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ナメクジに塩でなぜ縮む?から受験勉強

一度はやるから誰でもきっかけになる

ナメクジに塩をかけると縮む。

おそらく誰もが一度は聞いたことがあり、やったことがある方も多いことでしょう。

ナメクジなんてじめじめしたところさえあれば、そこらへんにいますからね。

ちなみにカタツムリでも同じことが起きます。

カタツムリの殻が退化したのがナメクジですからね。

こういう放って置いても一度は通るネタは、きっかけとして外せません(笑)

子どもがそういうネタを持ってきたときに、どういう話ができるか、ファイの塾生との実際のやり取りからお話しましょう。

実権動画も送ってくれたのですが、気分を害されるかたもいるかもしれないので割愛(^^;

ナメクジはなぜ塩をかけると死ぬの?

「ナメクジに塩をかけると死ぬ」と思い込んでいる子もいるのですが、実は絶対に死ぬわけではありません。

むしろちょっと塩をかけたぐらいでは死なない事も多いのです。

なぜならなめくじは空気中の水分すら吸収する能力を持っているから。

そのため、水分を回復できない環境なら死んでしまいますが、水をかければまた復活するのです。

死ぬと思い込んでいる子も多いので、この話をするだけで「やってみる」と言い出します。

この「疑って試してみたい」という気持ちが、本質的な学びの力を育てますから、なめくじに感謝すると共に、ぜひやらせてあげて下さい。

なお、体を覆うくらいの塩をかけると動かなくなりますのでかけすぎには注意。

アジサイとカタツムリ
アジサイとカタツムリ

なめくじはなぜ縮む?

浸透圧という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

小学生に説明するにはちょっと難しいのではないかと思うかも知れませんが、そんなことはありません。

単純に「塩は水分を奪う」というこの感覚を身に着けておくだけでいいのです。

例えばお漬物。野菜の水分を塩で抜いて、味付けしたタレを染み込ませています。

ことわざの「青菜に塩」も同じ。キャベツやほうれん草に塩をかけると、塩がほうれん草の水分を奪って、しおれていきます。

梅干しがなぜしわしわなのか。これも元々は丸い粒の梅を、塩につけておくことで水分が出てしわしわになります。

梅酒、梅シロップのシーズンになりますのでやってみてもいいでしょう。

このように、塩が水分を奪う例は身近に沢山あります。

そしてこの浸透圧の考え方は高校化学まで進めば計算が出てきます。

ファントホッフの式というものですね。

中学受験では計算までは出ないものの、現象自体は自然科学として出てきます。

ちなみに計算してみようと思うのなら、ファントホッフの式に当てはめればいいだけなので、式さえ提示されていれば大して難しくありません。

鼻に水が入ると痛いのも浸透圧

鼻に水が入ってツーンと痛い思いをしたことがある方も多いでしょう。

あれも浸透圧が関係しています。

人間の体の中にも塩分があるので、鼻に水が入ると、体の中の塩分が鼻の粘膜から水を吸ってしまうのです。

これを刺激として感じてしまうため、痛くなります。

という事は、体の中の塩分濃度と同じ濃度になっていれば水分の移動が起きないので、痛くならないということになります。

これが鼻うがい商品の原理ですね。

体の中の塩分濃度は0.9%程度で、この濃度の食塩水を生理食塩水といいます。

食塩水の問題は小5、小6で習うため、実際に作らせてみてもいいでしょう。

分量を間違えたら痛い思いをするので、それもまた経験です(笑)

ただし体を張った実験は、必ず親の目の前でやらせて下さい。そして絶対にやりすぎないこと。

鼻うがいのイメージ
鼻うがいのイメージ

庭には塩をまかない方がいい

ナメクジ対策として、塩を庭に撒くという話をよく聞きますが、実はあまりお勧めしません。

先程話した通り、ナメクジは塩で縮みますが、ちょっと撒く程度では死ぬには至らないことが多いのです。

そしてナメクジよりも、塩が与える別の影響の方が問題になります。

庭に塩をまくということは、雨が降ればその塩は水に溶けて流れていきます。

この流れた塩が土に染み込んでいくと、植物が浸透圧でやられてしまうのです。

津波で海水が染み込んだ土地は、しばらく農業に使えないのもこれが理由です。

もしガーデニングをしているのであれば、塩は撒かない方がいいでしょう。

そして塩は建物にも影響を及ぼします。

コンクリートや金属を劣化させてしまうのです。

つまり、家の周りに塩を撒くと、家の基礎が被害を受ける可能性があるのです。

これらを塩害といい、入試では農業の被害として取り上げられることもあります。

マングローブはなぜ重要なのか

入試ではマングローブという言葉が割とよく出てきます。

そのためテキストには言葉も写真も載っていて知っている子は多いのですが、そもそもマングローブとは何なのかを理解している子はあまりいません

マングローブの凄さ、それは海水でも育つことができる、というところです。

マングローブと言うとジャングルを想像すると思いますが、あれは正確には川ではなく、海水と淡水が混ざる「汽水域」と呼ばれる場所になります。

通常の植物は先程の浸透圧の関係で海水がかかると枯れてしまうのですが、マングローブで育つ植物は、海水でも枯れない工夫があるのです。

その一つが塩を葉に送って捨てるというものです。

そのためマングローブの植物の葉はしょっぱいのです。

そしてもう一つの特徴が根っこ。

あの横に大きく広がった根っこはマングローブならではの特徴と言えるでしょう。

汽水域というのは、潮の満ち引きで水が行ったり来たりします。

波打ち際に立っていると足が沈んでいきますよね?

あれと同じで、通常の植物と同じ根の張り方だと波にさらわれてしまうのです。

この特徴的な根っこが防波堤の役割をして、さらに生物の住処(すみか)になるため、マングローブは重要なのです。

マングローブの木の根
マングローブの木の根

海で喉が渇いても、海水を飲んではいけない

もうここまで話していると、大抵の子は予想がつきます。

ヒントを与えて考えさせてみましょう。

水なので喉の渇きをうるおせそうですが、塩分が体内の水分を奪ってしまい、脱水症状を引き起こすのです。

人間体内の塩分濃度が0.9%程度なのに対して、海水は3~3.5%もありますからね。

これから海に行く機会が増えると、そういったことも学びにつながってきますので、ぜひ話してみて下さい。

「何もない無人島でどう生活するか」

このネタだけで理科は物理、化学、生物、地学といった単元、全てに渡って修得出来てしまいます

お葬式の後に塩をまくのも浸透圧

神道では葬儀の後に塩を撒く、もしくは盛り塩をすることでお清めをしていますが、これもナメクジと同じで塩の浸透圧が関係しています。

日本では古来から土葬を行ってきましたが、土葬だと菌が繁殖してしまい、それが村人に悪影響を及ぼすことがあったのです。

しかし当時は菌という存在を知らないので、悪霊のしわざとか、呪いとか、そういうものとして考えてきたのです。

そしてこの菌も細胞に水を蓄えていることから、塩がつくと浸透圧から水分が奪われて死んでしまいます。

これが塩の殺菌効果の正体

傷口を塩水で洗うといいと言われるのもこのため。

昔の人は菌や原理を知らなくても、経験的に塩で殺菌できることを知っていたんですね。

おばあちゃんの知恵袋は、まさに科学の宝庫です(≧▽≦)

ちなみに葬式=塩という誤解を生んでいますが、本来塩を撒くのは、死を穢れとして考える神道(神社)であり、死を仏の道と考える仏教(寺)では使いません。

仏教で塩を撒くのは、神社と寺が混ざった神仏習合の名残なんですね。

 ⇒ 神仏習合についてはこちら(^^)/

お清めの塩
お清めの塩

実は塩じゃなくてもいい

塩は浸透圧が高いためハッキリと結果が得られて印象に残りやすいのですが、浸透圧の差さえ生まれれば同じ現象が起きるため、実は砂糖でもいいのです。

もちろん塩ほど勢いよく縮んでいきませんが、それでも結構縮みます。

「なら塩の代わりに砂糖を塩害が起きないね!」

と言っている子がいましたが、砂糖を撒くと大量の虫をおびき寄せることになるので、やはりオススメしません。

ただ、発想はいいですね。

「ナメクジに塩」は常識的過ぎるので、他のものならと考えられる視点は受験にも大いに通じてきます

塩は多くても死ぬが、なくても死ぬ

受験の勉強をしている子なら、武田信玄と上杉謙信の「敵に塩を送る」というエピソードを知っている子も多いでしょう。

川中島の戦いで戦った2人ですね。

これは甲斐国(かいのくに)は現在の山梨県にあたり、海がなかったため塩が手に入らず困ったというところに、越後(新潟)の上杉謙信が敵にも関わらず塩を送って助けてあげるという話。

塩は塩化ナトリウムという物質ですが、神経の伝達にはこのナトリウムイオンというものが使われているため、塩が不足すると神経の伝達がうまくいかなくなるのです。

また、細胞間の物質のやり取りにも浸透圧の原理が使われているため、塩が不足すると最悪、死に至ってしまうのです。

脱水症状にも塩が関係している

夏になると脱水症状も問題になってきますが、この脱水症状にも塩が関係しています。体の中の塩が汗として出てしまうのです。

すると先程の「敵に塩を送る」の話と同じで、神経伝達や細胞間のやりとりが上手くいかなくなり、脱水症状を引き起こすのです。

さすがにここまでくると高校生物の話しになってしまうため、中学受験、高校受験程度なら出ることはありませんが、簡単に原理として知っているだけでも人体の単元は理解しやすくなります。

水を飲む女性
水を飲む女性

受験勉強も塩みたいなもの

受験勉強というと、ガッツリ机にしがみついて、鉢巻きを巻いて勉強するものと思っていませんか?

でもそれは昔の話。

今は受験のあり方も勉強の仕方も変わってきています

塩が多すぎても少なすぎてもいけないように、受験勉強も、多すぎても少なすぎてもいけないのです。

身近なところから学んだことに、受験勉強が入って初めて本物の知識になる。

逆に言えば、身近な所から学んだことがないところへ受験勉強だけ入れても大して使い物にならないのです。

机上での勉強が上手くいっていないのであれば、ちょっと視点を変えて、ファイの勉強スタイルで学んでみませんか?

バランスがいい勉強ができている子は、受験だけではなく、ファイの子のように進学先でも伸びていきますよ(^^)/

アドバイスするコールセンターの女性のイメージ

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