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なぜ関東では〇〇線で関西では〇〇電車って呼ぶの?

受験にどう役立つ?

これ自体が受験に出てくることはほとんどありません。

しかし,呼び名が分かれた原因は歴史にあります。

そこを紐解くことで,歴史の流れにつながる部分が理解しやすくなります。

特に鉄道関係はお札の肖像画になる予定の渋沢栄一が絡んでくることでもありますので,関連事項として知っておくと有利になるでしょう。

関東では〇〇線,関西では〇〇電車

関東と関西で私鉄の会社の呼び方が違います。

例えば関東ではJR線,東西線,大江戸線といったように線の名前で私鉄を呼びますが,阪神では阪急電車,近鉄電車,阪神電車といった感じで電車の名前を付けて呼びます。

さてこの違いはなんなのでしょうか?

関西の子にこの話題を振られたので,そこから話しが脱線していきましたが,この謎を解いていくと歴史が紐解けていくのです。

もともとは全部「○○電車」だった!

本来「○○電車」と呼び方は関西圏限定というわけではありません。

かつて「○○電車」という呼び方をされた鉄道は全国にあったのですが,多くの会社が廃業していった中,関西圏の有力な会社は根強く生き残り,このような呼び方が残ったようです。

明治30年代から大都市を中心に渋沢栄一を始めとする財界人によって多くの私鉄が開業され始めたのですが,官営鉄道(当時は国が鉄道を運営していました)との競合を危惧する国の鉄道作業局は私設鉄道法上の許可をなかなか出しませんでした。

民間企業に乗っ取られたら国のメンツにかかわりますからね。

民営化がわかった

路面電車は法をかいくぐる裏ワザだった!

そこで多くの私鉄会社が全走行区間のうちのほんの一部の軌道を道路上につくり,形だけ路面電車の体を装い鉄道作業局と内務省の共同所轄である軌道法(軌道条例)に準拠する電気軌道(路面電車)として開業を申請したのです。

この頃についた名称が機関車に対して「電車」だったわけです。

これらの電車は都市内,または近郊都市間程度の短距離を,駅間隔を小さくして営業を開始しました。

このような電車は全国に存在したのですが,そのほとんどが現存しない中,関西圏では京阪電気鉄道株式会社(京阪)阪神電気鉄道株式会社(阪神)箕面(みのお)有馬電気軌道(現:阪急電鉄株式会社,阪急)大阪電機軌道(現:近畿日本鉄道株式会社,近鉄)などの大きな会社がしっかりと生き残りました。

一方,関東圏では東京電車鉄道都電荒川線という路面電車の形で現存),江之島電気鉄道(現:江ノ島電鉄株式会社江ノ電小田急鉄道傘下)など細々としか残っておらず,現在の鉄道(東京メトロJR国有鉄道)はもっと歴史の浅いものになります。

ちなみに現在の京阪電気鉄道株式会社(京阪)田園都市線東京急行電鉄(東急)東北本線秩父鉄道鹿児島本線渋沢栄一が関わった路線です。

覚えておく必要はありませんが,知っていればどこかでつながってくるものです。

鉄道の歴史が呼び方を分けた

以上のような歴史の違いが結果的に鉄道会社の呼び名の違いとして残っているのです。

こういう経緯があったため,阪神や京阪,阪急神戸線,近鉄奈良線などは「鉄道」とは名乗れず,「電気鉄道」とか「電気軌道」と名乗っていたのです。

しかしながら関西では固い呼び方は敬遠されますから,「電車」という言い方が柔らかく感じで好まれたのでしょう。

その結果,関東と同様に蒸気鉄道を発祥とする南海などでも「電車」という呼び方を使うようになりました。

一方関東は東武,西武など蒸気鉄道が起源で,これらはのちに電化した鉄道です。

また小田急や東急は当初から電車でしたが,すでに鉄道としての許可がおりていました

こういう点で路面電車のイメージが強い「電車」という言葉を忌避したのでないかと考えられます。

つまり,関西では国の締め付けを逃れるために,あえて路面電車と同等ですよ,と実態から離れた「電車」を名乗り,関東ではその必要がなかったので路線名で定着したということです。

ちなみにこの辺りから国鉄の民営化,JRの話にもつながりますので,民営化のメリット,デメリットなどにも話がつながります。

今も昔も国は自分たちの都合のために法律を作ってきたわけですが,路面電車が法の逃げ道として使われたから現在これだけ発展できたのです。

今はすたれつつある路面電車ですが,最近維持費用の安さから見直されつつあります。

身近な違いを探ると,こんな感じで歴史を感じることができたりして面白いですよ(^^)/

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