また,病院側にも事前に確認し,意思を伝えておくといいと思います。
最近は立ち会える所が増えているという話は聞きましたが,状況や赤ちゃんの状態によっては難しいこともあるかもしれません。
付き添い時の服装,持ち物について
・とにかく動きやすい服装!見た目とか気にしてられません。
・汗を吸いやすい服装。
・温度調整しやすい服装。
・脱ぎやすい,はきやすい靴。
陣痛が始まると女性は壮絶な痛みとの戦いが始まります。
その痛みを和らげるために看護師,助産師さんから腰のあたりかお尻を押し上げるように押してあげるように言われます。
その時に押す力がとにかくいります。
マッサージとかそんなレベルではなく,めちゃくちゃ強く押してもイタイイタイと言います。
最初強く押しすぎて痛いのかと思いましたが,緩めると「痛い!もっと押して!」と言われます。
私が貧弱というのもあるかも知れませんが,てこの力を利用して,全力で押し続けなければなりませんでした。
そんなわけで服装は実用第一で選ぶべきでしょう。
初めてら予行練習をしておいた方がいいかも知れません。
私は正直なめてました。
付き添い時の持ち物について
・カイロ(病院の持ち物リストにないけど)
・ウイダー inゼリー(食事どころじゃなくても体力が必要)
・力を加えて押しやすいもの(練習してみた方がいい)
上記は病院で準備するように教えられたリストには書いていなく,急遽追加で用意したものです。
カイロは夏でもあるといいかも知れません。
足や腰のツボを温めると,お産が進むそうです。
ウイダー inゼリーは食事ができない状態になった時にあるといいようです。
出産は体力勝負とは聞いていましたが,それでも想像を超えた体力勝負でした。
人にもよると思いますが,普段泣き言を全く言わず,痛みにも強い私の妻は,痛みに叫んで,意識を失っての繰り返しでした。
力を加えて押しやすいものというのは,腰とお尻を強く推すことになるのですが,素手だと限界があります。
テニスボールがいいと言われていますが,握って力を加えやすいマッサージグッズはあった方がいいと思います。
カメラについて
何のために映像を残すのか,によると思いますが,おそらく自分や妻の記録用,子どもが成長した時に見る用が大半だと思います。
ここで重要なのは自分の記録用ですが,映像を取るよりも,自分の目で見届けた方がいいと思います。
映像を見てもあの時の臨場感は伝わってきません。
また,自分のああいう姿は見られたくないと思いますし,記録に残したいとも思わないはずです。
撮影に集中するよりも,寄り添ってあげた方がいいでしょう。
子どもが成長したときのための記録としては,写真が数枚あれば十分ではないでしょうか。
どうせ映像では伝わり切りません。
写真を見せながら話しを聞かせてあげて,雰囲気と様子が伝わる方がいいでしょう。
次の項目と関連することですが,「カメラとかいいから!」と言っていましたが,生まれてすぐの赤ちゃんの写真,生まれてすぐ抱いた時の写真はとても喜んでくれました。
私の場合,カメラは持っていたものの,とても撮影している場合ではなかった(隣について励ましていた)ため,産まれて一息ついている間にパシャパシャとったこの数枚しか取れなかったのですが,かえってこれで良かったと思いました。
撮影に集中するより,一緒に乗り切る方が後悔しないと思います。
陣痛中の状態について
男性は何もできずにオロオロするだけになりますが,何かしてあげようと思って妻に聞いても,妻は判断できる状態にありません。
「そういうのいいから」という状態になります。
よって妻の判断が正常にできる内にやれること,やることを決めておくか,男性がその場で判断するしかないでしょう。
なお,陣痛中に妻にお伺いして行動しても,記憶がない,意識が朦朧としているため,言われた通り動いても後で怒られる可能性があります。
「そう言ってた!」は通用しないので,男性が適切に判断しなければならない,と思っておいた方がいいでしょう。
仮にそういう状況になったとしても,絶対に女性を責めるべきではありません。
立ち合いをすることの意味
私は教育者ということもあり,友人には教育者が多くいます。
それゆえかも知れませんが,みなさん「立ち合いは絶対にするべき!」と話していました。
その影響もあって私も立ち合いはしたいと思っていたのですが,やはり立ち合いはしたくない,できないという話も聞きます。
最近の若い方はゆとり教育の良い意味での影響からか,立ち会いたいという方が増えているようです。
血がダメとか生理的に無理という状態であれば,無理して立ち会う必要はありませんが,個人的には何人目であっても立ち会った方がいいと思います。
やはり立ち会うと世界観が変わります。
なお,世界では宗教や考え方の違いもあるため一概には言えませんが,立ち合いOKとしている国の人は,基本的には立ち会うそうです。
日本では6割と意外と多そうですが,これでも全然少ないと感じます。
出産の場面とまでは行かなくとも,陣痛の段階まででも可能なら全員付き添って欲しいぐらいです。
仕事が休めない,帰省しているから,様々な理由で立ち会えないのでしょうが,それが家族を顧みずがむしゃらに働くことが美徳,といった考え方に社会を向けている気がします。
実際,今の60歳以上の世代は,今の世代よりも立ち合いしている人の割合が低いですからね。
これを読んで下さってくれている方に,出産を控えた部下がいらっしゃる方がいる場合には,会社を休ませてでも出産に立ち会わせてあげて欲しいと思います。
実際に立ち会うかどうかは別問題として,その時間は与えてあげて欲しいのです。
働き方改革で残業制限や給与,規制といった表面的な部分で変えていくことも大切だとは思いますが,本質的にパートナーと一緒の時間,子どもとの一緒の時間を大切にしたいと思えるようになれば,自然と優先順位が変わって来るのではないかと思います。
働くのがダメだとはいいませんが,法律違反をしている状況で,自分の身を犠牲にしてまで働くことはいいとは思えません。
会社のため,お客のため,なんていうのは組織に都合がいいだけの戯言です。
どこぞの高校の理事長は,「有給休暇を取るような無責任な先生はこの学校にいらない!」などと無責任極まりない責任者にあるまじき発言をしていますが,そんな教育が子どもを育てる教育現場ですらはびこっている状況だから,いつまでたっても自己犠牲の美徳という考えがなくならないのだと思います。
自分にとって今後の人生において本当に大切なことは何なのか。
それをハッキリさせておくためにも,父親となる男性には,極力立ち会って,出産だけでなく,その後においてもパートナー,子どもを支えてあげて欲しいと願っています。
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