受験失敗は負け組?楽しい塾との決別
今回はオンライン授業の生徒で高校受験に失敗した子の話をしましょう。
中学受験の子ではありませんが、不合格に対する考え方として、知っておいて欲しい考え方です。
この子は中2の末にファイへ来たのですが、勉強は全然できず、自信がある科目も得意科目もない。
強いて言うなら、英語だけがずば抜けてできない状態で、学年順位も下から数えて何番目という位置にいました。
ファイのオンライン授業に来る前まで別の塾にいたのですが、成績は一向に上がる事がなく、転塾を検討していました。
ところが、本人は塾を変えようかとなった時でも「友達がいないのが怖い」「宿題が多いのが心配」「部活やりたい」と言ってファイへ通う事をためらっていました。
私も「ぜひファイへ」などと言うつもりはなく、「どうぞ本人にゆっくり考えさせて結論を出して下さい。」と言っていました。
この子は悩みに悩んで最終的にはファイのオンライン授業に来るという決断をしました。
しかし決断をして通ってきたものの「できない」「終わらない」とぴーぴー泣いてばかり。
授業中も泣き出して突っ伏してしまうこともしばしば。
しかしそれでも通い出してからは、やめる、もうヤダ、などと言い出すことはなく、しっかり続けました。
一向に伸びない成績。そして戦略変更。
残念ながら成績は上がったとは言えません。
一時的にちょっと上がることはありましたが、自己ベストには届かず。
むしろ順位は下がっている状態で、中3の12月を迎えました。
この子は言いました。
正直、私はこの時悲しい気持ちになりました。
確かに成績として結果が出ていませんでしたが、この子の勉強の質は確実に向上しており、実際あれだけ嫌だ嫌だと言って避けていた英語の勉強も、夏からは中1のテキストから全部やり直すと言い出し、成績は少しずつ伸びてきている兆しが見えていました。
最も英語に集中しすぎて他の教科で足を引っ張られ、5教科では下がっていたのですが、本人が泣きながらも勉強に前向きに取り組み始めた事が嬉しかったので、ここで公立を諦めて欲しくはありませんでした。
しかしこの子こう続けました。
「私立単願にしますが、勉強をやめるつもりはありません。高校に行って同じ思いをしたくないんです。だから早めに受験を終わらせて、高校までの3か月間で中学の勉強を全部やり直して高校に行きます。」
普通に考えれば「受験から逃げたいだけだろ」と思ってしまうところですが、この子は違っていました。
勉強のやり方を変えたことで、成績に現れなくとも確実に結果を出せることを実感し、成績に現れないのは、今までの負債を解消するための時間が足りていないせいだと結論付けたのです。
そして入試までの残り2か月を、入試のための勉強に費やしても間に合わないこと、入試が終わって高校に入るまでの1ヶ月で負債を解消するために勉強しても、高校入学までに間に合わないことまで冷静に分析しました。
その結果、私立単願で早めに入試を終わらせて、高校入学までの3か月の間に1から全部やり直せばギリギリ終わらせられるという結論に至ったのです。
狙うのは粘り勝ち!そしてトップへ!
その言葉通り、この子は私立の受験が終わった後、浮かれることなく、周りの受験生と同じ勢いで中1からの勉強を開始しました。
周りの私立単願組が浮かれて先生に怒られているのを尻目に、1つずつ丁寧に、淡々と復習を続けていきました。
ここで予定通り高校入学までに中学校の復習を終えて入学しました、となればかっこよかったのですが、現実はそうもいかず、全く終わり切りませんでした。
高校に入ってからは結局進みが早い授業に翻弄されながらも、何とか乗り切った感じで、成績もほぼビリといっていい成績。
ところがそれでもこの子はめげず、夏休みにまた復習を再開。
それでも終わらず、秋、冬へと延長戦。
そしてとうとう、
「先生、数学で1位取った!」
その後も数学は1位を取り続け、他の科目も追随するように学年トップレベルへ。
普通科のクラスにも関わらず、あっという間に特進クラスの子すら抜き去ってしまいました。
第一志望の指定校の権利を取った!でも…
そしていよいよ大学入試。
中学生の時からずっと行きたいと言っていた大学の指定校推薦が取れるレベルにまで来たこの子は、当然指定校推薦を志願。
ところが高校の先生に言われたのは、
「もう指定校推薦で受けなくても、普通に受けて合格できるでしょ。指定校推薦は他の子にあげていい?」
その大学は決して簡単な大学ではなく、1ランク、2ランク上の高校の子たちが受験するような大学。
実際この子の高校から一般で受験して合格する子なんて、ほぼ皆無。
だから指定校推薦を目指して来たのにこのコメント。
普通なら「いえ、指定校で受けます」というところです。
ところが、そんな夢にまでに見た権利を手に入れたというのに、この子はなんとあっさり承諾!
しかも私のところには事後報告でした(笑)
「大丈夫ですよ。どう受験しても合格しますから。」
と。
そして言葉通り、見事にあっさり合格!
途中計画通りいかないことも多々ありましたが、最終的には中3の12月に言っていた第一志望の大学に、見事に合格していきました。
合格。その後
さらにこの後にはさらに続きがあります。
かねてからの第一志望の大学進学後に、この子はその学科の中でも、主席に近い優秀な成績を収めます。
一部研究は大学の模範として、教材や資料として使われるぐらいまで評価されました。
この報告をしてくれた後、こんなことを話してくれています。
「もしファイで勉強のやり方を教わっていなかったら、ずっと小学校、中学校の延長戦を繰り返していたと思います。要領が悪いのはわかっていたけれど、それでも勝てる自分に合った勉強方法を教えてもらっていなければ、今こうしていなかったと思います。これから国家試験ですが、勉強を怖いとも嫌だとも思っていません。あの時、点数を取ること、合格することを捨てて本当に良かったと思っています。自分に合った勉強法を身に着けることは、それ以上に大切なことだと身をもって体験しました。」
さて、この子の高校受験は本当に失敗だったのでしょうか?
私はそうは思いません。
高校受験を通して変わったことで、結果的にこの子は成功しています。
合格、不合格など一時的な評価に過ぎません。
その受験を通して何を学んだのか、後になって活きてくるのは、結局そちらの方が大きいのです。
受験で終わらせるのか、受験の後につなげるのか。
これは受験前の勉強の仕方で、既に決まっているものなのです。
あなたはお子様に、受験を通して何を学んでもらいたいですか?
合格さえすればいいですか?
不合格は敗者ですか?
不合格で敗者になるかどうか、それは親の受験への考え方次第で決まります。
特に中学受験では。
受験に捕らわれず、自分のための勉強を身につけさせたいとお考えなら、ファイへご連絡下さい。
オンライン授業なので、ネット環境さえあれば対応できます。
「公立、諦めます。だから私立単願で受験します。親にも許可を得ました。」