■11月1日
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・アウンサンスーチー氏 来日
ミャンマーのアウンサンスーチー氏が政権発足後,初めての来日。スーチー氏は法律上大統領にはなれないため,国家顧問兼外相として実権を握っている。来日して安倍首相などと会談し,ミャンマーの発展の協力に関して話をした。
ミャンマーを民主化したことが有名なアウンサンスーチー氏は時事問題としては旬を過ぎた気もしますが,ミャンマーの場所を言えない人,ミャンマーがどんな国か説明できない人は調べておくといいでしょう。
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■11月4日
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・温暖化対策に関する「パリ協定」発効 日本は批准遅れ
10月5日に欧州連合が批准し,協定の発効要件を達成し,11月4日に発効となった。7日からはCOP22が開かれる。日本はこの協定への批准が遅れ,8日に国連へ提出。この批准の遅れに対して世界中が落胆した。遅れた要因はTPPなどをめぐり国会がまとまらなかったためとされているが,政府関係者はEUの批准はもっと遅いと考えていたところ,あっという間に批准してしまったため,慌てて日本も議論をしたのだが間に合わなかったという節がある。日本は環境技術も素晴らしく,環境に対する取り組みは進んでいるが,この遅れにより日本は当面,議決権がないオブザーバーとしての参加となる。日本は30年に温室効果ガスの排出量を,13年と比較して26%削減することを目標としている。
なお,この後開かれたCOP22にて,WMO(世界気象機関)は,今年は観測史上最も暑くなり,世界の平均気温が産業革命前と比べておよそ1.2℃高くなると発表。パリ協定ではこれを今世紀2℃未満に抑えることを目標としているが,まだ5分の1も終わっていないにもかかわらず1.2℃まで上昇しているという危機的な状況だと訴えた。
温暖化関係は時事としても狙われやすいので押えておくことはもちろん,温暖化ガスの削減は一人が主張しても減りません。一人ひとりに何ができるかも考えるきっかけとしたいところですね。
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■11月8日
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・JR博多駅前の道路陥没
福岡県の博多駅前の道路が大規模に陥没し,周辺で停電が発生。現場付近の道路も通行止めとなった。この事故によるけが人はなし。
時事問題になるとしたら「博多ってどこ?」という問題でしょう。日ごろから大きなニュースとなった場所は調べておく習慣をつけていれば,何てことはない問題です。時事とは関係ありませんが,この事件の特筆すべきところは,あれだけ大規模な陥没にも関わらず,けが人などの犠牲者が出なかったところです。そもそも工事のミスがあるのはまずいのですが,「おかしい!」と思った現場作業員がすぐに報告し,工事を担当していた会社もすぐに交通規制を要請し,警察もすぐに通行止めにできたという点が事故を未然に防げた大きな要因と言えるでしょう。この辺りは危機管理マニュアルを徹底している日本らしいところですね。
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■11月9日
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・がん治療薬のオプジーポ 最大50%値下げ
政府は高額な薬価が問題となっているがん治療薬のオプジーポを,半額にすることを決めた。オプジーポは100gで73万円という高額な薬。これを半額にすることで,高額となっている医療費を抑えるのが狙い。
薬の値段は自分たちで自由にきめているわけではなく,政府の予算に合わせて決められる。オプジーポに関しては非常に高額で,社会保険料を圧迫していた要因とされていたため,値下げに踏み切った。しかしいきなり半額にされると,開発してきたメーカーの経営にも関わってくるため,薬価については課題もある。
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■11月11日
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・障害者会議に車いす入れず 厚労省謝罪
東京都内で開かれた社会保障審議会障害者部会で,会場のビルがバリアフリーに対応していなかったため,車いすを利用している委員が出席を断念する事態となった。
政府が絡む失態はまず時事問題として出されることはないでしょうが,障害者の会議に障害者が出席できない状態である程,日本の障害者に対する意識の低さが露呈した事件。
最近どんどんバリアフリーも増えてきましたが,まだまだ障害者の生活の壁が大きいのも事実。バリアフリーは学校でも習うはずなので,身近なバリアフリー,まだ足りていないところについて話してみて下さい。
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■11月15日
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・ニュージーランド 参加12か国の中で初のTPP承認
ニュージーランド議会は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関連する法律改正案を賛成多数で可決し,議会承認の手続きを終えた。これはTPPに参加する12か国の中で初めて。ニュージーランド政府は,他の参加国も国内手続きを終えるように努力を続けるよう希望していると述べた。この後,日本,アメリカも承認手続きを終えたが,アメリカの時期大統領トランプ氏は「就任したらすぐに脱退する」と宣言しているため,先行きは不透明。
ちなみにTPPとは,太平洋の周辺諸国が参加する関税を撤廃して貿易の自由化を促進するためのもの。関税がなくなれば輸入品が安くなるため物価が下がる一方,国内産業が衰退する可能性がある諸刃の剣。グローバル社会においては各国が役割分担をしていく方が効率がよく,お互いに発展できるとの考えから参加国が増えてきた協定。
これもこの話題事態は時事に出ることはないでしょう。しかしながらTPPの話題は連日上がっているため,TPPとは何かぐらいは話せるようにしたいものです。
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■11月15日
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・自衛隊の駆けつけ警護を決定
政府は南スーダンのPKOで駆けつけ警護の任務を与えることを決定した。駆けつけ警護とは,離れた場所にいる国連職員やNGO職員を救出にあたる任務。これに際し,必要に応じて武器の使用も認められる。
自衛隊の法律に関しては解釈も難しく,非常に難解。色々な解釈をする人がいるため,どんな法律ができても必ず非難が出る。そのため細かいことまでは時事で出されることはないでしょうが,「駆けつけ警護」の用語自体は新聞やメディアでもよく聞くようになったので,覚えておくといいでしょう。また,時事に関係なく,自分なりにどう思うかの意見を持つことは大切です。
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■11月18日
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・安倍首相とトランプ次期大統領 会談
内閣総理大臣(安倍晋三)は時期アメリカ大統領となるトランプ氏とニューヨークにあるトランプタワーで会談した。日本の総理大臣が就任前の大統領と会談をするのは異例。内閣府によると,少なくとも2000年以降にそのようなことはなかったとのこと。会談後に首相は「友好関係を築くことができた」と話していたが,具体的なエピソードは語られなかった。
これも時事問題としては特別感はないが,就任前の大統領と異例の会談をするというところに着目すると,色々と話が膨らんで面白い。例えばトランプ氏は政治家経験がないビジネスマン上がりの大統領のため,安倍総理大臣を始め日本の政治家の誰とも接点がなかったため,関係構築を急いだとか,日本の政治家はトランプ氏が選ばれることを想定していなかったため,直接話して少しでも今後の方針を立てやすくするためだとか。子どもは色々な想像を働かせるので面白いものです。
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■11月18日
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・消費税率引き上げ延期の税制改正法案成立
消費税を10%に引き上げる時期を当初予定していた2017年の4月から2019年の10月まで,2年半延期することを盛り込んだ税制改正法案が,参議院本会議で可決,成立した。
消費税の引き上げは何かと話題になる。特にいつ引き上げとなるかはみんなの注目を集めているため,ちゃんと押えておきたいところ。また,できれば税金の意味について話してみるきっかけにできるといいでしょう。
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■11月21日
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・女性の大卒初任給 初の20万円に
女性の大卒初任給は3年連続で増えており,統計を取り始めた昭和51年以来初めて20万円に達した。厚生労働省は,労働市場が好調な結果が初任給にも反映したのではないかと分析している。
こういう話題も時事には出にくいのですが,明るい話題として押さえておきたいところですね。
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■11月22日
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・給付型奨学金 月3万円を基準に支給
低所得世帯の大学生らに対する返済不要の給付型奨学金について,自民,公明両党は2018年度から月3万円を基準に支給することで合意。
合意しただけなので時事に出ることはないでしょうが,大人になればこのようなニュースに敏感になっていなければ,折角の行政の支援を逃すことになります。こういうところでも「よくわからないから知らない」のではなく,わからないから調べていく姿勢が役に立ちますね。
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■11月25日
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・キューバの生みの親 フィデル・カストロ死去
1959年にキューバ革命を成し遂げ,1962年にはキューバ危機でアメリカと国交を断絶。社会主義の国として現在に至るまでキューバを指導してきた。2014年にはアメリカと国交正常化。
冷戦の時に核戦争にまでもつれ込むかと思われたキューバ危機。そのキューバがどこにあるのかは意外と知らない子も多いのでは?冷戦の状況を把握する上でもキューバの場所は確認しておきましょう。また,一緒にキューバ革命をしたチェ=ゲバラの名前も一緒に覚えておきましょう。
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■11月27日
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・スイス国民投票 脱原発否決
スイスで脱原発の時期を約5年早めて2029年までとすることに関する国民投票が行われ,否決となった。スイスではすでに段階的に脱原発をしていくことは決まっているが,それを前倒しすることはできなかった様子。これに反対したのは,主に政府や経済界とされており,エネルギー安全保障上問題,また脱原発により石油,石炭による火力発電所に頼ることになり,二酸化炭素の排出量が増えることが問題だと主張した。
スイスは日本とは違い,些細なことでもちょくちょく国民投票をする国。そのため国民も政治に関心を持ち,投票に行くため意見が反映されやすい。日本では「脱原発」だけが独り歩きして,発電は火力に任せて二酸化炭素を排出している経緯がある。太陽光や風力発電など,クリーンエネルギーの技術も進んできているが,まだまだ法整備もついてきていないのが現状。とにかく脱原発を急ぐか,クリーンエネルギーの技術を確立させてから徐々に移行していくか,難しいところですね。このテーマは時事としてだけではなく,作文などのテーマに上がることも多いので,ぜひ自分なりの考えを持てるように話してみましょう。
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■11月29日
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・オリンピック会場 見直し決定
東京オリンピック・パラリンピックの経費削減を目指す東京都,政府,組織委員会,IOC(国際オリンピック委員会)の4者協議で会場を以下のようにすることを決定した。
時事問題という観点から言えば,それほど重要でない気もするが,
やはり東京近郊で行われる会場についてはある程度名前ぐらい知っておいた方がいいでしょう。
特に新しく追加された競技は時事ネタとしては新鮮ではありませんが,
話のネタ的には知っておいた方がいいでしょう。
また,開催をめぐるごたごたは以下の赤字の会場を見てもらえれば一目瞭然だと思いますが,東京がオリンピック会場に決まった段階での計画は半分以上コロッと変わっています。
どうしてこんなことになっているのか,政治というものを考えるきっかけになると思いますので,ぜひちょっと考えてみて下さい。
青字は初めて,もしくは復活して追加された競技
赤字は変更となった主な競技場
・新国立競技場(オリンピックスタジアム) 開会式,閉会式,陸上競技,サッカー
・東京体育館 卓球
・国立代々木競技場 ハンドボール
・日本武道館 柔道,空手
・皇居外苑 自転車競技
・東京国際フォーラム ウエイトリフティング
・国技館 ボクシング
・有明アリーナ バレーボール
・有明体操競技場 体操
・有明BMXコース 自転車競技
・有明テニスの森 テニス
・お台場海浜公園 水泳,マラソン,トライアスロン
・潮風公園 ビーチバレー
・青海アーバンスポーツ会場 スケートボード,スポーツクライミング
・大井ホッケー競技場 ホッケー
・海の森クロスカントリーコース 馬術
・カヌー・スラローム会場 カヌー
・夢の島公園 アーチェリー
・オリンピックアクアティクスセンター 水泳
・東京辰巳国際水泳場 水球
・馬事公苑 馬術
・武蔵野の森総合スポーツ施設 バドミントン,フェンシング
・東京スタジアム サッカー,近代五種(ラグビー,水泳,馬術,ランニング,射撃)
・さいたまスーパーアリーナ バスケットボール
・陸上自衛隊朝霞訓練場 射撃
・霞が関カンツリー倶楽部 ゴルフ
・幕張メッセAホール テコンドー,レスリング
・幕張メッセBホール フェンシング
・釣ヶ崎海岸サーフィン会場(千葉県一宮町) サーフィン
・横浜スタジアム 野球,ソフトボール
・江の島ヨットハーバー セーリング
・伊豆ベロドローム トラックレース(自転車競技)
・伊豆マウンテンバイクコース マウンテンバイク
・札幌ドーム サッカー
・宮城スタジアム サッカー
・埼玉スタジアム2002 サッカー
・横浜国際総合競技場 サッカー
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■11月29日
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・豆腐の常温販売 厚生労働省が了承
これまで豆腐は製造過程でわずかでも細菌が残っていると,腸チフスや赤痢(せきり)などを引き起こす可能性があるため,冷蔵された状態での販売を義務付けていた。ところが実は30年前から無菌状態で製造や包装をする技術があるため冷蔵する必要はなかったのだが,法律で「冷蔵」を義務付けられていたため,冷蔵しての販売となっていた。これを厚生労働省が冷蔵しないで販売しすることを了承したため,食品安全委員会の評価手続きを経た上で来年あたりから解禁となることになった。
これも時事としてはマニアックですが,30年も前から本当は必要なかった豆腐を冷蔵していたということについて,どう思いますか?また,冷蔵しなくても良くなるということはどういうメリットが考えられるでしょうか。たかが豆腐ですが,色々考えられそうなネタがありますね。ちなみに認可を受けたメーカーのみ常温でOKとなるため,認可を受けていないメーカーのものに関しては冷蔵が必要です。
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■11月29日
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・日本の理数系の基礎学力 世界トップレベル
国際学力調査(TIMSS)によって,日本の子どもたち(小4と中2)の理数系の基礎的な学力は,5位以内の世界トップレベル(調査はおよそ50の地域)であることがわかった。また,4年前の調査と比較して,3教科全て順位が上昇していることがわかった。これに対して専門家の中ではデジタル教材の普及が学力につながったという意見もある。文部科学省によると,デジタル教材は全国の小中学校で導入が進み,3月時点での普及率は50%近くになっている。
テレビが善か悪かの問題にも通じてきそうな問題ですが,要するにどう使うかの問題です。一昔前はテレビを見ると馬鹿になると言って遠ざけようとしていた時代もありましたが,現在は番組の質もモラルも向上してきて,情報番組においては印象付けが格段に向上してきました。ところが逆に,日本の学力調査においては,テレビの視聴時間や携帯の利用時間が少ない子の方が学力レベルが高いという調査結果も出ています。そして現代の子どもたちは何でもかんでもデジタルに記録したり,その場で調べられたりするため,覚える必要がなくなって記憶力が低下してきているとも言われています。「デジタル教材が良い」と思い込むのではなく,どう使えば効果を引き出せるのか,を考えて使わせたい所ですね。
ちなみに,この意見をもってデジタル教材を宣伝している所も多く見られますが,4年前と比較すると学習指導要領も改定されており,授業時間数も変化しています。あくまで1つの意見であり,一概にデジタル教材の普及が要因とは言えませんね。
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■11月29日
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・タイの新国王にワチラロンコン皇太子
10月に死去したプミポン国王の後継として,ワチラロンコン皇太子を新国王とすることで議会は承認。1年後の服喪期間の後に行われる葬儀の後に就任する予定。
こちらもタイがどこか言えるようにしておきましょう。
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■11月30日
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・113番目の元素 ニホニウム(Nh)に決定
ニホニウムもすでに案が提出された段階で多数の学校で時事問題に採用されましたが,念のため覚えておきましょう。ちなみにニホニウムという元素は1000分の1秒程度の寿命しかなく,性質もよくわかっていません。折角発見された元素ですから,これからの活躍を期待したいところですね。
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■11月30日
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・「山・鉾(ほこ)・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に
国連教育科学文化機構(UNESCO:United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)は「山・鉾(ほこ)・屋台行事」を無形文化遺産に登録することを決定した。これは青森の「八戸三社大祭の山車(だし)行事」,福岡の「博多祇園(ぎおん)山笠行事」など全国18府県33件で構成される。ちなみに千葉県は「佐原の山車(だし)行事」が登録された。お住まいの府県は何が登録されたのかが出るかも知れないので,ご自身の府県で登録されたものがないかは確認しておきましょう。外務省のHPに載っています。
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