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交通機関で子どもの思考力は鍛えられる
受験を考えると電車に慣れておいた方がいい?
入試というのは、それでなくてもいつもとは異なる環境での試験になります。
朝の電車もその一つでしょう。
そのため、電車自体に慣れておくことはとても大切です。
親が電車を間違えて遅刻しそうになったという話も聞きますからね(^^;
ご相談のお母さんもそんな心配から、電車慣れをしておいた方がいいかということですが、電車には慣れ以上に重要な役割があるんですね。
今回はそのお話をしましょう。
入試に出るからでは公共交通機関を使うことを推奨しているわけではありませんでしたが、開成中で出題されました。
意外と電車に乗れない子が多い
電車に乗れない子。
乗ると迷子になる子。
今はスマートフォン一つでマップ、GPS、乗り換え案内など様々なツールが補助してくれて迷うことも少なくなりましたが、それでも電車が恐い、わからないと言う子は結構います。
なぜ電車に乗れないのでしょうか。
大きな要因として、
- 行き先の地名がわからない。
- 快速など、目的の場所に止まらない電車がある。
- 乗り換えでホームがわからず迷う。
が挙げられます。
そしてこれらの力は、実際に何度か乗っていればすぐにわかってきます。
しかし乗ったことが少ない子は全然わからないんですね。
そしてこの電車に乗った経験は、学力にも影響を及ぼしているのです。
電車に乗れないことが学力に及ぼす影響
例えば行き先がわからない子。
こういう子は位置関係を把握しようとする力が乏しい可能性があります。
すると大抵地図が読めない、もしくは興味がないため、地理が出来ない事が多いのです。
快速などの止まる駅がわからない子。
これは今となっては乗り換え案内の普及でほとんど間違える事もなくなったようですが、駅のどこか、もしくは電車の中に書いてあります。
つまり必要な資料を探して読み取る力が試されるわけです。
よってこれを苦手としている子は、社会の資料の読み取りはもちろん、理科の資料を扱う問題を苦手とするケースが多いのです。
乗り換えでホームがわからず迷う子。
これも資料の読み取りに通じるものがありますが、人の話を聞けるかどうかにも影響しています。
案内板が目に入らなかったり、アナウンスを聞いてなかったり、我が強かったり、思い込みが激しかったり。
そのため、問題をよく読まずに間違える事が多くなる傾向にあります。
このように、電車に乗れるかどうかで、ある程度学力の推測は可能なのです。
日常の生活だけで鍛えられる
電車に乗れるかどうかで学力がわかるということは、逆に言えば、普段の生活から、学力の本質は鍛えられると言うことです。
親がよく迷うから、子どもが連れていくなんて話を時々聞きますが、こういう子どもには社会が出来る子が多いというのも,その一例です。
親には日常でも子どもにとっては非日常。
そんな状況をうまく使えると、子どもの学力向上にも一役買ってくれるものです。
実際に公共交通機関を題材にした入試問題もあります。
最難関中学で有名な開成中でも出題されたことがあるのでちょっと紹介しましょう。
開成中で出題された交通機関の問題
問題
問13
下線部⑬(大江戸線)について、上野御徒町駅で大江戸線に乗るときについて、次のうちの正しいものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 都庁前駅に行くためには1番線に乗らなければならない。
イ 都庁駅前に行くためには2番線に乗らなければならない。
ウ 都庁駅前に行くためには1番線・2番線のどちらに乗ってもよい。
問14
東京の地下鉄について、次の文のうち正しいものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 東京の地下鉄はすべて地下を走り、途中で地上に出ることはない。
イ 東京の地下鉄でビルの3階にホームがある線はない。
ウ 東京の地下鉄には、都営地下鉄・東京メトロ・東京モノレールの三つがある。
エ 東京の地下鉄は浅草~上野間が最初だが、これは現在では銀座線の一部になっている。
よくツイッターやブログで見かける開成の問題には大江戸線の路線図が載せられていますが、実際の問題では路線図は載せられていません。
問13 ウ
問14 エ
教える時のポイント
めちゃくちゃマニアックな知識が要求されるみたいですが、難関中を受けるなら、ここまで覚えなきゃいけないのでしょうか…
この問題、確かに問題の本文を読んでもヒントになりそうなものはほとんどありません。
都営大江戸線についても都庁駅前についても書かれていないんですね。
ではどうやって解くのでしょうか。
実はもう大江戸線に乗ったことがあるかどうかだけで決まるんですね。
というのも、この大江戸線は都庁前駅を起点として、周回している鉄道なんですね。
東京都で一周している鉄道といえば山手線も該当しますが、実は大江戸線も一周しているのです。
まぁ正確には何周も回れるわけではなく、都庁前駅で折り返し運転となっている周回コースですが。
「そんなの知らないよ!」
と思うかも知れませんが、大江戸線のこの独特な形は、一度乗って興味を示していれば一発で印象に残ります。
開成受験者ともなれば、たとえ遠征で関西の方から受験に来たとしても、興味を示して気付いているはず。
問14は地下鉄の構造や歴史まで知らないと解けなさそうですが…
問14では東京の地下鉄の歴史まで知らなければいけないのかと言う気もしますが、よくよく考えれば、アとイは矛盾していることに気が付きます。
つまり、ア(地上に出ていない)が正解ならイ(3階のホームはない)も正解でないとおかしいため、アはありえないのです。
イの3階が駅になっているのは銀座線の渋谷駅ですね。
渋谷はその名の通り、「谷」になっているため、地下鉄がそのまま走ると外に出てしまう地形なので、地上3階に出てしまうのです。
これも一度渋谷駅に降りたことがあればわかるでしょう。
ウに関しては、モノレールなのに地下鉄?と違和感を感じることができれば、おかしいと思って外せるでしょう。
地下鉄ならモノレールにする必要はありませんからね。
なぜ地下鉄ならモノレールでない方がいいのかは、子どもに考えさせてみてもいいでしょう。
ちなみに一応羽田空港に入る部分だけは地下になっていますが、地下鉄の定義は「大部分が地下」なので、東京モノレールは地下鉄ではありません。
このように考えると、イかエまでは絞れるので、2択になります。
東京に住んでいるなら渋谷駅が3階にあることは有名なので、エに絞れるということです。
やっぱり相当な知識量が要求されるんですね…
確かに知識量が必要なことには違いありません。
しかし要求されているのは丸暗記の知識ではない、というところがポイントです。
確かに東京に住んでいないと入って来ないような情報も必要とされていますが、遠征して開成を受験しに来るぐらいなら、開成は東京問題を必ず出すことぐらいは知っているでしょう。
そんなところは問題ではないのです。
そうではなく、日々の生活の中で、どれだけ疑問を感じ、自分のものにできているかが試されているのです。
言い換えると、そういう日常から気付きを得られる子に来て欲しいというメッセージとも取れるのです。
日常の疑問は、子どもが感じても親や周りの大人が潰してしまうことが多々あります。
いかにその気付きを活かしてあげられるか、がカギなんですね。
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うちの子は小さい頃から車での送り迎えがメインで、電車に乗ったこともほとんどありません。しかし入試では公共交通機関を使っていくことになると思います。今の内から公共交通機関を使って慣れておいた方がいいのでしょうか。