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イギリスがEU離脱
イギリスがとうとうEUを離脱(ブレグジット)することを決定しました。
新型コロナウイルスの騒ぎもあって今や市場は大混乱。
特に為替や株をやっていない人ならあまり関係のない話のように思いますが、この市場の影響が巡り巡って国全体の経済を左右するわけですから、直接関係ないからと言って話題にしないのはもったいない。
そんな訳で今回はEU離脱に関するお話を。
EUはなぜ重要?
EUは受験生なら知らない人はいないでしょう。
地理でも歴史でも公民でも出てきます。
そしてEU離脱はEU創設以来初めての出来事。
それだけ大きなニュースなわけですから、定期テストはもちろん、受験でも狙われない訳がありません。
周辺事項を含めてしっかり押さえておきたい所です。
覚えさせようとしなくても構いません。
この手の大切なものは、日頃のニュースでも何度も出てきます。
親が大切な所を把握しておいて、その話題が出た時に子どもにEUについて触れる機会を与えてあげればいいのです。
EUって何?
EUとはEuropean Unionの略で、日本語では欧州連合と言います。
1993年に発足してから、加盟国はユーロという共通通貨を用いてくるようになりました。
1993年というと日本では平成5年。
日本では横浜のランドマークタワーが開業したり、レインボーブリッジが開通したりした日です。
また、法隆寺や姫路城、屋久島、白神山地などが日本で初めて世界遺産登録され、世界遺産ブームが巻き起こった年でもあります。
サッカーファンにとってはJリーグが開幕した年としても記憶に残る年だと思います。
EU
1993年に発足
共通通貨:ユーロ(€)
EU加盟国は?
EUの加盟国はイギリスを含んで現在28か国で、イギリスが離脱すれば27か国となります。
全部は覚える必要はありませんが、ドイツ、フランス、イタリア、オランダなど、ヨーロッパの主要な国が加盟しています。
逆に加盟していない国として覚えておいた方がいいのがスイス、ノルウェーです。
EU非加盟国
スイス・ノルウェー・イギリス(2021年~)
何のための組織?
EUの目的は国際協調。
例えばEU加盟国間ではパスポートなしで国境を行き来できるとか、どこの国でも共通通貨であるユーロが使えるなどのメリットがあります。
ただ通貨に関しては、イギリスはEU加盟国ではあるものの、自国の通貨が過去に世界の標準通貨だったことや、現在でも外国為替の取引量が圧倒的に多いことからポンド(£)とペンス(p)を使っています。
あれ、ペンスといえば、アメリカのトランプ大統領の側近がペンス副大統領だったような…(笑)
イギリスの通貨
ポンド(£)とペンス(p)
イギリスの貿易額は?
なら離脱してもしなくても同じじゃないかと思うかも知れませんが、そうもいかないのです。
通貨はともかく、貿易の協定をEU各国、及び諸外国とし直さなければなりません。
アメリカに関しては、
「もしイギリスがEUから離脱すれば、貿易協定を再交渉するのに何年もかかる。また、イギリス企業は56億ポンド(約8,600億円)近い関税の負担を強いることになる。」
と言っていたほどです。
日本の国家予算が約100兆円、イギリスの貿易額が3,500億ポンド、日本円にして50兆円ぐらいですから、とんでもない額だということがわかるかと。
ただ、ニュースであれこれ騒いでいますが、結局どうなるのかは誰にもわかりません。
というのもEU離脱は初めてのケースとなるからです。
でも総じてイギリス経済はかなり悪化するという意見で一致しているようですね。
なぜ今になって離脱したいの?
ではなぜみんなに「経済が悪化する」と言われている離脱をイギリスはしたがるのでしょうか?
大きな理由の1つにあるのが移民問題。
EUに加盟していると移民を受け入れる義務が生じるため、移民が入ってきてイギリス人の仕事を奪っているというのです。
わからなくもないですよね。
もし日本にも移民が大量に入ってきて、「人件費が安い移民を雇う事にしたから明日から来なくていいよ。」と言われる状況になれば、そりゃ誰だって移民を受け入れ難くなるでしょう。
日本は移民、難民の受け入れが極端に少なく、欧米各国から批難されています。
移民がイヤなのはイギリス国内のどういう人?
では移民を受け入れられないのはイギリスのどういう人たちでしょう?
これはぜひ子どもに問いかけて頂きたい、考えさせる問題です。
答えは高齢者層です。
移民が入ってきて職を失い易いのは…と考えれば、高齢者だとつながりやすいはずです。
正解か不正解かわからないような意見が出るかも知れませんが、答えを出せるという事は考えている証拠ですから、否定せずに聞き入れてあげて下さいね。
イギリスの人口比率は?
ちなみにイギリスの人口ピラミッドは釣鐘型。
若者世代が高齢者世代よりも少ないのです。
離脱を問う国民投票では投票率は72.2%にもなっていたとのこと。
日本の前回の衆議院議員総選挙での投票率が52.66%だったのと比べると高い投票率であることがわかると思います。
ただ逆に言えば27.8%もの人は投票していないことになります。
果たしてこの投票していなかった人たちは若者が多いのか…
なんだか大阪都構想の時の選挙が思い出されますね。
日本とは遠い国の話ですが、日本と同じ島国の抱えている問題でもあります。
どうしてEUが作られたの?
話は第二次世界大戦に遡ります。
第二次世界大戦でボロボロになったヨーロッパの国々は、何とか戦争をしないで済む方法がないかと考えました。
そこで戦争のカギとなった、資源である石炭と鉄鋼を、国を超えた枠組みで管理することにより、火種をなくそうと考えました。
それがECSC(European Coal and Steel Community:欧州石炭鉄鋼共同体)で、パリ条約を基に設立。
これが1952年の出来事で、世界はちょうど冷戦真っただ中の時期。
そのため1958年には石炭と鉄鋼だけではなく、経済体制、原子力に関しても協力体制を作ろうという事になり、ローマ条約を基にして、EEC(European Economic Community:欧州経済共同体)とEURATOM(European Atomic Energy Community:欧州原子力共同体、ユラトム)を設立。
1967年にはこの3つの組織がさらに統合され、EC(European Communities:ヨーロッパ共同体)となります。
1993年にはマーストリヒト条約により経済、安全保障、司法の3つの柱構造を確認してEU(European Union:欧州連合)が設立されました。
歴史ではどれもこれも名前が出てくるので、知っておくにこしたことはありません。
しかし覚えようとすると大変なので、歴史的背景から何が必要になったのか、で押さえておくようにした方がいいでしょう。
1952年
ECSC:欧州石炭鉄鋼共同
↓
1958年
EEC:欧州経済共同体
EURATOM:欧州原子力共同体
↓
1967年
EC:欧州連合
EC=ECSC+EEC+EURATOM
EUの本部はどこ?
EUの本部はベルギーのブリュッセルにあります。
ベルギーはフランスの北にある国ですね。
これもテストにはよく出ます。
EUの本部をどこにおこうかと考えた時、大国に置いてしまうと利害関係が出てしまったときに問題になるのではと言われていたため、小国に本部を置こうと考えていました。
そしてベルギーは北部はオランダ語、南部がフランス語、東部がドイツ語となっているため、EUの縮図のようだということで選ばれました。
ECの本部:ベルギーのブリュッセル
EUはネタの宝庫!
EUは遠い国の話と思って興味がない人も少なくありません。
しかしEUと日本とのつながりは深く、ニュースにおいてもEUを聞かない日はありません。
特に経済分野においては。
そのため、EUに興味を持つことが出来れば、ヨーロッパ全域、またそことつながりがある地域にも関係してくるため、勉強し出すきっかけを作りやすくなります。
とはいえ、ここに書いてあることを親が覚えろとか勉強しろというつもりはありません。
きっかけ作りが目的なので、見て思った感じたことを、子供と話題にしてみて下さい。
最近、ブログを子供と一緒に見て話をするようになったというメッセージを頂くことが増えてきました。
四谷大塚の全国大会出場者さんに多いみたいですね。
無理せず、続けられるものを一緒に話すのがポイントです。
社会、時事問題に強くなりたい方はファイのLINE公式アカウントにご登録下さい(^^)/

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