受験にどう役立つ?
埼玉県の水道水がカビ臭いとのことで問題になりました。
ニュースになったのは最近ですが,実は以前から問題視されており,それがやっと解決の目途がついたとのことで,ニュースになりました。
原因から話してしまうと,川が綺麗になったためにかび臭くなったのです。
川は綺麗な方がいいと言われてきましたが,水だけが綺麗になっても問題を引き起こす事例ですね。
机上ではシンプルな形で習いますが,生態系のバランスというのは,見た目以上に繊細かつ複雑に入り組んでいるのです。
このような生態系に関する因果関係は度々出題されるため,感覚を養っておくにはいい題材でしょう。
なぜ川は綺麗になったのか?
埼玉県の河川の汚れ具合を示すBOD(生物化学的酸素要求量)は,1998年が5.1mg,2018年は2.0mgと半分以下に抑えられており,かなり綺麗になっています。
BODというのは,要するに分解すると悪臭を放つ物質です。
BODが多いということは,微生物が分解する量が多いため,悪臭も強くなる,ということです。
この用語自体が入試で出ることはあまりありませんが,「上流ほど汚れが少なく,下流に行けば行くほど汚れが多くなる」という,この汚れがBODです。
つまり,埼玉は利根川の上流に当たるため,千葉,茨城と比べても水が綺麗なんですね。
実際場所にもよりますが,埼玉は関東の水質ランキングで1位になっている川もあります。
減少した要因は生活排水による意識の高まりで,生活排水による汚染が減少したため。
そして下水道と浄化槽の普及が進んだためと言われています。
なぜ綺麗になると悪臭が強くなるのか?
川が綺麗になったというのはあくまで水質の話であり,匂いその他の話ではありません。
しかし水質が改善されれば,水の汚れは減るはずです。
実際埼玉の河川の水は見た目も綺麗になったといいます。
ところが綺麗になると,光を良く通すため,藻類が光合成しやすくなる。
そして川の水は汚れが減っているとはいえ,藻類にとっては栄養価が高い,つまり肥料が入った水が流れてきているような状況になるわけです。
すると藻類が大量に繁殖してしまうのです。
藻類が増えると魚も増えます。
そしてそれらが死滅すると異臭の原因となるのです。
さらにここ最近の豪雨による水流の増加で,川底に溜まっていた泥が引っ掻き回され,蓄積していた腐敗臭の強い物質が出てきたのだろうと言われています。
どう解決する?
埼玉の浄水施設は5か所ありますが,その内1か所は今回のようなかび臭い匂いが出なかったといいます。
その浄水施設は三郷市にある新三郷浄水場で,ここでは高度浄水処理をしています。
高度浄水処理というのは,オゾンと生物活性炭吸着方式を利用した浄水方法で,これを他の4か所にも導入することで解決を目指します。
しかし浄水場はあくまで浄水しているに過ぎず,完璧にろ過することはできません。
あくまで人体に影響がないレベルに浄水しているだけなので,かび臭さが完全に抜けるわけでもありません。
実際千葉県では埼玉よりも先に高度浄水処理を取り入れていますが,かび臭さは抜けきっていませんからね。
やはり人間が使う水だけを綺麗にするのではなく,人間が出す生活排水を何とかしなければ,根本的な解決にはならないのかも知れませんね。
なぜペットボトルの水が売れる?
ペットボトルの水がおいしいから,と思っているかもしれませんが,実は今の水道水はかなり綺麗かつおいしくなっており,飲み比べてもわからないレベルなんですね。
もちろん水道水の地域にもよりますが。
例えば岐阜の水道水はペットボトルのミネラルウォーターと比べても遜色がないくらい美味しくなっています。
全部の水道水を調べたわけでもありませんし,あくまで個人の主観ですが,飲み比べてみればわかると思います。
ではなぜペットボトルの水を買ってしまうのか。
実はこれ,ほとんど販売戦略によるものなのです。
ペットボトルの水も水道水の水も,成分的には大して違いはありません。
塩素が,カルキがという話がありますが,それはごく一部の地域の話。
授業ではここから先も話しましたが,経済と心理学の世界に入っていきます。
子どもは結構この辺りの話に興味を持って聞いてきますから,何で買ってしまうのか,子どもと一緒に話してみると面白がるでしょう(^^)/
「何この授業,楽しそう!」と思って下さった方は,PHIの授業を受けてみませんか?
遠隔指導も実施しており,保護者の方が「楽しい!」と言って下さり,子どもと一緒に授業を受けている方も増えてきています(笑)
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