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来年の受験生はしっかり押さえておくべき
今回安倍晋三首相が辞任を表明したことを受け、総理大臣を決め直すことになりました。
総理大臣が誰になるかは日本のみならず、世界中が注目するニュース。
そのため、当然時事問題にもされやすくなります。
また、入試でも出題のテーマにされる可能性が高くなるため、しっかりと押さえておく方がいいでしょう。
今回もファイの塾生の質問を基に解説していきます。
きっとあなたのお子様も同じようなことを疑問に思っているはずです。
教え込む必要はありませんが、話題にはしてあげたいところ。
総理大臣はどうやって決めるの?
総理大臣は臨時国会において、内閣総理大臣指名選挙を行って決定します。
この指名選挙の日程は衆参両議院の議員運営員会理事会で決められます。
今回は自民党総裁選が行われた2日後に行われることになりました。
指名選挙は、選びたい人の氏名の隣に、自分の名前も書いて投票します。
通常の選挙は秘密選挙のため、投票した人の名前は書きません。
なぜ自分の名前を書かせるのでしょうか。
子供にちょっと考えさせてみるといいでしょう。
これは誰が誰を選んでいるのかハッキリさせることで、責任を持ってもらう意図があるのです。
なお、衆議院と参議院でそれぞれ選挙することになりますが、もし別々の人が選ばれてしまった場合には、衆議院の優越により、衆議院で決まった人になることになっています。
自民党総裁選で既に総理大臣が決まるみたいになってたのはなんで?
内閣総理大臣指名選挙は、国会議員の中で行われます。
この国会議員の半分以上の票を獲得できれば、確実に総理大臣になれるというわけ。
そして現在の国会議員の半分以上が自民党。
つまり、自民党は自分たちのリーダー(総裁)に投票することになりますから、よほどの大どんでん返しでも起こらない限り、自民党の総裁がそのまま総理大臣になることが決定するのです。
よって今回の自民党総裁選が事実上の総理大臣を決める選挙になっていた、というわけです。
自民党の総裁はどうやって決めているの?
両院議員総会の場合、国会議員となっている自民党員394票+47都道府県に3票ずつ割り当てた地方票141の合計535票で行う。
党大会の場合は国会議員となっている自民党員394票+全国の自民党員の投票を394票に換算した、合計788票で行う。
今回国民の誰もが疑問に思ったのが、選び方が複数あるという部分。
複数あると何が問題だと思いますか?
選び方によって、有利不利が出てしまう。
ということは、選んで欲しくない人を恣意的に落選させることができるということです。
実際今回の場合、党大会だと石破茂氏が強いため、石破氏を嫌っている二階幹事長が恣意的に両院議員総会にしたと言われています。
急ぎだからと言っていましたが、安倍晋三元総理大臣は今すぐやめると言っていたわけではないので、党大会で決めることもできたはず。
総理大臣が急逝(きゅうせい)したなら理解できますけどね。
そんな選挙によって、菅義偉(すがよしひで)氏が自民党総裁になり、その2日後の内閣総理大臣指名選挙によって、正式に総理大臣に指名されました。
指名って天皇がするんじゃないの?
これは入試でもよく出る間違えやすい部分。
指名するのは国会であって、天皇がするのは任命です。
つまり、国会で誰にするかを決め、天皇は決まった人に対して「お願いしますね」という儀式を行うのです。
任命と指名の違いはしっかり区別しておきたいところです。
総理大臣は衆議院議員って決まっているの?
決まっていません。
国会議員の中から選ぶので、参議院議員でもなることがあります。
しかし、現行の選挙制度において、衆議院議員が党首になることが多いため、結果として参議院議員が総理大臣になった例がないのです。
内閣ってどうやって決めるの?
まず内閣総理大臣が決まります。
次に内閣総理大臣が国務大臣を選んで決めていきます。
総理大臣が自分の一存で決めることができるのですが、いくつかのルールがあります。
これは中学受験、高校受験共によく出てくるため、しっかり押さえておきたい所。
内閣の決め方のルール
内閣総理大臣は国会議員の中から決める。
内閣総理大臣、及び国務大臣は文民でなければならない。
国務大臣は内閣総理大臣が任命する。(天皇が認証)
国務大臣の過半数は国会議員の中から選ぶ。
国務大臣は14人以内にする。(必要に応じて最大17人まで)
文民ってなに?
軍人ではない、ということです。
第一次世界大戦、第二次世界大戦の時には、軍人が大臣になることができました。
それにより軍国化が加速した反省を踏まえ、軍人は入れないことにしたのです。
半数以下なら誰を選んでもいいの?
その通り、過半数は国会議員から選ぶことになりますが、それ以外は誰を選んでも構いません。
極端な話、ルール上は一般人を選んでも問題なし。
ただ、そんなことをすれば総理大臣の信用は失います。
よって一般人を選ぶにしても、何かの専門家、もしくは政治経験がある人であることが多いでしょう。
よく大臣が問題を起こすと「任命責任」という言葉が出ますが、これは国務大臣は内閣総理大臣の一存で決まっているから責任を取れ、という意味です。
なんで国会議員から選ぶの?
日本はアメリカとは違い、国民が直接総理大臣を選びません。
国民が直接選ぶのは国会議員までです。
そして総理大臣になる人は政治のトップに立つ人ですから、当然国民に選ばれた人でなければなりません。
そのため、国民に直接選ばれた国会議員が代表として選挙を行い、国会議員の中から選ぶのです。
また、国務大臣も国の運営を担う行政のトップですから、当然国民に選ばれた人でなければなりません。
ただ、国務大臣は場合によっては専門性を持った人が適任な場合があります。
最近では、桜田義孝サイバーセキュリティ担当大臣が、実はパソコンを使ったこともない大臣だということで話題になりました。
サイバーセキュリティはガッツリパソコンやITに関するセキュリティなのに、使ったこともない人が務まるのかということです。
案の定、頓珍漢な答弁ばかりしていて、務まっているようには思えず非難を浴びていましたが…
そういう事にならないように、その道の専門家を入れる余地を残した、ということです。
内閣の役割ってなに?
内閣の役割は大きく2つ。
- 天皇の助言機関
- 行政権の行使
この内容について細かいことまで知っておく必要はありませんが、入試でもよく問われることについてまとめておきましょう。
天皇の助言機関
天皇の国事行為には内閣の助言と承認を必要とします。
例えば最高裁判所長官は、内閣に指名に基づいて、天皇が任命します。
憲法改正や法律や政令、条約の公布も内閣が承認して天皇が行います。
国会の召集、衆議院の解散、選挙の公示、栄典の授与、各種儀式といった国事行為も内閣が助言と承認をしています。
行政権の行使
行政権というと何やら厳かでよくわかりにくいものですが、要するに各省庁に命令をして、国の運営を行うということです。
入試でもよく題材になる具体的な業務は以下の通り。
- 行政(各省庁の管理運営)
- 外交
- 条約の締結
- 予算案の作成、決算報告
- 政令の制定
- 最高裁判所長官の指名
- 最高裁判所の裁判官、下級裁判所の裁判官の任命
- 臨時会の招集決定
- 参議院の緊急集会の請求
覚えろというと嫌がる子が多くて大変ですが、普段から国会や内閣のニュースを耳にしていれば、当たり前なことばかりです。
ファイの時事問題でも紹介しているので、こまめに話をするだけでも理解度が全然違っていきますよ。
実際ファイの塾生たちはほとんど公民の授業をやっていませんが、自分たちでちょっと勉強するだけで公民ができるようになっています。
まずはあなたが話のきっかけにしてみて下さい(^^)/
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