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傘から学べる中学受験の化学

傘の撥水加工からも学べることがある

傘の水滴を調べる

今日は傘を新しくしたという子が傘の撥水加工に驚いたところから子ども達(中学受験生)が騒ぎ立てていたところから授業がスタート。来るなり,

「先生,見て下さい!傘の撥水加工が思っていた以上に凄いんです!」

と始まり,何がこんなに違うんだ,と言い出して,普通の布の傘とビニール傘と撥水加工がされた傘を濡らした時の水玉の様子を虫メガネで見始めました。で,わかったことが3つ。

  • 撥水加工している傘の水玉は盛り上がって浮いているように見える。
  • 撥水加工をしてある傘の表面はざらざらしている。
  • 布の傘は水がしみ込んで湿ってしまっている。
  • ビニール傘は振れば落ちる。
傘の撥水原理について授業をする塾生

ここまでは子ども達が自分で導き出したので,今回はそれを元に水の表面張力の授業。水については以前からいる中学受験生は分子や原子の話をしていたことがあったのですが,今日は入ったばかりで知らない子もいたので,一から説明。水素原子2個と酸素原子1個からなる物質で,1つの塊を分子ということ。この分子には極性があり,ファンデルワールス力が働いていて,手を取り合っているということを説明。さらにビニール傘も比較に出してきていたので,摩擦力についても説明。

ご存知の方もいるとは思いますが,かいつまんでいるとはいえ,内容は高校物理高校化学レベルです。そんな難しいことをと思うかも知れませんが,子どもの興味の前では学年レベルなんて関係ありません。「あれは?」「これは?」と疑問が絶えず,最終的にこのレベルの話にまで発展したのです。

さてこの傘から発展した表面張力の話,一見受験と関係なさそうですが,そんなことはないのです。メスシリンダーの目盛りの読み取り方はご存知ですか?盛り上がっているところではなく,へこんで平らになっている部分を見るという,中学受験,高校受験の必須とも言える実験器具の使い方です。この水面が盛り上がっている現象,当たり前のように受け入れていて説明できない子が結構多いのです。そしてそのへこんでいる状態のイラストを描きなさいという問題は中学入試で出たことがあります。表面張力の原理が分かっていれば何てことない問題ですね。

水が酸素と水素からできているということを利用した問題も中学入試で数多く出題されています。この問題も原子や分子という概念がないと,ただ暗記して挑むだけになってしまい,発展性が失われてしまいます。とはいえ小学生では原子や分子はやらない。だから一般的な塾では覚えるしかない,となってしまうのです。

また,表面張力に限らず,観察や比較をして違いを見つけるというのは中学受験,特に公立中高一貫の入試では王道ともいえる出題方針です。これらは日常でどれだけ学んでいるかが大きく関わってくるものなので,普段からこのように考えられる子はやはり強くなります。ただ新しく傘を買い替えただけでこれだけ学ぶのですから,子どもの学習意欲はすごいものです。もっともPHIでは日常的に子どもが疑問を持ちやすいような思考力を身につけさせているというのもありますが。慌ただしく過ぎていく日常ですが,子ども達の疑問に付き合ってあげるだけでも,十分受験対策になりますよ。

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