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古事記と日本書紀の違いが歴史を楽しくする
古事記と日本書紀。
同じ昔の書物ですが、「き」の漢字が違いますね。
「この違いはなんですか?」
と、大抵の子は疑問に思います。
塾生からも質問が出たので、その話を基に授業をしました。
この疑問をちょっと膨らませるだけで、歴史がちょっと楽しくなりますよ!
まずは古事記と日本書紀の違いを確認しましょう。
古事記と日本書紀は何が違うの?
古事記
712年に作られた日本最古の歴史書。
ここまではどのテキストにも書かれています。
しかし内容までもう少し深く知ると楽しくなります。
内容は日本ができるまでの歴史についてが書かれていますが、その内容には伝説的な要素を含み、天皇の神格化のためのツールとして使われたとされています。
つまり、天皇が自ら神の子を名乗るにあたり、その根拠として古事記という伝説を作り、国を治めたというわけです。
逆に言えば、最初の方の天皇は実在しない可能性があるということ。
現在の天皇は126代となっていますが、その根拠となった日本書紀は古事記に由来するため、どこからが実在しているのかわからないのです。
ちなみに21代の雄略天皇に関しては、埼玉県の稲荷山古墳と熊本県の江田船山古墳(えたふなやまこふん)から出土した鉄剣に、獲加多支鹵大王(ワカタケル大王、雄略天皇)の名が刻まれていたため、実在が有力視されています。
これは入試でも必須ですね。
日本書紀
720年に作られた日本の歴史書。
これもテキストだと古事記と同じような位置づけで書かれていますが、実際には全くことなります。
古事記とは違い、伝説的な要素はなく、事実とされるもののみを集めた最古の歴史書(正史)とされています。
最も伝説は含んでいないとはいえ、文字がなかった時代の日本については口頭伝承で伝わっている話を基に補完されているため、どこからが正確なのかはわかっていません。
天皇の記述に関しても、古事記を基にしているため、どこからが実在なのかは諸説あります。
なお、日本書紀には天皇の墓のおおよその位置が記されており、その位置関係から、過去の天皇全員の墳墓を決定しています。
「記」 と「紀」の漢字の意味の違いは?
二つの漢字の意味の違いも当然あるので、こういう時は漢字の意味の違いを考えるといいでしょう。
「記」の漢字の意味
文章を書き「しるす」という意味があります。
日記、記録、記事といった熟語からもわかるように、出来事やあったことなどをそのまま書き残しているときに使う漢字です。
古事記は天皇の歴史を記したもののため、「記」の漢字が使われています。
「紀」の漢字の意味
すじみちを立てて示したものやルールをあらわします。
紀行、世紀、風紀と言った熟語からもわかるように、流れや規則を表す時に使われる漢字です。
日本書紀では、日本という国が作られてきた流れについて説明した書物なので、「紀」の漢字が使われています。
どうして古事記に「記」の漢字を使ったの?
古事記は伝説的な要素があるため事実ではない歴史を含んでいます。
そういう意味では本来なら「記」はふさわしくありません。
しかし天皇の神格化をするために作られたということを考えれば、「こういう歴史的事実があったんだよ!」という意味を込めるために「記」を使ったと考えられます。
どうして日本書紀に「紀」の漢字を使ったの?
日本書紀は、あった事を後世に伝えるための記録です。
色々な文献を調べ、調査し、歴史に沿って順序立てて作り上げたものだから「紀」を使いました。
よく古事記と日本書紀の違いがわからないという方が多いのですが、漢字の意味の違いに着目できれば、覚えやすくなります。
このように漢字の意味を考えるだけで、歴史を深く学べることができるのです。
丸暗記しない歴史を学びたい方は、ファイで一緒に勉強しましょう(^^)/
分かりやすかったです!納得です!