目次
- 1 時事問題の使い方・注意点
- 1.1 アメリカでTikTokの使用を禁止する方針
- 1.2 民間宇宙船が地球に帰還 アメリカ
- 1.3 レバノンの首都ベイルートで大爆発
- 1.4 香港 民主の女神に有罪判決
- 1.5 モーリシャス沖で重油流出 日本の貨物船
- 1.6 アメリカ 香港製を「中国製」と表記義務付け
- 1.7 韓国 慰安婦寄付金の大半を不正流用
- 1.8 UAEとイスラエルが国交正常化
- 1.9 浜松で国内最高41.1℃ フェーン現象
- 1.10 GDP 戦後最悪
- 1.11 秋元司衆議院議員 IR汚職事件で逮捕
- 1.12 車サイズの小惑星 地球すれすれを通過
- 1.13 連続在職日数 戦後最長
- 1.14 中国の南シナ海建設に関わった会社に制裁 アメリカ
- 1.15 オガサワラシジミ 絶滅の可能性
- 1.16 安倍首相 辞意を表明
時事問題の使い方・注意点
中学受験対策・高校受験対策・定期テスト対策としても使いやすいように重要度を表示しています。
☆:それ自体に時事性はないが、周辺事項は押さえておいた方がいい。
★:それ自体に時事性があるもの。
星の数が多いほど重要なことを表します。
覚えるためではなく、考えること、調べることを通して学力全般に通じる力を養うことを目的としています。親子で話題にし、子どもが自分の考えを持てれば十分なので、テストにしたり、わからないことを責めたりしないように!
アメリカでTikTokの使用を禁止する方針
8月1日:☆
トランプ大統領は、中国企業が作ったTikTok(ティックトック)という動画アプリを、近く米国での使用を大統領令で禁止すると述べた。これに対して運営する中国企業は、アメリカ事業をマイクロソフトなどの米企業へ売却することを決定。
ファーウェイやZTEなどの禁止同様、中国政府による情報窃取を警戒しての措置。中国共産党は中国の企業に対して情報の開示命令を出すことができるように法律を変えてしまったため、中国製品を使ったことにより得られた情報は中国に筒抜けになる可能性が出てきたのです。
このニュース自体を覚えておく必要はありませんが、世界が中国企業排除の方向に動いている背景は知っておいた方がいいでしょう。ただし、注意点としては、あくまで中国政府である中国共産党が無法者なのであって、中国人自体が悪いわけではない、ということをハッキリさせておくこと。子どもはこの違いがわかりませんから、いじめにつながらないように、しっかり教えるべきでしょう。
民間宇宙船が地球に帰還 アメリカ
8月3日:☆
民間企業が開発した宇宙船、クルードラゴンが初めて宇宙飛行士を乗せて国際宇宙ステーションに送り届け、無事帰還。運用段階1号機では9月以降に日本人宇宙飛行士として野口聡一さんが、2号機には星出彰彦さんが搭乗してISS(国際宇宙ステーション)へ向かう予定。
民間の企業による宇宙開発が成功したということは、今後民間が次々と宇宙ビジネスへ参入していくことになることになります。特に日本が絡む宇宙関連の話しは時事問題になりやすくなっていきますので、アンテナは張っておくといいでしょう。
レバノンの首都ベイルートで大爆発
8月4日:★
レバノンの首都ベイルートで化学肥料となる硝酸アンモニウムが爆発。安全保障上のリスクが指摘されながらも長年放置されていた。これにより直径10m、深さ43mものクレーターができ、10km先まで爆風が襲った。穀物貯蔵施設なども破壊され、食糧難に陥る可能性も出てきた。
なお、レバノンのハッサン・ディアブ首相は、10日に責任を取って内閣総辞職を発表。
定期テスト対策の場合は、レバノンの場所、首都名、首相の名前は押さえておきましょう。
なお、日産の元会長カルロスゴーン被告が逃亡したのもレバノンです。
香港 民主の女神に有罪判決
8月6日:☆
香港の裁判所が、無許可集会参加などの罪に問われた雨傘運動の「民主の女神」こと民主活動家の周庭(しゅうてい,アグネスチョウ)氏に対して、有罪判決を言い渡した。量刑は12月1日に宣告される。
中国共産党に都合の悪い思想を取り締まり、逮捕するという香港国家安全法が着々と行われていっています。この判決自体は時事にはならないでしょうが、周庭氏は香港民主化の象徴的な存在となっており、香港問題自体は今後も時事問題の題材にはなるでしょう。
モーリシャス沖で重油流出 日本の貨物船
8月6日:☆
7月25日にモーリシャスの沖合で座礁していた日本の貨物船WAKASHIO(商船三井)から燃料の重油が大量に流出。最大4000トンもの重油が流出する懸念があり、モーリシャス政府は環境上の緊急事態を宣言。
なお、1997年に日本海で沈没したロシアのタンカー「ナホトカ号」は約6000トンの重油を流出させ、補償額は261億円にもなった。
モーリシャスがどこにある国かは押さえておきましょう。
なお、流出事故は度々起こっており、日本の海でも1~2年毎に起きています。重油が流出すると、魚や海藻、鳥といった海にいる生きものが呼吸困難、もしくは油で動けなくなって死んでしまいます。
海運輸送の最大のリスクとして知っておいた方がいいでしょう。
アメリカ 香港製を「中国製」と表記義務付け
8月11日:☆
アメリカ政府は、香港で製造されたものをアメリカへ輸出する場合、「中国製」と表示することを義務付ける。香港を優遇していた措置を撤廃する一環。
「Made in PRC」という表記をご存知でしょうか。時々見かけるようになったこの表記、実はPeople’s Republic of Chinaの略で、要するに中国製です。「中国製」や「Made in China」と書いてあると売れないため、生産国をごまかす意図で表記を変更しました。
情報弱者を食い物にし、知りすぎたものは排除する。それが中国共産党の国家運営です。
韓国 慰安婦寄付金の大半を不正流用
8月11日:☆
韓国の元従軍慰安婦らが生活するナヌムの家で、5年間に集められた約8億円の寄付金の大半が不正流用されていたことが発覚。支援施設で実際に使われていたのは2千万円程度に過ぎなかった。
韓国の内情のことなので時事問題にはならないでしょう。しかし、良くも悪くも、こういうニュースは子どもの正義感から興味を引き立てます。小耳にはさむ程度に知っておいてもいいでしょう。
UAEとイスラエルが国交正常化
8月13日:★★★
UEA(アラブ首長国連邦:アラブ人)とイスラエル(ユダヤ人)が対イランで協力し、国交を正常化。イラン(ペルシア人)の核開発を阻止するために手を結んだと考えられている。
浜松で国内最高41.1℃ フェーン現象
8月17日:★★★
浜松市中区で国内観測史上最高気温と並ぶ41.1℃を観測し、全国で26地点が過去最高気温を記録した。
この日浜松市では暖かい空気が山を越えて高温の風となって吹き込むフェーン現象が発生したため、気温が急上昇した。
浜松市でフェーン現象という中学受験、高校受験でよく出るキーワードが並んでしまったため、題材にする学校は少なくないでしょう。
この日の浜松の天気は晴れで、朝は北西の風で湿度は80%で気温は28℃でしたが、昼には西南西の風で湿度は32%になり、この日の昼に最高気温41.1℃を記録しました。つまり、北陸の方から吹いてきた湿った空気が、南に抜けてくる間に山で雲を作り、濃尾平野の日照りでさらに過熱され、浜松まで吹いてきたということです。
フェーン現象とは何か、どうして突然湿度が下がったのか。なぜ気温が一気に上がったのか。この辺りは説明できるようにしておくといいでしょう。
なお、暑さの基準も中学受験ではよく出るので押さえておきましょう。
- 猛暑日:最高気温が35℃以上の日
- 真夏日:最高気温が30℃以上の日
- 夏日 :最高気温が25℃以上の日
- 熱帯夜:夜間の最低気温が25℃以上の日
GDP 戦後最悪
8月19日:★
2020年4月~6月のGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)約500兆円となり、GDP成長率は年率換算で戦後最悪のー27.8%となった。リーマンショック時でもー17.8%だった。
あくまで年率換算、このままの状態が続けばという数字なので、ワクチンが開発されて経済が回り出せば状況が変わっていきます。といっても小中学生には全く実感がわかないでしょう。それでも入試には出るのです。
GDPは平たく言えば、国全体で生み出したもうけです。その金額が減るということは、国の税収も減り、国民の収入も減ることになります。公務員やサラリーマンは実感がないかも知れませんが、パートやアルバイト、給与が実績連動の人には大きな影響が出てきています。この経済的な部分での影響を、子どもにも身近なところで話をして、「コロナでこういう影響があった」という印象付けをしておけるといいでしょう。
秋元司衆議院議員 IR汚職事件で逮捕
8月20日:☆
IR(統合型リゾート)施設の汚職事件で、買収工作に関わっていたとして、組織犯罪処罰法違反の疑いで元自民党の秋元司衆議院議員を再逮捕。贈賄側の中国企業の元顧問に裁判でうその証言をするように依頼し、現金を渡そうとした、偽証の疑いが持たれている。なお、秋元司容疑者は昨年12月に収賄罪の疑いで逮捕されている。
現職の国会議員には不逮捕特権というものがあり、国会の会期中は逮捕できません。これは本来国民により選ばれた議員を、政治的な圧力により不当に逮捕して弾圧することを防ぐために作られたもの。
ここだけ聞くと逮捕されないのはズルい!と思うかも知れませんが、あくまで会期中の話であり、会期や任期が終われば逮捕されます。最もその間に証拠隠滅されてしまう恐れがあるため、難しいのですが…
今回の事件そのものは時事問題になることはないでしょう。しかし、議員がどんなことをしているのか、は国民が知っておくべきことです。あなたの税金も使われているのですから。
車サイズの小惑星 地球すれすれを通過
8月20日:☆
NASAは5m程度の大きさの小惑星が地球をかすめていったことを発表。最も近づいた時の距離は3千kmだったとし、地球にぶつからなかった小惑星としては、観測史上最接近だったとしている。この距離は地球をバレーボールとして例えると、わずか5cmの距離を飛んで行ったことになる。
「もし地球をバレーボールぐらいの大きさとして例えると…」という別のものに例えた比較は入試ではよく出てきます。これは時事問題というより、算数や数学の相似に該当する単元です。身近な天体でやっておくといいでしょう。
連続在職日数 戦後最長
8月24日:★★★
安倍晋三首相の連続在職日数が2799日となり、今まで最長だった佐藤栄作首相を超えた。
安倍晋三首相は2006年に戦後最年少の52歳で内閣総理大臣となったが、体調不良のため約1年で退陣、2012年に再び首相となった。
通算の在職日数でも、2019年11月にそれまで最長だった桂太郎を抜いて、最長記録を更新中。
連続在職日数2位となった佐藤栄作、通算在職日数2位となった桂太郎については、受験でも超重要人物。
いつ何をした人物かも押さえておいた方がいいでしょう。
佐藤栄作は安倍晋三の大叔父にあたり、沖縄返還、非核三原則、ノーベル平和賞を受賞したことで有名。
桂太郎は日露戦争で東郷平八郎を起用し勝利。また、日露戦争後のポーツマス条約で小村寿太郎を外務大臣に起用し、関税自主権の回復を成し遂げたが、第一次護憲運動が起きて失脚。
中国の南シナ海建設に関わった会社に制裁 アメリカ
8月26日:☆
アメリカ政府は、中国共産党が違法に南シナ海を軍事拠点化するのに関わった24社に対して禁輸措置を発動したと発表。
中国共産党は南シナ海の約90%の領有権を主張し、同じく領有権を主張するフィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾に対して軍事的圧力を行い、人工島を建設し、軍事拠点化を行った。
これに対して国際司法裁判所が、2006年に中国共産党の行為は違法行為であると判決を出したにもかかわらず、その判決に従わずに軍事拠点化を加速していた。
アメリカはこれに対して中国共産党の違法行為に関わった会社に制裁を加えた形。
中国共産党は同日南シナ海に向けて対艦弾道ミサイルを4発発射。
これ自体が時事問題になることはありませんが、ニュースの問題点として考えるべきことが含まれています。
この南シナ海関係のニュースは日本ではあまり大きく取り上げられていません。しかし尖閣諸島関連は連日のように報道されます。実は同じことが世界では起きており、世界からしてみると尖閣諸島はよくわかっておらず、ニュースにもなっていないのです。
つまり中国共産党からしてみれば、烏合の衆がそれぞれぴーちくぱーちく言っているだけであり、国際社会としての圧力になっていないということです。
日本にいるから日本のことが気になるのは当たり前ですが、日本のことだけしか見えない視点では太刀打ちできないのです。そしてそうなってしまっている原因は、教育段階から受け身であることが当たり前となっていること。これはこのニュースだけの問題ではなく、日本の教育そのものの大きな問題の1つ。多角的な視点を持ち、周りの状況にも気を配れる力は受験にも通じてきます。
オガサワラシジミ 絶滅の可能性
8月28日:★
環境省が国の天然記念物に指定されている小笠原諸島固有のオガサワラシジミというチョウが絶滅した可能性があると発表。
多摩動物公園や新宿御苑で繁殖を試みていたが、受精率が低下し、飼育していた幼虫と成虫が全て死んでしまった。
近親交配が繰り返されたため、異常が出た可能性があるという。
人工的に増やす技術が向上しているとはいえ、既に減ってしまった個体を増やすのはなかなか大変なのです。
トキも同じように、努力もむなしく絶滅してしまい、遺伝子的に復活させることができたに過ぎません。
こういった自然環境に関わる話題は増えてきていますので、耳にしておくと、どこかでつながってくる可能性があります。
安倍首相 辞意を表明
8月28日:★
安倍晋三首相が健康問題を理由に辞意を表明。来月総裁選に。
実際に時事問題になるのは来月総裁が決まった後でしょう。なお、来年は衆議院選挙のため、次に決まった首相が解散を行う可能性もあります。やはり首相の交代、解散や選挙といった大きなイベントは入試レベルの時事問題となるため、その時だけ気にかけるのではなく、来年、再来年の受験生は今から国会、選挙に関する話題を気にかけておきたいところです。
ありがとうございます!
素晴らしいです。テスト勉強の参考になりました。