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子供は危険なものが大好き(笑)
メタノールは危険な薬品のため、小中学生で扱うことはあまりありません。
アルコールランプはメタノールとエタノールの混合液で、以前は小学校で使われていましたが、最近は安全性の高さからカセットコンロやキャンプ用品のコンロを用いるようになってきたため、実際に扱う場面はほとんどなくなりました。
そのため物質として使うことも出てくることもありませんが、子どもは危険と言われると興味を示すもの(笑)
メタノールがどういうものかわかれば、メタノールがどういうものかもわかり、結果的に化学の原理を理解しやすくなります。
今回もファイの塾生の疑問や授業を基に解説致します。
メタノールってなに?
メタノールとは、メチルアルコールと呼ばれるものの略称で、アルコールの一種です。
アルコールと言えばお酒ですが、飲むアルコールに入っているのはエタノール(エチルアルコール)です。
もちろんアルコールランプのアルコールもエタノール。
注射前の消毒や手の消毒に使われるのもエタノール。
エタノールは糖やでんぷんを発酵させることで作られますが、メタノールは天然ガスや石炭、バイオマスから作られます。
この違いは分子構造に表れ、
- エタノール:CH3CH2OH
⇒ 炭素×2個+水素×6個+酸素×1個 - メタノール:CH3OH
⇒ 炭素×1個+水素×4個+酸素×1個
となっており、炭素と水素の数に違いが表れます。
なお化学式は
- 炭素:C
- 水素:H
- 酸素:O
で、その後ろの数は、原子の個数を表しています。
メタノールは何に使う?
ガソリンは石油を産出して精製しなければならないのに対して、メタノールはバイオマスから精製することができるため、石油の代替品として使うことができます。
そのため自動車燃料や発電所、製鉄所の燃料として使われます。
ただし、石油とは性質が違うため、単純に入れ替えれば使えるというものではありません。
例えば燃焼させたときのエネルギーが大きすぎて、ガソリンの代わりにそのまま使うとエンジンが耐えられないといったことが起きます。
メタノールは劇物?
正確に言うとメタノールという物質が劇物なのであって、希釈したメタノールは劇物には当たりません。
しかしそれは安全という意味ではなく、人体に有害であることには変わりありません。
特にメタノールを摂取すると失明するというのは、「目散る」アルコールとして覚えている方も多いでしょう。
一見ただのダジャレのようにも見えますが、実際にメタノールを摂取して失明する事件、メタノール中毒で死亡する事件は頻繁に起きています。
なぜ失明するの?
細かい話になると高校生物、高校化学の話になってしまうため簡単に説明します。
まず目が光を認識する構造ですが、網膜に光が当たると、網膜のタンパク質(レチナール)が変化して、視神経に光が当たったという信号を伝えます。
このタンパク質は光が当たるたびに消耗してしまうため、別のタンパク質(レチノール)を酸化して次々と生成して補います。
このレチノールを酸化させるために、網膜にはアルコール脱水素酵素があるのですが、メタノールが入ってくると、これが作用してしまってホルムアルデヒドという毒性の強い物質に変化してしまうのです。
ホルムアルデヒドというのは発がん性物質としても知られているものですね。
そのため網膜がやられてしまい、失明に至ります。
メタノールの化学変化について
- メタノールの化学式:CH3OH
- ホルムアルデヒドの化学式:CH2O
アルコール脱水酵素というのは、水素を取る酵素なので、メタノールから水素を2個取って、ホルムアルデヒドへ変えるということです。
これをメタノールの酸化と言います。
なお、通常酸化というと酸素がつくことを指しますが、高校に入ると水素のやり取りによる定義が出てきます。
この考え方では、水素を失う反応を酸化といいます。
なぜ誤って飲んでしまうの?
メタノール、エタノール共にアルコールと呼ばれるもののため、メタノールの方が酔いやすいという嘘のうわさが流れ、飲んでしまうケースがありました。
また、酒税法という法律で、エタノールの製造には許可、及び税金がかかるのですが、そもそも飲料用ではないメタノールは酒税法の対象外のため、安く製造できるという所から密造や飲料用のお酒に混ぜてしまうケースがありました。
アルコールの作用、特徴
アルコールには
- 脱水作用
- 脱色作用
- 殺菌作用
があります。
また、アルコールは沸点が低いため、常温でも気化してしまいます。
脱水作用というのは水分を奪うことで、殺菌作用はこの脱水作用により菌が死滅する作用です。
よって、菌はアルコールを付けたから死ぬのではなく、アルコールが渇いて初めて死ぬので、アルコールシュッシュをして濡れた手であちこちを触っていたら菌が移っていきます。
しっかり乾燥させましょう(^^)
新型コロナウイルスの影響で、アルコールも身近な話題の1つとなりました。
あまりに足りなくなったため、お酒として造られたエタノールを酒税がかからない消毒用に用いることも許可されました。
たかが消毒液からでも、様々なことが学べます。
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