受験にどう役立つ?
全国あちこちに基地があるので見た事がある人も多いでしょう。
迷彩柄のジープやトラック。
灰色で包まれた飛行機や船。
陸上自衛隊の富士総合火力演習を見たことがある人なら,あれは軍隊以外何物でもない組織だと思う事でしょう。
この自衛隊に関しては,政権が憲法改正をすると言っているので何かと話題になり,時事関連の問題として入試でも数多く取り上げられてきています。
自衛隊とは何か,がストレートに問われることはないでしょうが,自衛隊ができるまでの経緯は歴史に,自衛隊の解釈は公民として関連付くので,知っているとこの単元が出てきた時に理解しやすくなります。
しかも周りの子は,内容が難しいため知らない事も多いので,知っていると大きな差をつけられます。
自衛隊になるまでの流れ
ところで小中学校で誰もがならう日本国憲法。
日本は第9条で戦争の放棄を掲げています。
戦争を放棄した日本がなぜ自衛隊という軍隊そのものの組織を持っているんですかね?
話は第二次世界大戦の終戦までさかのぼります。
1945年8月6日,9日
原子爆弾が広島,長崎に投下される。
1945年8月14日
ポツダム宣言受諾
⇒ 戦争終結
1946年11月3日
日本国憲法 公布
⇒ 憲法第9条に戦争の放棄を記載
1947年5月3日
日本国憲法 施行
⇒ 日本国憲法が効力を有した日
1950年 朝鮮戦争勃発!
軍隊がない日本は巻き込まれたらヤバい!!!でも軍隊は持てない…どうしよう…そうだ!あくまで警察という事にしよう!
⇒警察予備隊発足
1954年 自衛隊法・防衛庁設置法制定
⇒ 現在の自衛隊の形に組織を再編。
自衛隊はどうして作られた?
1946年の日本国憲法の公布。
日本やアメリカはこの時点ではこれで戦争がなくなると思っていたのです。
だから「もう二度と戦争をしちゃいけない!」そういう思いで日本国憲法を制定したのです。
ところが,1950年に朝鮮戦争が勃発。
お隣の韓国と北朝鮮が戦争を始めたのです。
そして北朝鮮が韓国をほとんど占領。
さらに日本に対して,「韓国の味方をするなら日本も敵だ!」と言ってきました。
武力を持って対抗した韓国でさえ占領されてしまったのに,武力を持てない日本が太刀打ちできるわけがありません。
1951年に締結された日米安保条約ではアメリカに防衛義務がない。
だから自衛するしかなく,急遽警察予備隊を発足させたのです。
その後,1954年には名称を警察から独立させるべく自衛隊と改称して独自組織に。
1960年には新しく日米安保条約を締結し,そこには防衛についてしっかり記されることになりました。
朝鮮戦争はなぜ起きた?
この朝鮮戦争は第二次世界大戦の時に日本が占領していた事に端を発します。
戦争が終結した1945年,日本は占領していた朝鮮の統治権を放棄する事になりました。
この時にアメリカとソ連が朝鮮半島を38度線で分断する事に決めました。
実はこの38度線,根拠はあるとはいえ,30分程度の話し合いだけで勝手にパパッと決めちゃったものです。
なぜ1つにまとめずに2つに分けたのかというと,終戦直後までソ連と日本は領土の奪い合いをしていたんですね。
朝鮮半島もその1つでした。
実際ソ連は日本はポツダム宣言受諾後も数日に渡って侵略しています。
北方領土もその1つですよね。
日本がポツダム宣言受諾後に占領されています。
つまり,朝鮮半島は,日本がポツダム宣言を受諾後にも侵攻しているソ連に対して,アメリカが「もうおしまい!ここまでにしよう!」とソ連に掛け合って,38度線で分けたために2つに分断されたのです。
結果,ソ連側が現在の北朝鮮,アメリカ側が韓国となりました。
さて,そんなこんなで決められた38度線。
守られる訳もなく,韓国と北朝鮮は戦争に突入していきます。
それが1950年の朝鮮戦争です。
なぜ警察予備隊?
1947年の時点で日本国憲法を施行した日本は,その憲法の第9条に戦争の放棄をかかげ,軍隊を持たない事を明言していました。
よっていくら朝鮮戦争に巻き込まれるかも知れないからといって,軍隊を持つ事は作ったら,いきなり憲法に違反することになる。
そこで考えられた方法が,
「あくまで警察(治安維持)の延長である!軍隊(敵国占領目的)ではない!」
という名目のもと,実質軍隊と同等の武力を持つ方法でした。
だから警察予備隊なんですね。
そのため,募集もあくまで「警察」として行われ,軍人としての募集は行われていません。
この警察予備隊が後の自衛隊となります。
どうして自衛隊にしたの?
第二次世界大戦で実質権力を持っていた旧帝国海軍は,一度は解体されたものの,素人では軍艦の運用が務まらないため,もう一度招集されます。
これが後の海上保安庁(現国土交通省管轄)となり海上警備隊に。
その後,警備隊(現防衛省管轄)へと分離して再編。
1954年に自衛隊法が出来てからは海上自衛隊として組織された。
海上自衛隊の旗が,旧帝国海軍時代と同じ旭日旗(きょくじつき)なのはこのためです。
一般から募集されて新たに作られた警察予備隊は保安隊に改組。
これは自衛隊法が出来てからは陸上自衛隊となっています。
航空自衛隊は自衛隊法により新たに組織されました。
こうして日本は陸上自衛隊,海上自衛隊,航空自衛隊を持つ事になったんですね。
自衛隊と海上保安庁は何が違うの?
なお,ドラマ「海猿」で有名な白のベースに青いロゴの船は海上保安庁(Japan Coast Guard)であり,管轄は国土交通省。
こちらは明確に軍隊ではなく警察であると明言している組織で,軍事行動は一切行いません。
それゆえ尖閣諸島問題などで中国船とやり合う時も,相手をするのはあくまで民間船,民間人のみ!
中国軍管轄の船,飛行機には絶対に手を出しません。
軍としての活動が必要だと判断された場合は海上自衛隊(防衛省管轄)が動く事になります。
ニュースで映像が流れる事も多くなってきていますので,折に触れて話してみて下さい(^^)/
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