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ひな祭りから学べる中学受験に役立つ話題
年中行事の1つ、ひな祭りは女の子がいる家なら、言わずと知れた行事でしょう。
逆に男の子だけの家では縁がないかも知れません。
一応簡単に概要をお話すると、ひな祭りは3月3日に女の子の健康と成長を祈る年中行事の一つです。
ひな人形をはじめ、桜や桃の花を飾り付け、雛あられや菱餅などを備えます。
また、家族や親戚を交えて白酒やちらし寿司を食べます。
ひな祭りやひな人形自体が中学受験で問われることはほとんどありません。
しかし二十四節気の一つとして関連事項が問われることはあります。
特に由来に関するものは、平安時代と密接に関係しているため、話題になりやすいですね。
また天皇を始め、公家(くげ)の役職も知っていると歴史の勉強がやりやすくなります。
特になぜ豊臣秀吉が将軍以上の権力を手に入れることができたのか、はこの公家の役職が関係してきます。
ひな人形
人形なのはわかるけれど、あれが誰で何なのかわからない子も多いはず。
説明書に書いてあるのと思いますが、見慣れない用語も多いため、簡単に解説しましょう。
男雛(おびな)と女雛(めびな)
段の一番上にいる、もしくはひな人形と言えば…と言えるような代表的な2人。
これを男雛(おびな)と女雛(めびな)といいます。
「うれしいひなまつり」という歌の歌詞に「お内裏様(おだいりさま)とお雛様」が出てきますが、お内裏様とは2人合わせた呼び方です。
そしてお雛様というのも、男雛と女雛合わせてお雛様なので、「うれしいひなまつり」の歌詞の意味はちょっとおかしいですね。
並びは日本古来からの向かって左が女雛という置き方と、西洋の文化が入ってきてからの向かって左が男雛という置き方があります。
どちらが正しいというのはありません。
三人官女
官女(かんじょ)というのは、天皇のお世話をする女性のことです。
この3人、よく見ると顔が微妙に違うはずです。
真ん中の1人だけ、眉毛がなく、引眉(ひきまゆ)をしていて口の中が黒いのです。
これは既婚女性だからなんですね。
逆に言うと、眉毛があるのは未婚の印ということになります。
最も、時代によって解釈が変わるので、絶対ではないのがややこしいところですが(^^;)
五人囃子(ごにんばやし)
囃子(はやし)というのは能楽(のうがく)の演奏形式の一つで、雰囲気を高めるために添える音楽を言います。
お祭りの時に聞こえる笛や太鼓の音を祭囃子(まつりばやし)と言いますね。
あれのことです。
なお、能楽は日本の伝統芸能なので、無形文化財にも登録され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
また、能楽を大成させたのは、観阿弥(かんあみ)と世阿弥(ぜあみ)で、彼らは入試でも問題になります。
ちなみに能楽が由来になっている言葉は現在も多数残されています。
どのような使われ方から転じたのか、考えてみても面白いでしょう。
- 芝居
- 番組
- 役者,脇役
- 囃子(はやし)
- ノリ:「ノリがいい」と使わる「ノリ」とは、能の中で使われる囃子のリズムがいいことから使われるようになりました。
- 埒(らち)があかない
- 三拍子そろう
- 打合せ
- 出勤
- キリ:「キリがいい」「ピンからキリまで」で使われる「キリ」は、能の最後の部分のことを指す言葉でした。
- 板につく
- 白羽の矢が立つ
- 初心忘るべからず
- あこぎ:「あこぎな商売」で使われています。
- 二枚目,三枚目
- 男前
- 黒幕
右大臣と左大臣
「うれしいひなまつり」には右大臣というのが出てきますが、ひな人形には本来右大臣はいません。
というのも律令制(りつりょうせい)の下では、政治のトップは太政大臣、ナンバー2が左大臣、ナンバー3が右大臣なんですね。
ということは、天皇にかなり近い、偉い身分の人達なのです。
そんな人が武装してますかね(^^;
ということで、この武装している人達は、本来の役職で言う右大臣でも左大臣でもなく、武装しているので、将軍のはずなのです。
が、ひな人形なのであまり細かいことは考えなくてもいいでしょう。
とりあえず、お雛様で右大臣と呼ばれているのは右近衛少将(うこんのしょうしょう)で、左大臣と呼ばれているのが左近衛中将(さこんのちゅうじょう)と考えられます。
中将の方が、少将よりも立場が上なので、左がナンバー2で、右がナンバー3ですね。
この辺りは知っていると受験勉強を理解しやすくなるでしょう。
随臣(ずいじん)
下の方にいる武装した人たちは、随臣(ずいじん)と呼ばれ、天皇の側で警護する人達です。
先程話した通り、通称右大臣、左大臣と呼ばれていますが、正式名称を近衛中将(このえちゅうじょう)といいます。
近衛という漢字の通り、近くで衛るという意味ですね。
「うれしいひなまつり」に出てくる右大臣がこの左近衛中将のことを指すのであれば、警護の人がお酒飲んで酔っ払っているのはマズいと思うのですが(^^;
それはともかく、近衛という苗字は第二次世界大戦でも出てきますね。
近衛文麿(このえふみまろ)。
そう、大東亜共栄圏を提唱した総理大臣です。
この「近衛」という苗字は天皇家の近くで守っていた家系の人々なんですね。
雛あられと菱餅
白色は雪、緑色は植物の芽吹き、ピンク色は血と生命、黄色は紅葉を表していると言われています。
また、この4色は季節も表しています。
ピンクが春、緑が夏、黄色が秋、白が冬ですね。
そして三色で菱形に切られているお餅ですね。
菱形の理由には諸説がありますが、菱という植物の実が菱形で、菱餅は菱(ひし)の実を入れて作っていたためとも言われています。
官位
官位制とは、天皇に使える人のランクを表したもので、歴史ではあまり出てきません。
しかし官位制と結びついた役職は歴史でもよく出てくる名称なので、知っている人も多いでしょう。
まず一番トップが正一位(しょういちい)と呼ばれるランクで、その下に従一位(じゅいちい)と呼ばれる位があります。
このランクの人は行政を行うトップの太政大臣にあたります。
そしてその下の正二位と従二位が左大臣と右大臣。
さらに続き、正三位(しょうさんみ)が大納言で、従三位(じゅさんみ)が中納言となります。
この従三位には、軍事をつかさどるトップもつきます。
それが大将です。
つまり、軍事トップの征夷大将軍は官位制でいうところの従三位にあたるということです。
それに対し、豊臣秀吉は正一位を取ったので、将軍よりも偉くなったということですね。
ちなみに少納言は従五位にあたり、ここまでが上級官人という扱いになります。
つまり、正六位以下が下級官人ですね。
冠位十二階と色
聖徳太子が作った冠位十二階はひな人形の色にも影響を与えています。
一番官位が高いのが濃い紫で、その次が薄い紫ですね。
それに続いて、青、赤、黄色、白、黒と続きます。
それぞれ濃い色がと薄い色があり、濃い方が位が高くなります。
しかし、平安後期以降は服の色で官位が分けられ、四位以上が黒、五位は緋(赤)、六位以下は縹(はなだ:青)となりました。
ひな人形の色と官位もこれに準じているため、黒の方が位が高い役職ということがわかります。
ひな祭りの食事
はまぐりのお吸い物
ひな祭りの代表的な食事の一つにはまぐりのお吸い物があります。
はまぐりは似ているようで同じものがないと言われており、別の貝殻を重ねるとピッタリ重なりません。
そのため、平安時代には神経衰弱のように、ピッタリくっつく貝を探し当てる「貝合わせ」というゲームが行われていました。
このような理由から、一人の伴侶と末永く過ごすことと照らし合わせて、仲良し夫婦の象徴とされています。
そのため、はまぐりのお吸い物は良い夫婦関係を築くことを願って食べられるようになりました。
さて、これが勉強に役立つのか、と思うかもしれません。
確かにこれ自体はあまり役立ちません。
しかし、ハマグリのお吸い物、なぜ白くなると思いますか?
実は以前からまことしやかに「うまみ成分」とかそのようなことが言われていましたが、白くなる原因について解明されたのは2022年末のことです。
島根大学の研究チームがしじみ、はまぐり、赤貝、ホンビノス貝、ホタテ、牡蠣などでも調べて、その原因物質を突き止めたところ、おいしさとは全く関係ない物質、トロポミオシンであることを突き止めたとのことです。
この研究はイギリスの科学誌”Scientific Reports”にも掲載されていますからね。
そしてファイでこの質問をしてきたのは子どもです。
「先生、なんではまぐりのお吸い物って白くなるの?」
当時はまことしやかな「うまみ成分」みたいなことしかなかったので、調べても原因が出てこなかったのですが、なんとこの子どもの疑問を大真面目に研究していた人たちがいたのです。
このように、子どもが疑問に思うことには、今現在解明されていないことが多々あるのです。
決してバカにできませんよ!
中学受験程度のことなんて、子どもの疑問に比べたら大したことないというのはまさにこういうことです。
学びにおいて、こういう思考こそ大切なのです。
イベントからでも受験勉強できる
雛人形の並べ方を学べるゲームを見つけましたので、もしよかったらどうぞ
⇒ 壇飾りゲーム(ひな祭り文化普及協会)
⇒ ひな祭り検定(ひな祭り文化普及協会)
ファイのオンライン授業では、このように身近なことから学ぶことを推奨しています。
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「ひな祭りで中学受験に通じて来るネタは何かありますか?」