受験にどう役立つ?
ここ数年は落ち着いていてエルニーニョもラニーニャも聞きませんが、数年前は「今年はエルニーニョ現象の影響で冷夏になる」という話でやたら賑わっていましたね。
波があるため、今年は大丈夫そうでも、また数年後には来る可能性があります。
そして異常気象の1つの要因とされているため、エルニーニョ―、ラニーニャという言葉がニュースに出ると、やはり入試問題にも取り上げられることが多くあります。
もちろんその多くはエルニーニョ、ラニーニャを知らなくても解けてしまいます。
しかし、エルニーニョ、ラニーニャを理解していると、気象のみならず、物理(温度と密度の関係)まで理解できるようになります。
ならばやはり丸暗記するだけではもったいない、というわけです。
エルニーニョってなに?
一般的なテキスト、参考書にはこう書かれています。
「だからなんだよ」みたいな書き方しかされていないのですが、「結果日本付近は暖かくなりにくく、冷夏になりやすいわけです。」と先生に言われて,そのまま納得している子も多いのです。
しかし、大抵本質的なことは何もわかっていません。
もうちょっと理屈を詳しく見て見ましょう。
意外とちゃんと中学受験レベル、中学生レベルで説明できてしまうものなのです。
エルニーニョは味噌汁で説明できる
平常時の海水の流れ
まず平常時の状態で、海水は南米から西側に向かって海流が発生しています。
この海流は海の上を吹く貿易風に影響を受けています。
お味噌汁を冷ますために息を吹きかけると流れが発生するのと同じ原理です。
ちょっと想像してみましょう。
お味噌汁の右側から左側に向かって息を吹きかけると、表面の温かい水が左側に寄せられます。
そうすると対流が起き、お椀の底の方にあった冷たい水が右側から上がってきます。
これが通常の状態です。
エルニーニョ時の海水の流れ
ところが何らかの原因でこの貿易風(吹く力)が弱くなります。
この原因はまだわかっていません。
とりあえず弱くなると温かい水を左(西)に運ぶ力も弱くなり、冷たい水が右(東)側から上がって来れなくなります。
これがエルニーニョ現象です。
エルニーニョ現象という名前はスペイン語でキリスト、男の子を意味します。
12月のクリスマスの時期に表れて、魚が全く取れなくなることから南米の漁師がそのように呼んでいたそうです。
なお、エルニーニョのことを南方振動ということもあります。
ラニーニャ現象時の海水の流れ
この逆で、貿易風が強くなり、暖かい水を左(西)に運ぶ力が強くなると、右(東)側の底にあった冷たい水が押し上げられて平年よりも海水温が下がる現象があります。
これをエルニーニョの逆の現象なので、女の子の意味のラニーニャ現象といいます。
なぜ日本が冷夏に?
エルニーニョ現象が起きるとなぜ日本が冷夏になるのかと言うと、平年よりも暖かい水が西側に流れて来ないので、海水温が平年より低くなります。
日本の夏は南東から来る小笠原気団の影響を受けるので、海水温が冷たいと、小笠原気団もいつもよりも冷たくなります。
よって日本が冷夏になりやすいという訳です。
この程度なら子どもに考えさせても理解できるので、話させてみるといいでしょう。
エルニーニョ現象とは、ハワイから南米にかけての海水温が平年に比べて高くなる現象。この海域の水温が上がると、ハワイより西側では平年より海水温が低下する。