受験にどう役立つ?
中東の問題は複雑なため,なかなか時事問題にはなりにくい問題ですが,それゆえ難関では中東問題が取り上げられることもしばしば。
全てを完璧に押さえておく必要はありませんが,ある程度何が起きているのかは知っておくと,近代史,公民の周辺知識に関わってきます。
何が中東に送られたの?
海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が中東のシーレーン(海上交通路)を航行する日本関係船舶の安全を確保するために長期派遣されました。
P3Cという哨戒機(しょうかいき)は既に2機派遣されて活動しています。
哨戒というのは要するにパトロールのことで,P3CのPはここから来ています。
要するに空からパトロールするための飛行機ということです。
何が問題なの?
護衛艦「たかなみ」というのはその名の通り護衛をするための船で,以前でいうところの戦艦に当たります。
最も現代戦においては戦艦というものは存在しないため,武力を有した船という解釈になります。
要するにミサイルを搭載している船ですね。
自衛隊は本来日本が占領された,もしくは攻撃された時に守るためのものなので,武力にあたるものを有した船が日本を離れて中東まで長期派遣で出向くのは異例なことなのです。
なぜ中東に自衛隊が派遣されたの?
根底にあるのはアメリカとイランの対立です。
この二つの国が対立することで,中東,特にホルムズ海峡は非常に不安定な情勢になってしまいました。
しかしこのホルムズ海峡は石油の輸出入に欠かせないルート。
ほとんどの船がここを通ります。
よって以前のように攻撃されるとひとたまりもありません。
そこでアメリカが有志連合を立ち上げて,みんなで中東の船を守ろう,ということになったのです。
有志連合に参加している国は,現在アメリカ,イギリス,オーストラリア,バーレーン,サウジアラビア,アラブ首長国連邦(UAE),アルバニアの7カ国となっています。
自衛のためではないのに派遣できるの?
そこが問題なのですが,本来自衛のためではないのに派遣すると国際問題に発展しかねません。
しかも日本はイランとアメリカの間を取り持つ役割をしており,以前からイランと日本は信頼関係があります。
そんなところに自衛隊を派遣したとなれば,喧嘩を売っているとも捉えられかねません。
そこであくまで防衛省設置法の調査研究という位置付けで,有志連合には参加しないけれど,アメリカの顔を立てる形をとりました。
このような駆け引きは外交ではよく行われるものです。
要するに物は言いようということです。
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