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熱射病・日射病・熱中症の違いはわかる?
暑くなってきましたが、みなさんお元気でお過ごしでしょうか。
今回はニュースでも話題になっている、熱射病、日射病、熱中症という言葉について、子ども達から質問を受けたので確認してみましょう。
入試に出るかと言われると、出ないでしょう。
しかしこういう話題を友達とでも家族とでも話せるかどうかが、周辺知識を広げることに一役買うのです。
また、熱中症は身体の仕組みを理解する上でも重要なネタとなります。
暑くなる時期に毎年必ず子ども達の中では話題になりますからね。
熱中症の種類
大きな区分では暑さでやられた症状を全てひっくるめて熱中症といいます。
だからとりあえず夏の暑さでやられたら『熱中症』と言っておけば間違いありません。
細かく分類すると、
- 熱失神
- 熱痙攣
- 熱疲労
- 熱射病
- 日射病
この5種類です。
実は熱射病、日射病というのは、この5種類の中で特に重症なんですね。
一つずつ違いを説明していきます。
熱失神
熱により血管が広がり、血圧が低下、それにより頭の血の巡りが悪くなりめまい、失神などを起こす状態。
体を冷やして安静にして下さい。
熱痙攣(けいれん)
大量に汗をかいたのに、水分だけしか補給しないと血液中の塩分濃度が低下し、けいれんが起きます。
この状態を熱痙攣といい、水分補給をポカリスエットなどのスポーツドリンクで行っていれば防げます。
ダイエット等や塩分の取りすぎを怖がるあまり、スポーツドリンクを飲まない方も多いようですが、汗をかいたときはスポーツドリンクの方がいいでしょう。
特に子どもは。
熱疲労
脱水症状で、体内の冷却がうまくできなくなり、脱力感、めまい、頭痛、倦怠感(だるい)などがおきる状態。
体を冷やして安静にして下さい。
熱射病
高温の室内や車内にいることで体温が上昇し、脳などの中枢機能に異常をきたした状態。
この種類の中では一番重症で、意識がなくなることも。
死亡率も高いため、急いで対処する必要があります。
症状が表れたときにはすでに中枢がやられているので、体温調節ができません。
そのため全身に水をかけたり、氷で冷やしたりと、とにかく全身を冷やす事。
場合によっては水の中にドボン!
ただし呼吸もできないので、顔をつけて溺れさせないこと。
日射病
熱射病と症状はほとんど変わりませんが、日差しでやられた場合を区別して日射病と言っています。
どちらも赤外線の放射でやられるため区別する必要があるのか、ということから熱射病に統一している場合もあります。
熱中症にならないための予防法
先ほども話しましたが、どのケースでも通用するのは以下の対処法になります。
- 水分補給はスポーツドリンク。塩分を忘れない。
- 体を冷やす。室内だからと安心しない。
- 無理せず適度に休む。
室内でも安心できないのはなぜ?
冷房をかけた室内でも熱中症になることがあります。
これはぜひ子ども達にも考えさせたいところですが、日中の日差しで建物自体が高温になる場合、その熱が室内の壁まで伝わり、壁から赤外線が放射されて中にいる人に直接あたってしまうのです。
この場合、赤外線は空気を温めずに人体を直接温めてしまうため、エアコンの設定温度に関わらず熱中症になります。
空気の温度自体は冷えていますからね。
エアコンを同じ温度に設定していても熱く感じるのはこのためです。
エアコンの設定温度には意味がない?
一昔前までエアコンの設定温度は28℃とか25℃とか言われていましたが、この温度に根拠がなかったことは言い出しっぺである厚生労働省も認めています。
電気代を考えればあまり温度を下げない方がいいのでしょうが、人命に関わる以上、ケチっている場合ではありません。
空気の温度に関係なく、暑いと感じたら温度を下げるのが適当でしょう。
熱中症になった人の応急処置
目の前で誰かが倒れてもおかしくはありません。
暑さでバテるのも、熱中症の一歩手前です。
もしこういう人がいたときのために、助ける方法も身につけておきましょう。
実際私も目の前で倒れた人を何人も見てきましたが、予兆から倒れるまでの時間はほんの数分です。
子どもと一緒に確認しておくといいでしょう。
涼しい場所に移動させる
バテていそうならとにかく急いで移動させて下さい。
外ならエアコンの効いた室内に連れていくか、すぐに無理なら日陰に移動させます。
症状が出てしまってからでは命に関わります。
身体を冷やす
先ほども書きましたが、重度の場合は一度全身に水をかけることもあります。
もちろん顔にはかけないように。
呼吸ができなくなりますので。
また、おでこを冷やすと思っている人が多いのですが、冷やすのは脳と体内を巡る血液です。
つまり、体内と動脈です。
動脈が表面に出ているのは首と脇の下と脚の付け根なので、そこに氷などをはさんで冷やすようにしましょう。
服は脱がない方がいい
暑ければ服を脱げばいいという方がいますが、日差しでやられている場合は素っ裸になると悪化するため脱がない方がいいでしょう。
何枚も着ていて熱がこもっている場合は脱がせた方がいい場合もありますが、1枚は着せておいた方がいいのです。
なぜかはもうおわかりですよね?
赤外線を直接肌に受けないようにするためです。
汗が出なくても水分は補給させる
汗が出ていないから熱中症ではないと勘違いする方がいますが、熱中症になってしまう時点で既に水分を失っているため、汗が出なくなっている場合があるのです。
救急車を呼ぶ準備、心構えをしておく
もちろん呼ぶ前にやるべきことはありますが、救急車を呼ぶ心構えと準備はしておいて下さい。
特に学校の部活の最中に倒れた場合、子供たちは躊躇してしまい、さらに先生もただの熱中症だと甘く見て死亡してしまった事件が幾度となくあります。
救急車を呼ぶときには以下のものを把握しておくことが大切です。
これも子ども達と確認しておくと危機管理の勉強になります。
- 応急処置で間に合わないと感じたときは迷わず呼ぶ。
- 住所や地名を把握しておく。(災害用に自動販売機にも書いてあります)
- 救急車だけではなく、大人や医療関係者などの助けを求める。(いると適切な症状の伝達ができ、救急車が到達してからスムーズに治療できます)
最後に
応急処置は専門家でなくてもやっておくに越したことはない処置です。
そして応急処置は結構人体の仕組みを始め、理科に関係してきます。
ぜひ応急処置を学ばせると共に、人体の仕組みに触れるきっかけにして下さい(^^)/
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