目次
時事概要
国土交通省航空局(JCAB:Japan Civil Aviation Bureau)は1月30日から羽田空港の新飛行経路の試験飛行を実施すると公表。
2020年3月から新飛行経路で運用を開始する予定。
受験にどう役立つ?
なぜ飛行経路を変えるのか。
変えるとどういう問題が起きる可能性があるのか。
といった視点を持てるようにすることで,因果関係を理解する思考回路を作ることができます。
飛行経路を変える目的は?
これも子どもに考えさせてみて欲しいところです。
東京オリンピックがヒントになります。
そう,東京オリンピックに向けて,外国人観光客が急増するのですが,今の成田空港と羽田空港はすでにパンク状態。
成田空港は第三滑走路新設の方向性が決まったものの,完成は2028年予定。
このままでは日本に来たいのに飛行機がなくて来られない外国人が発生してしまいます。
そのため,何とか増便しようということで考えられたのが,経路変更による増便。
経路を工夫することで,もう少し離発着機を増やすことができたのです。
飛行経路をどう変える?
南風,好天時:新飛行経路
南風,好天時:旧飛行経路
なぜ飛行経路を変える必要があった?
これは飛行経路の図を見れば気付ける内容なので,子どもにも見せて考えさせてみて欲しいところです。
ポイントは飛行場付近での経路の交差。
新飛行経路(上の図)では4本の滑走路の一番左上で離陸と着陸が交差しますが,旧飛行経路(下の図)では4本の滑走路の右下と左下の2か所で離陸と着陸が交差します。
経路が交差するということは,その時間,このうちの1本しか使えないことになり,他の飛行機は待っていなければいけなくなります。
特に離陸と着陸を比べた場合,着陸機を待たせるわけにはいかないため,必然的に離陸機を待たせることになり,旧飛行経路では1機の着陸のために,2本の離陸滑走路の飛行機が待たされることになります。
これを解消することにより,羽田空港の増便が可能になるということです。
飛行経路を変えることによる問題点
最初からこの飛行経路にすればよかったのではないか,という意見もありましたが,最初はこうするわけにはいきませんでした。
その理由の1つが騒音問題。
旧飛行経路では極力海の上を通過して着陸するため,着陸時の騒音被害は比較的少なくすることができましたが,新飛行経路では東京都のビル群の真上を通過して着陸します。
そのため,今回の試験飛行ではこの騒音を計測して,基準値がクリアできているかを調べます。
なお,以前はダメだったのに,今になって大丈夫になったのは,技術が向上したため,以前と比べて飛行機の騒音自体が少なくなったためです。
また,飛行機からの落下物も問題になります。
今までは海の上に落下することが多かったのですが,人がいる真上から落ちてくることになります。
最もこれについても,以前よりも技術が向上し,落下物自体が減って来ているため,今回の新経路が考えられました。
好天時と悪天候時の違い
好天時と悪天候時の経路の違いについても考えてみましょう。
ここでの比較はどちらも新飛行経路で行います。
南風,好天時:新飛行経路
南風,悪天時:新飛行経路
悪天時,飛行経路を長くとるのはなぜ?
悪天時の着陸は,雲の中を降下していくことになります。
そのため,近くに飛行機がいても見えないことが多く,接近に気付いたときには既に手遅れということになります。
そこで飛行経路を長くとることで,着陸までに余裕を持たせ,飛行機を安定させるまでの時間を確保しているのです。
旋回する場所は高低差を分けている
よくよく経路を見ると,着陸時の経路の内,最後の直線(ファイなるアプローチ)へ入る前の旋回時の高さが違うことに気付くはずです。
色が違うのが高さの違いを表しています。
旋回時は飛行機のバランスが崩れやすいため,高低差をつけることにより,衝突を防いでいるんですね。
ここまで気付いたら大したものです。
正解しなくても全然OK!
これはテストではありません。
ついつい我が子にテストみたいに考えさせてみて,答えられないとショックを受ける方がいらっしゃるのですが,思考力をつけるための訓練の一環ですから,答えられなければヒントで誘導してあげて下さい。
こういう考え方もあるんだ,という思考力につながればいいのです。
このブログの話題は,実際に子ども達に話して思考力を育成することに成功しているものですので,気長に一緒に話題にしていってあげて下さい(^^)/
参考にした飛行経路について詳しい資料はこちら。
⇒国土交通省 新飛行経路について
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