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エアーズロックは世界で二番目なのになぜ有名?

エアーズロックとは

エアーズロックウルル)と言えばオーストラリアで有名な大きな一枚岩ですね。この一枚岩,世界最大の一枚岩と間違えている子も多いのですが,実は世界で二番目に大きな一枚岩です。でもこんな間違いからもしっかり考えれば色々と勉強ができるものなのです。実際にPHIで子ども達が学んだことを見て見ましょう。

エアーズロック - wikipedia

世界で一番大きな一枚岩はマウント・オーガスタス

マウント・オーガスタス - wikipedia

世界最大の一枚岩はどこにあるものかというと,エアーズロックと同じオーストラリアにあるマウント・オーガスタスです。形は似ているといえば似ていますが,大きさは全然違います。

  • エアーズロックウルル) 高さ348m
  • マウント・オーガスタス  高さ858m

写真ではマウント・オーガスタスの方が小さく見えますが,エアーズロックの約2.5倍も高いんですね。

エアーズロックの方が有名なのはなぜ?

こんなに大きさが違うのに,なぜエアーズロックの方が有名なのでしょうか?これにはいくつかの経済的事情が絡んでいるようです。この辺りを考えていくと,多くのことが芋づる式に学べるんですね。まず二つの位置を確認してみましょう。

マウント・オーガスタスはオーストラリアの西の方に位置します。そしてエアーズロックウルル)はオーストラリアの中央に位置します。ウルルが地球のへそとも言われるのはこのためです。

そして主要な都市は東側に集中しています。例えば日本からの飛行機の直行便がある主要な都市は,

ケアンズ(オーストラリアの北東)
ゴールドコースト(オーストラリアの北東)
シドニー(オーストラリアの南東)
メルボルン(オーストラリアの南東)
ブリスベン(オーストラリアの東)

ご覧の通り,ほとんど東側です。以前は西海岸のバースがあったのですが,それもなくなってしまい,東側だけになってしまったんですね。ここまでわかれば大抵の子は気付くはずです。実際に距離を確認してみると,

エアーズロックウルル) 主要都市から約2,000km
マウント・オーガスタス  主要都市から約3,500km

北海道の札幌から沖縄の那覇まででも2,200km程度ですから,主要都市から世界最大の一枚岩,マウント・オーガスタスまで行こうとすると,日本を端から端まで移動する以上の時間がかかってしまうのです。そして遠いという事は,それだけ用もかかります。もしあなたが旅行会社でオーストラリアのツアーを作る担当だとして,高い上に移動に時間がかかるツアーが売れると思いますか?そしてパンフレットを作るときに「世界で二番目の一枚岩!」と銘打って売れると思いますか?そんな大人の事情からオーストラリアといえばエアーズロックという刷り込みが作られていったのです。

実は世界最大とは言っていない

パンフレットを見ても,実は世界最大とは書いていないんですね。よく見ると「世界最大級」となっているんです。物は言いようですよね。「世界二位の一枚岩」よりも「世界最大級の一枚岩」の方がインパクトがあるように見えますしね。時々エアーズロック(ウルル)は世界最大だと勘違いしてしまう人は,この最後の「級」を読み飛ばしてしまったのかも知れませんね。

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形が美しはエアーズロックの方が上

他にもこんな理由が考えられます。美しさもその一つ。エアーズロック(ウルル)はシンプルな形をしていますが, マウント・オーガスタスは非常に複雑な形をしており,一枚岩と言われてもピンとこない山です。

幅もエアーズロック(ウルル)は地面から岩が突き出ているような塊感がありますが,マウント・オーガスタスは裾野が広がっており,どこから山なのかが曖昧です。

宗教的な事情

エアーズロックはもともとオーストラリアの先住民であるアボリジニの間では一部の祭司以外は登山が認められていなかった神聖な山だったため,オーストラリア政府はリース料とウルル=カタ・ジュタ国立公園入場料の一部をアボリジニに支払っています。そのため政府としても観光収入を確保するために宣伝しなければならず,それがエアーズロックを有名にしている1つの要因にもなっているのです。

こうしてエアーズロックは世界一の一枚岩,マウント・オーガスタスを抑えて,観光地として有名な世界最大級の一枚岩として知られるようになったのです。

エアーズロックは世界遺産

エアーズロックは1987年に「ウルル-カタジュタ国立公園」として世界遺産に登録されています。これはオーストラリアの先住民,アボリジニの聖地であるため,文化的な価値が高いとされたためです。そのため,自然遺産ではなく,複合遺産となっています。

2019年から登頂禁止に

やはりエアーズロック(ウルル)を聖地としているアボリジニにとっては,観光客がドカドカ入って登って行くのを快く思いません。とはいえリース料などの観光収入はアボリジニにとっても重要な収入源となっているため,仕方なく認めていました。ところが近年は観光客が減って来ている。そして毎年のように滑落死が出ているという現状を考えて,とうとう2019年から一般観光客の登頂を禁止にすることが決定しました。

一見ただの勘違いですが,突き詰めるとやはりそこには理由が存在します。子どもの「なぜ?」をただ単に「それ,間違えてるよ!」と指摘するのではなく,一緒に考えてみる。こういう所から子どもの学習意欲は生まれてくるものです。ぜひ試してみて下さいね。

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