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ブラックホール撮影の何が凄いの?

入試には出ないけれど、子どもは大好き

ブラックホールの撮影に成功したということがニュースで騒がれていますが,子どもにとってブラックホールとは「何でも吸い込む穴」程度のもの。そして時事問題でもよく宇宙関連は話題にされます。そこで「それを撮影するのがすごいことなの?」という子どもからの質問に答えるときにポイントをまとめておきましょう。

ブラックホールって何?

ブラックホールって何?

ブラックホールは太陽や月と同じ,宇宙にある天体の1つとして考えれており,その重力が大きすぎるゆえに何でも吸い込んでしまう天体になったものです。月の重力は地球の重力の6分の1というのは聞いたことがある方も多いと思います。これは体重60kgの人が月で体重計に乗ると10kgになることを意味しています。太陽の重力は約30倍なので,体重60kgの人は1800kg,プリウス1台よりも重くなってしまいます。そしてブラックホールの重力はというと…実はわかっていません。あまりに重力が大きすぎるのです。その重さゆえ,理論上は光さえも重力に捉えられ,吸い込まれていってしまうと言われていました。そして光が吸い込まれるということは,吸い込まれた光は地球へ届きません。よってブラックホールは写真で撮ることができなかったのです。

ブラックホールはどうやってできるの?

重力が大きな天体が,その重さで周囲のガスや塵を吸収し,核融合を起こして爆発的なエネルギーを放出します。ところが重力が大きいとエネルギーの放出よりも吸収する量の方が大きくなり,天体自身を支えられなくなる重力崩壊を起こします。この時に内部のエネルギーが爆発される現象を超新星爆発と言います。そしてこの後に重力だけが残って周りにあるものを吸い込む天体が生まれることがあるのですが,これがブラックホールとなります。太陽も核融合で燃えている天体ですが,そこまで重くないため,今は爆発を起こさず燃えているということになります。オリオン座ベテルギウス赤い天体ですが,こちらの重力は太陽の20倍と言われているので,そのうち超新星爆発を起こすのではないかと言われています。ちなみに超新星爆発のことを英語でスーパーノバsupernova)と言います。この言葉はゲームの必殺技みたいなものに使われることも多いため,言葉だけ知っている子も結構います。

ブラックホールを撮ったのは何がすごいの?

ブラックホールは光すら飲み込むほど重力が大きな天体なので,撮影ができないのです。カメラというのは光を映像としてとらえるものです。もし光がない真っ暗闇で撮影したら何か撮れますか?最近は高感度カメラというものが出てきて暗闇でも撮れるという機能がありますが,それもわずかに光があるから撮れるのです。完全に光がない世界では何も撮影できなくなります。ブラックホールも同じで光を吸い込んでしまうため,カメラを向けてもカメラの方に光は来ません。よって撮影しようとしても撮影できないのです。真っ黒な画像を見せてブラックホールだといっても,何もないだけなのか,ブラックホールがあるのか説明できません

今回の写真は何がすごいのかと言いますと,光が吸い込まれるか吸い込まれないかのギリギリまで引き寄せられた光が,吸い込まれずに地球まで届いた光を撮影したものになります。真っ黒に塗りつぶされた円の周りに光の環ができているのは,あの境界線より内側に入ってしまった光はそのままブラックホールへ吸い込まれてしまったため暗くなり,ギリギリ吸い込まれなかった光は観察できるため光って見えるという,そのギリギリの境界を撮影することで,ブラックホールの形をはっきりと浮かび上がらせました。今までも想像図でこのような図は沢山出回っていたので想像通りだったといえばその通りなのですが,今までは想像に過ぎず現実的には撮影できなかったのです。その2つめの理由が小さすぎるから。

ブラックホールは何でも飲み込んでしまうというところから大きな天体だと思い込みがちですが,実はその大きさは様々。今回撮影に成功したのはおとめ座M87星雲の中にあるブラックホール。M87星雲が活発に活動している(ガスが大規模にまき散らされている)ことから,この中心にはブラックホールがあるのではないかとずっと言われていました。その大きさは約400億km。地球と太陽の距離が1.5億kmですから,その約250倍。ブラックホールとしては巨大な方だと言われていますが,それでも1光年(光の速さで1年かかる距離)が9.5兆kmなので,天体規模で言えばそこまで大きくはないことになります。そして地球からの距離は6000光年とも言われていますから,なんと地球上から真っ暗な月面に置かれた真っ黒なゴルフボールを探すようなものなのです。こう例えるとそのすごさがわかりません?(笑)

ブラックホールの中に入るとどうなる?

ブラックホールの話になると必ず子どもから質問されるのですが,実はこの質問はナンセンス。光すら吸い込む重力ゆえ,生きて入ることはもちろん,観測機器を持ち込むことすら不可能だからです。近づいていき,その重力に捉えられると中に入る前に潰されてしまいます。「もし大丈夫だったとすると?」という無邪気な質問をされるのですが,これはもうシミュレーションの世界でしかありません。まず重力に潰されると物質は原子,素粒子レベルで崩壊して,エネルギー物質になっていきます電磁波ですね。つまり,ブラックホールの中は光や電磁波が飛び交っている場所で,もし目が見えているのなら,光のみの世界が広がっていることになるでしょう。おそらく目をつぶって懐中電灯を目に付けて光を照らしたような感じですが,絶対にやらせないように

ブラックホールに吸い込まれた後はどうなる?

吸い込まれると,全ての物質は原子,素粒子レベルで分解されていくため,光や電磁波となって圧縮されていきます。そして重力のバランスが崩れている場所から一気に噴き出します。これを宇宙ジェットと言います。実はこの宇宙ジェット自体は今までも観測されているので,ブラックホールの存在は間接的に証明されていたんですね。子どもは「ホワイトホール」とか「別の世界に行く」とか言いますが,今のところそういったものは観測されていません。夢を壊してしまうようですが,世界の神秘はいくらでもあるので大丈夫。

説明に困ったら…

このブラックホールの存在を最初に予言したのはアインシュタインです。その予言から100年。やっと存在を実証することができたということです。このアインシュタインの予言というのは,一般相対性理論特殊相対性理論というものから成り立っているのですが,これは日常生活レベルで通常使っている重さや速度の計算で使用しているニュートン力学では説明ができないものです。それゆえニュートン力学の常識では考えられないような現象が起こるのです。
 例えばみんな速さを求める式は「距離÷時間」だと思っていると思います。しかしこれはニュートン力学によるもので,アインシュタイン相対性理論に基づいて計算すると「c√(T^2-T0^2)/T」というわけのわからない式になります。これは速度が速くなると時間の流れが遅くなるというところからこのような計算になってしまうためで,GPSはこの相対性理論に基づいて位置や速度を計算しています。
 というわけで,もし説明に困ったら,「実は今学校で習っている勉強は完全に正しいものではなくて,大体これで通用すると思われているものを習ってる。だから細かくみると正しくない世界もたくさんあるし,大人になった時に実は間違っていましたなんてこともある。アインシュタインも習ったことに対してそんなのおかしい!という考えから相対性理論を思いついた。ブラックホールも今習っていることだけじゃ全然説明できない。宇宙は未だに謎だらけ。しっかり考えてそういうことが理解できるようになりなさい。」とでも言っておきましょう(・∀・)

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