明治の遺構は結構ある
身近なものにも歴史ある遺産が結構あるものですが,意外と気付かないもの。そんな例を蘇我教室の近くで子ども達と歩いている時に見つけたので紹介致しましょう。
まず学習法指導塾PHIの蘇我教室がある場所ですが,蘇我駅から徒歩10分程の内房線の線路沿いのこの場所。
この線路沿いを子ども達と歩いている時に,レンガを使った建造物らしきもののかけらが落ちているのを見つけたんですね。 それがこれ。
これはよく見てみればわかると思いますが,破片にしてもレンガの形がいびつなんですね。ということは,かなり古い建造物の破片と考えられるのですが,線路沿いの建物は全て新しい建物ばかりで,門などの外装も含めてレンガ造りのものは全くありません。
ちなみにこの周りにはいくつかこのような破片が落ちており,それらを見てみるとどうやらイギリス積みをされた建造物の一部分のように見えました。イギリス積みというのは明治時代に日本に普及したレンガの積み方の1つなのですが,強度がある積み方とされているので,鉄道の橋脚や台座といった重いものを支える必要がある場所に使われていました。となればおそらく線路の工事中に出てきたものを放り投げたと考えるのが普通。そこで線路沿いを歩いてみると…見つけました。
これは内房線の曽我野踏切(蘇我野踏切)というPHI蘇我教室のすぐ近くにある踏切の標識なのですが,この標識,ご覧の通りモチーフが汽車なのです。現在汽車は走っていませんので,現行の標識では電車がモチーフとして描かれています。そしてこの標識が使われていたのは1963年から1986年までの間だけ。それ以降は順次変更されていますので,少なくともこの標識は30~50年はこの場所に立ち続けている計算になります。
そしてこの曽我野踏切(蘇我野踏切)でレンガで作られた遺構を見つけました。
線路の下にレンガが使われています。 写真のこの部分の下は昔から水路だったようで,現在も水が流れるようになっており,現在の内房線(当時の木更津線)が作られる前は周りが田んぼで,川や水路があったんですね。そのためこの部分は橋脚か橋台だったと考えられます。 木更津線(現在の内房線)が作られたのは1912年(明治45年)でコンクリートが使われだしたのが1903年(明治36年)頃から。軍艦島で日本最初のRC構造のマンションが建築されたのが1916年(大正5年)のことです。そして1923年(大正12年)に発生した関東大震災でレンガ造りの建物が多数崩壊したこともあり,それ以降は急速にコンクリートが普及しておりレンガ造りの建造物が新たに建てられることはなくなってきました。しかし内房線が作られたのは明治時代のため,内房線沿線には現在もレンガを使用していた時代の建造物が残っており,レンガ作りの橋脚や橋台もところどころ残っているのです。もちろん建て替えられたところはコンクリートになっているか,コンクリートで補強されています。
今回見つけたこの踏切のレンガ部分も周りがコンクリートで補強されているものの,レンガ部分は新しく作り直したとは考えられないため,木更津線が作られた時のものがそのまま残されていると考えるのが自然でしょう。つまり,明治時代の建造物の一部,100年近く前の建築物の遺構である可能性が高い,ということです。
普段あまり意識していないものも,ちょっと違和感を感じると,そこから面白い発見があるものです。とくに子どもはわからないことが多いので,大人からしてみれば大したことないと思うようなものを見つけて興味を示します。今回のレンガの破片も大人が見ればただのレンガの破片です。もしかしたら門や玄関に使われていた外装やおしゃれのためのレンガを廃棄した時の残骸だと考えて終わりかも知れません。
しかし子どもには思い込みがないため,様々なものに興味を示すのです。それを学びに変えられないのは,子どもの興味に大人が興味を示さないからです。大人が歴史に興味がなければ,子どももレンガを見つけても興味を示さないのです。しかし中学受験に出ると言われれば,明治時代の世界遺産のレンガ造りの建物はわざわざ旅行してでも見に行くじゃないですか。規模や文化的重要さは違えど,それと同じ年代物の遺構が蘇我にもあるのです。蘇我に関わらず,ただ気付いていないだけで身近には結構あるものなのです。特に鉄道関係と水路関係のレンガの建造物は明治時代のものがそのまま残っていることも多く,ちょっと調べてみると歴史を感じることができるはずです。ぜひ日常の当たり前というフィルターを取り除いて周りを見てみて下さい。塾に行かせなくても,子どもに学ばせる機会なんてそこら辺にいくらでも転がっているものです。考える子どもに育てるにはどうしたら良いか,お悩みの方はPHIへご連絡下さい。PHIでは保護者向けのセミナーも実施しており,子どもを変える接し方や話題の提供もお話しております。
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