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2016年12月の時事問題・親向けの解説

■12月1日
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・OPEC 減産合意

石油輸出国機構(OPEC:Organization of the Petroleum Exporting Countries)はオーストリアで開いた総会で,8年ぶりに減産に合意した。さらに10日には非加盟国も含めて55万8000バレルの削減に合意。過去最大の削減幅となった。

よく経済ニュースで石油が1バレル53ドルといった価格を聞きますが,あれは石油の価値が株価と同じく取引される事で変わるためにニュースで話題になります。簡単に説明しておくと,石油を多く産出すると価格が下がり,少なくすると価値が上がって価格が上がる。そのためOPECとしては産出量を下げて価値を上げたいのですが,石油は色々な国が産出しているため,いくら価値を上げるためとは言え,売る量を少なくすると収入が減るからヤダということで,度々話し合われて来ましたが減産の合意には至りませんでした。それが今回やっと減産の合意が取れて,石油価格が上昇したということ。

ちなみに石油価格はつい数年前に安価なシェールガスを産出できる技術が発展し,石油にとって代わるエネルギーとなりました。そのため石油は価格を下げて対抗するため増産しています。結果やっぱり石油の方が安いしいいか,ということでシェールガスの産出にブレーキがかかりました。それを見てまた減産し,現在は石油価格が上昇してきています。ガソリン価格に連動しているので,気にかけて見て下さい。

なお,1バレルとは約159リットルのことで,ワインの樽1つ分です。

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■12月7日
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・センター試験 現役志願率過去最高 57万人出願

現役志願率は過去最高の43.9%,約47万人,

高校卒業程度認定試験合格者の受験者が約5千人だった。

センター試験を利用する国私立大学も過去最高の694校。

なおセンター試験は2020年から新たな制度へと移行するため,あと3年で終了。

もう終わる制度なので時事問題にはなりにくいと思いますが,2017年に中3となる子からはセンター試験がありません。それに代わる制度は現在検討中ですが,到達度テストと大学入学希望者テストいう形で,高校在学中から複数回受験していくように変わる事が検討されています。つまり,これから中3になる子はもちろん,留年の可能性がある新高1生も,1・2年生の内は部活優先で3年生から入試に向けて頑張ればいいというわけにはいかなくなるという事です。制度を理解しているかしていないかは割と有利不利を分けてしまいますので,本人はもちろん,保護者の方も是非制度については調べておきましょう。

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■12月9日
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・韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾訴追案可決

朴槿恵大統領の友人の女性実業家である崔順実(チェスンシル)被告の国政介入事件で,国会は弾劾訴追案を可決した。これにより,職務権限が停止,黄教安(ファン・ギョアン)首相が職務を代行することになった。

韓国の話題では何かと騒がれている事件なので,名称は押さえておきましょう。なお,韓国は大統領制と議院内閣制が半々の国。日本は議院内閣制アメリカが大統領制ですよね。韓国の場合は国民が直接大統領を選び,大統領が国政の主導権を持っています。首相は議会から指名された内閣のトップとなり,選ばれ方が違います。このような大統領不在の非常時には職務を代行することになるので,首相は副大統領みたいな感じととらえても大丈夫でしょう。

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■12月9日
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・国家公務員の冬のボーナス 平均約70万5千円

管理職を除く一般職(平均36.3歳)平均が70万4800円で,前年より1万1500円増加となった。支給月数は2.245か月分。

給与の話はおそらく時事にはならないでしょうが,なんとなく感覚としてでも公務員の給与は知っておくといいかも知れません。バブルの時期は公務員は人気ありませんでしたが,デフレで一時期は子どもの夢のトップになるほど人気だった公務員。現在でもまだ給与は高く,人気ですね。

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■12月13日
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・こうのとり6号機 国際宇宙ステーション(ISS)とドッキング

9日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた無人物資補給機,こうのとり6号機国際宇宙ステーション(ISS)に無事ドッキングが完了した。6号機は飲み水や食料,日本製のリチウムイオン電池を用いた新型バッテリーなどを積んでいた。来年1月下旬から2月上旬にはISSを離れ,大気圏に再突入して燃え尽きる前に,スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去をする実験も行われる。

日本のロケットは友人ではないものの,無人ロケットとしての技術は非常に高く,世界からも注目を集めている。こうのとりの名称,種子島宇宙センターの場所は押さえておきましょう。

また,スペースデブリの除去実験に使われる技術の原理は,中学生で習うフレミング左手の法則です。宇宙空間に金属製のワイヤーを700メートル程伸ばし電流を流すことで,ゴミに触れずともブレーキをかけられ,スピードが落ちたデブリはいずれ地上に落下していくというもの。地味ですが,世界で注目を集めている世界初の技術です。

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■12月13日
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・大阪市営地下鉄 民営化の基本方針案が可決

民営化に前向きなのは大阪維新の会,公明党,自民党など。2018年4月の民営化を目指す。また,市営地下鉄の廃止条例案は2月に議会へ提出する予定。

小泉純一郎が総理大臣だったころに「郵政民営化」として騒がれたが,JRや東電など,現在に至るまでに様々なものが民営化されてきている。民営化のメリット,デメリットは入試においても思考力を試される問題として使われることがあるので,さらっとでもいいので考えてみましょう。

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■12月13日
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・リニア 岐阜県で初の着工

JR東海リニア中央新幹線計画の工事として,岐阜県で着工を開始し19日には名古屋駅の工事に着手した。リニアは2027年に東京~名古屋の286kmを先行開業し,時速505km約40分で結ぶ。現在東海道新幹線は同区間を1時間40分で結んでいるので,1時間早くなる。

リニアの構想が誕生したのは1962年。東京オリンピックが1964年なので,その2年前に構想が出来たことになる。新幹線の構想は1957年なので,リニアの構想自体はその5年後。新幹線はオリンピックに間に合わせて1964年開業。ここでリニアも2020年のオリンピックに間に合わせて開業,となれば面白かったのだが,費用がかかりすぎるためなかなかそうもいかない。元々JR東海は東京と大阪という日本の大動脈を結ぶ路線ということもあり,国鉄から民営化したときに国鉄時代の借金の大部分を押し付けられて発足した会社。その時からただただひたすらスピードを追究し続けて,新幹線を開発,さらにリニアモーターカーを開発してきた。それが次々と世界の追随を許さない圧倒的な技術を生み出し,いつの間にか世界一に。そんなストイックな会社なだけに,国からの支援も受けず自前でリニアを完成させると言っているのも納得はできる。完成が待ち遠しいですね。

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■12月14日
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・カジノ法案 年金制度改革関連法案 成立

カジノを含む統合型リゾート(IR)を解禁する法案(IR推進法案)と,公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(正式名称)が可決,成立した。カジノ法案は今後規制や依存症対策について検討し,1年以内にIR実施法案を作る。

カジノ法案は今まで禁止してきたカジノ(賭博)を解禁しようという法案。カジノは諸外国では大きな税金の収入源となっており,これが解禁されれば日本の税収も上がる見通しだが,カジノができると依存症や破産などにより人生が狂う人も多く出るため,その対策をどうするかが課題となっている。なお,パチンコや競馬,競輪,競艇なども実質賭博と変わらない気がするが,厳密には賭博には当たらないようになっている。また,やはり税収には大きな貢献をしている。

年金制度改革関連法案は,要するに年金カット法案だと野党が揶揄している通り,年金額を実情に合わせて変えられるようにする制度。確定拠出年金やNISA,iDeCoなどの個人年金制度を優遇したり,少子化が進んで年金の収入が減っていたりする現状から,年金額を減らして対応しないと年金制度が崩壊しかねないということの現れとも取れる。

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■12月15日
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・ロシアのプーチン大統領 安倍総理と会談

ロシアのプーチン大統領安倍総理の故郷である山口県長門市の温泉旅館で首脳会談を行った。北方領土の共同経済活動などを巡って協議し,16日は日露双方の関係閣僚を交えて東京で会談を行った。

ロシアとしては極東地域(ロシアの東側,日本の北側)の開発をしたいが,首都モスクワから距離も遠く,物価も高くなりがちなため発展し辛くて困っている。日本としては北方領土問題を早く解決したい。そのための話し合いとして会談が行われたが,成果に関しては様々な意見が飛び交っている状況。会談が行われた山口県長門市,ロシアの首都モスクワ,北方領土の場所と名称は確認しておきましょう。

なお,北方領土に関して最低限の事は知っておいて欲しいので書いておきます。

北方領土は第二次世界大戦終戦時(太平洋戦争終戦時)に日本がポツダム宣言を受け入れた後,ロシア(当時はソ連)が日ソ中立条約を一方的に破棄して北方領土まで占領。日本としてはポツダム宣言を受け入れて戦争を放棄した後だったので,反撃することもできず撤退するしかなかった。ロシアとしての言い分は,ポツダム宣言に署名をする前に占領した場所なので返還の必要はない,というもの。また,実はポツダム宣言作成時に,アメリカのルーズベルトソ連のスターリンは「ドイツ降伏の3か月後に日ソ中立条約を破棄して千島列島や南樺太を占領すれば,日本がポーツマス条約によって得た権益をソ連に与える」という密約(ヤルタ密約)がされていた。その後ソ連とは「日ソ共同宣言」により外交関係は回復したものの,北方領土に関しては「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と書かれて曖昧に。結局ソ連は解体してロシアとなり,日本も4島の引き渡しを求めたため平和条約が未だに結ばれていない状況が続いている。

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■12月15日
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・米オバマ政権 中国を穀物輸入に関してWTOへ提訴

米通商代表部(USTR)は中国が低関税の穀物輸入を約束通り実施していないとして,

世界貿易機関(WTO:World Trade Organization)に提訴。中国は米,小麦,トウモロコシの貿易量を増やすため,一定の量まで特別に低い関税で輸入する「関税割当制度」を適用しているが,中国国内の農家の保護を優先して輸入せず,輸入量は上限に届いていない。要するに中国がアメリカから穀物を輸入してくれないので,アメリカの農家にお金が入らず困っているということ。

WTOが何をするところかは知っておきたいところ。また,深く突っ込むとちょっとレベルが高いかも知れませんが,関税とは何か,なぜ必要なのか,なぜなくそうとしているのか,小学生でもこれぐらいは話せるようになっておいた方がいいでしょう。

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■12月21日
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・高速増殖炉もんじゅ 廃炉決定

高速増殖炉もんじゅ福井県敦賀市にある,核燃料リサイクルのための研究施設。建設が始まった1985当時は核燃料はリサイクル可能だと考えられ,原子力発電所を推進する上で必要なものとして,国策として推進してきたが,稼働してから25年以上経った現在でも研究の成果は出ておらず,各地で使用された核燃料は未だにリサイクルできず地中深くに埋めている。それどころか度々事故や不祥事を起こして問題視されてきた。さらに,もんじゅには1日約5000万円,年間200億円もの維持費をかけているにもかかわらずこの有様。しかし開始し出したのが当時の自民党政権だったため,やめるにやめられずここまで引きずってきた。今回の原子力関係閣僚会議でそれに一旦終止符を打つことを決めたが,核燃料サイクル政策自体は維持していくことになった。

もんじゅは不名誉なことでちょくちょく話題に上るため時事性は高いのではないでしょうか。場所と名称は確認しておきましょう。ちなみに敦賀市は「あつが」ではなく,「つるが」ですよ。

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■12月27日
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・安倍首相 ハワイで真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊(いれい)

オバマ大統領がアメリカ大統領として初めて広島を訪問し慰霊,そして総理大臣として初めてハワイの犠牲者を慰霊した。

お礼とかお返しとか,そういう事も話題になりましたが,戦争の惨禍(さんか)を繰り返さないようにするために見て,聞いて,忘れないように伝えていくことが大切。話すと長くなるため時事に関することに留めておきますが,時事性は高いと思っておいていいでしょう。真珠湾(パールハーバー)は日本が襲撃をして,太平洋戦争のスタートとなった場所です。学年に関わらず,場所も名称も押さえておきましょう。

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■12月29日
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・世界最高齢の雄パンダ パンパン死亡

中国四川省で飼育されていた31歳の雄パンダが腫瘍(しゅよう)のため死亡。世界で飼育されているパンダの4分の1近い130頭余りにパンパンの血が流れているという。

パンダは中国に生息するネコ目クマ科,レッサーパンダ科に属する生き物で,中国語では熊猫と書く。また,パンダはネパール語で竹を意味し,その名の通り竹を大量に食べる。以前はワシントン条約にて絶滅危惧種のおそれがあるため国際取引が禁止されていたが,昨年絶滅危惧種から1ランク下がり,脆弱(ぜいじゃく)な種となった。

なお,パンダは有名だが,現在日本でパンダに会える動物園は以下の3つのみ。

・東京の上野動物園(日本に初めてきたランランカンカンがいたのもここ)

・兵庫の神戸市立王子動物園

・和歌山の南紀白浜アドベンチャーワールド

いずれも中国から友好と研究のために借りているという形です。

こうやってみると,やっぱり希少種であることが感じられますね。

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アドバイスするコールセンターの女性のイメージ

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