目次
受験本番に弱い子の対策とメンタルケア
実力があるのに点数が取れない子。
確かにそういう子はいます。
この子の場合、親が目の前についてやらせているということなので、カンニングの可能性は低いでしょう。
本来、中学受験ではあるあるですけどね。
実際学習法診断を行ったのですが、そのような痕跡はありませんでした。
そして、普段練習しているときと、試験で実際に考えているプロセスが、明らかに違うことがわかりました。
これはテストの問題用紙を見ればペンがどう動いているかがわかるので、そこから推測することができます。
なので、やはり本人の言う通り、本番で緊張してしまい、パニックに陥っているのでしょう。
今回は、そんなテスト本番で実力が発揮できない子をどうするか、についてです。
本番に強い子と弱い子。
これはどこでわかれるのでしょうか?
中学受験におけるプレッシャーは、大人が資格試験で受けるプレッシャーとは比較にならないくらい大きいため、プレッシャーを感じていない子の方がはるかに少ないのは事実です。
そしてマイペースな子は比較的本番に強いことはわかっています。
でも逆にマイペースではない子が本番に弱いとも言い切れません。
ということは、マイペースでなくても本番に強くなれるのです。
なお、この方法は中学受験のお子様がいらっしゃる保護者向けです。
では早速以下の質問について、子どもの気持ちになって考えて下さい。
- 友達や親に、今すぐ「ありがとう」とメッセージを送れますか?
- 今すぐ、突然「ありがとう」というメールを送れる親、友達は何人ぐらいいますか?
- 「尊敬する人は?」と聞かれたら、誰が出てきますか?
- 尊敬する人は何人ぐらい思い浮かびましたか?
- 1日に何回ぐらい「ありがとう」と言っていますか?
さて、どうでしょう。
すぐに実行できる項目はどれくらいありそうですか?
人数や回数が少ないからいけないという訳ではありません。
しかし、本番に強い子は、「ありがとう」の回数が圧倒的に多いのです。
本番に強い子の親
もしこの5個の質問に、さらさらと迷うことなく答えることができ、感謝する人が何人も出てくるのなら、本番に強いタイプでしょう。
そして、親自身が「ありがとう」を言える方なら、子どもはそれを見て育っているため、感謝できる子になるのです。
すると子どもも本番に強くなりやすくなります。
これが本番の強さは子どもに遺伝すると言われる理由です。
実際には遺伝子は何も関係ありません。
ただ、感謝の気持ちの持ち方は、親に似やすいということです。
だから本番の強さも似てしまうことが多いのです。

「そんなことありません!私は本番に強い方です!」
性格に関して絶対はありません。
なので必ずしもそうだとはいいません。
そういう傾向にある、というだけです。
ですが、実は親の条件として、もう一つあるのです。
それが「謙虚さを持っていること」なのです。
謙虚な方は自分を冷静に見つめることができます。
その様子を見て育ちますので、子どもも自分をしっかりと見つめ直す子になりやすい傾向にあります。
すると、自分の失敗を冷静に見つめられる子になるので、失敗に動じにくくなります。
逆に言えば、謙虚さが欠けている子は、

「自分はちゃんとやってる!なのに何でうまくいかないの!?」
と、他責思考に走ってしまいます。
こうなると冷静でいられなくなってしまうので、ミスをしやすくなるのです。
本番に強い子の親は
感謝の気持ちを忘れず、謙虚な方が多い。
本番に強い子にする方法
本番に強くなりたければ、感謝の数を増やすことです。
これが一番シンプルでわかりやすいですね。
しかしなぜ感謝の気持ちで本番に強くなれるのでしょうか。
実はそこにはちゃんとした根拠があるのです。
それが「責任」です。
感謝の気持ちは、そのまま責任に結びつきやすいのです。
そしてその責任は、恩返ししなければという原動力になりやすいのです。
すると、自分のためではなく、誰かのために頑張る受験へと変わります。
本来受験は自分のためのものですが、実は人が行動する原動力としては、他の人のための方が動きやすいのです。
もちろんこれは押し付けでは意味がありません。
自分から他の人のために、能動的に動こうとするその気持ちが大切なのです。
つまり、自分ひとりの受験にしない。
これが本番に強い子にするポイントなのです。
実際に感謝の気持ちでうまくいった例を紹介しましょう。
私立全落ちから千葉高に逆転合格!
千葉県のトップ高である、千葉高を第一志望にしていた男の子の話です。
この子は、第一志望の千葉高受験の前に、県内トップの私立を3つ受けていました。
余裕ではありませんでしたが、成績的に見れば、1つぐらいは受かるだろうと踏んでいました。
ところが全落ちしてしまったんですね。
普段はひょうひょうとしていたのですが、プレッシャーにやられてしまった様子。
急遽安全校を受けて1校は合格を確保したものの、精神的にも不安定に。
そのままの状態で受験した公立の前期試験も不合格。
そして公立の後期試験を前にして、受験校を下げるかどうかという話が出ました。
確かに模試でも過去問でも合格点を超えてはいませんでしたが、無謀という感じでもありません。
勝算はありました。
しかし精神的に不安定な状態で合格できる程の余裕もありません。
そこで先程の感謝に関する話をしました。
この子は元から素直な子で、以前から感謝を口にできる子ではありました。
でも、やっぱり受験が近くなってきて、焦りとプレッシャーからか、その余裕がなくなってきていたんですね。
なので、意識的に周りの人のありがたさに目を向けて、感謝の言葉を口にしてみるように話したのです。
以前同じように感謝の気持ちの話でうまくいき、千葉高に合格した子についても織り交ぜました(笑)
この子は素直に聞き入れてくれました。
そして日々ことあるごとに、意識的に感謝する生活に変えていったのです。
そしていよいよ受験校決定の日。
彼は両親にこう話したそうです。

「父さん母さん、私立落ちちゃってごめん。このまま千葉高を受けるのは危険だってわかってるけど、俺、どうしても千葉高に受かりたいんだ。私立の入試で全部落ちた時、切替先生の話を聞いてさ、受験は1人で受けてるんじゃないって実感した。俺も千葉高に合格したい。今まで色々苦労をかけた父さんと母さんのためにも、千葉高に合格したい。だから千葉高を受けさせて下さい。」
なぜ家での会話をこんなに鮮明に書けるのかって?
実は後日、お母さんから、

「千葉高を受けさせます。不合格でも後悔はありません。よろしくお願い致します。」
という内容を書いた直筆のお手紙を頂いたのです。
そこに親に話したことの詳細がつづられていました。
とても感動したんでしょうね。
涙を落としたのか、手紙に水滴でたわんだ部分が何か所かありました。
自分だけではなく、支えてくれる人たちがいる。
親も覚悟を決めてくれたということが、彼をプレッシャーから解放してくれました。
もちろん親に覚悟を決めさせたのは、彼の感謝の気持ちに他なりません。
結果、彼は無事千葉高に合格しました。
しかも自己採点は結構余裕な点数だったんですよね。
過去問を含めて自己ベストなんではないかというくらい(笑)
人のために頑張れる子は強い!
感謝の気持ちは、周りの気持ちも動かすのです。
そして周りが安心してくれれば、めぐりめぐって自分の安心にもつながってくるのです。
結果、本番で落ち着きやすく、力が発揮しやすくなります。
子どもを前にしていると照れて言葉にし辛いでしょうが、1日1回は「ありがとう」と言ってみるようにしてみて下さい。
子どもにも「ありがとう」と言ってあげて下さい。
こうしていると、自然とプレッシャーから解き放たれて、本番で力を発揮しやすくなるものです。
おまけとしてに、この子が後輩の受験生に対して話していたアドバイスも紹介しましょう。

「受験前の不安はどうやって克服ましたか?」
という質問に対して、

「切替先生が受からせてくれるって信じてたから、不安なんてなかったかな。受かるかどうかなんて、自分で考えても仕方ないでしょ。」
と話していました。
とても嬉しかった(〃∇〃) てれっ☆
でも「受からせてくれる」というのはあくまで勉強法の話。
私は「受からせてやる」なんて言ったことはありません。

「やれば受かる。やらなければ受からない。やるなら受かる勉強法を教えてやる。」
私はいつもこのスタンスです。
勉強しろなんて強制もしませんし、宿題をやらなくても何も言いません。
自分がやりたい勉強を一生懸命やるのが、一番いい勉強ですから。
この子はそれが受験勉強だったというだけの話です。
やらせなくてもやるようになる方法
先程の「やる、やらないは好きにしろ」というのは、一見すると放任に聞こえますよね。
なのでちょっと補足しておきましょう。
同じ方法を親も使えるので、ぜひ試してみて下さい。
実際オンライン授業でも使用している方法です。
マジックワードという言葉をご存知でしょうか?
ここぞという時に使うことにより効果のある、まるで魔法にかけたように相手を動かす事ができる言葉です。
そんな教育にも活かせるマジックワードはいくつも存在します。
例えば

「お好きにどうぞ。」
これだけ聞くと、

「何それ!酷い!放っておくんですか!?」
と思われると思いますが、使い方さえ間違わなければ効果絶大です。
例えば、

「宿題多い!」
「やりたくない!」
と言った時。
オンライン授業で画面越しに目の前で聞いていると、

「宿題はやらなきゃならないんだよ。」
とか、

「それじゃあ成績上がらないよ?」
と言っているのを耳にしますが、私は

「お好きにどうぞ。」
と突き放します(笑)
もちろん、こういう手法が効果あると確証があるからこのようにするのですが、なぜ突き放すといいのでしょうか。
子どもは基本的に帰属意識を持ちやすいものです。
特に女の子はグループを作り、みなと一緒にいる事に安心するものです。
一見1人ぼっちで教室の片隅にいるような子でも、信頼する誰かがそばにいれば必ず安心するものです。
なので、「お好きにどうぞ」と言われれば、自分で行動するために、周りを見ます。
なので、そんな時に周りが勉強していたらどうするでしょうか。
そう、周りに同調して勉強し始めるんですね。
オンライン授業でもこの方法を用います。
オンライン授業では学年が違う子も一緒に授業を受けているので、周りにつられるとやるようになるんですね。
ここで大切なのは、周りを見た時に、真似して欲しい人がいることです。
これは計画的に用意しておかなければなりません。
なので感情に任せて

「好きにしなさい!」
と言ってしまうと、真似する対象がいないので、うまくいかないのです。
好きにさせると、周りをみて勝手に学ぶ。
学ばせたい対象をいかにおいておくかが大切。
プレッシャーが点数に与える影響を実験してみた
私は分かりきっている事なので実験するまでもないのですが、塾生はわかっていないので、身を持って体験してもらうためにオンライン授業で実験をしました。
もちろん実験内容は事前に知らせていません。
実験の目的は、プレッシャーでどれだけ点数が変わって来るかです。
仮に上位のαクラスと、下位のGクラスとしましょう。
この上位のαクラスの子にプレッシャーをかけ、下位のクラスの子には軽い気持ちで試験を受けてもらいました。
テスト問題は同じです。
その結果、通常であれば偏差値で10以上差があるクラスですが、なんと点数の差がほとんどなくなってしまったのです。
つまり、プレッシャーをかけた上位のαクラスの方の点数がガタ落ちしたのです。
以下がその時の点数の一覧です。

ちょっと見せられない資料なので、必要な所のみ切り取っています。
下の3人の点数と、上の86点の点数以外は点数がほとんど似たり寄ったりです。
でも実はこの団子になっている点数の中に、αクラスの子とGクラスの子が混ざっているのです。
なぜ偏差値が10も低い子が、偏差値が10も高い子と同じぐらいの点数を取れてしまったのでしょうか?
その仕掛けはテストの前にあります。
思い込みで点数は変わる
実はこのテストを実施する前に、偏差値がGクラスの子には

「今日は簡単な過去問だから大丈夫!ただ、思考力を要求されるから、よく考えて、粘って解いてね!」
と話しておき、レベルが高いαクラスには、

「今日はめっちゃ難しいから心してかかってね!去年やったときは、開成に受かったのに、その時は6点だった子がいたから!」
と話しておいたのです。
実際にやったのは、難関中の算数の過去問なんですけどね。
後に開成に受かる子が、6点を取ったのも事実です。
まぁその時はファイで勉強法を学び始めて間もなかったころの話ですからね。
結果、簡単だと言われていたGクラスの子は、見事に偏差値の差を埋めて、偏差値が高いαクラスと遜色ない点数を取ってしまいました。
この差を生んだのが先入観です。
「難しいんだ!」と思って解くと難しく感じてしまい、「簡単なんだ!」と思って解くと、簡単に感じてしまうのです。
たったそれだけの違いですが、点数にはこれだけ大きな違いを及ぼします。
難しいと思い込んで解いた子は、いつも通りの解法が出来ず、迷走していました。
逆に点数が取れてしまった2人は、実は難しい過去問だったと知ってビックリ(笑)
簡単なんだ、と思い込ませることが大切!
正しいきっかけがあれば、子どもは変わる

このメッセージはオンライン授業の塾生がくれたメッセージのひとつです。
この子は算数を「嫌い嫌い」と言って逃げ回っていた子です。
ファイで教えるまでは学校のテストですら点が取れなかったような子です。
そんな子が、秋には東邦(難関)の問題を「わかったー!るんるん♪」と言いながら解いていました。
この時期は毎日数学ばかり解いていました。
この子の様子を見て、下の子もファイで勉強したいと言ってくれて、そちらもまた

「苦手だからやるの!」
と凄いことを言うようになったそうです。
子どもは世界が開けた途端、こんなにもガラッと変わるから面白いですよね。

逆転合格の必須条件
子どもの成績なんてそんなものです。
難しい、簡単の基準なんてまだありませんから、難しいと思えば難しくなり、簡単だと思えれば簡単になるのです。
大人のように客観的に見て簡単か難しいかの判断はできないんです。
これは受験に限らず、普段の勉強でも言える事です。
普段から

「難しい!」
「無理無理!」
と言っている子はなかなか成績が伸びません。
逆にウソでも

「たぶん簡単!できると思う!」
と言っている方が、早く伸びる傾向があります。
もう一つ重要な点があります。
それは、子どもの発言は親に影響されるということです。
特に中学受験で逆転合格を狙っている子にとって、親の発言は大いに影響を及ぼします。
オンライン授業は親子で参加できるので、割と親子の会話を耳にするのですが、親が無理だと言っている家庭で逆転合格に成功した例はありません。
ゆえに、逆転合格を目指すのであれば、親自身が変わらなければなりません。
まずは発言を子どもの目線に合わせて、「やればできる!」という方向に持って行って下さい。
親目線ではありません。
子ども目線です。
逆転合格のファーストステップはここからです。
もっとも、親や先生が「こんなの簡単だよ!」と言って刷り込むためには、実際に簡単だという事を感じさせられなければなりません。
ファイでは私が

「先生ができると言った物はできる!やるか、やらないか、ただそれだけ。」
という意識付けをしているため、親が否定的な言葉を刷り込まない限り、前向きな気持ちで勉強に打ち込みます。
2年半かけてネガティブ発言をしなくなった子がいましたが、その子はそこからは快進撃でしたね。
その子は後輩に、

「ビリギャルみたいだねってよく言われるんだけど、私は切替先生に洗脳されただけなんだよね。小学生の時からずっと教わってきたけど、ずーっと発言の言い直しさせられてたもん。『無理!』って言ったら『ん?』って言われて、プラス思考の発言するまで次に進まないの。勉強しろって言われたことも何点取れと言われたこともないけど、なんか気付いたら勉強するようになってたし、受かりたいって思うようになったし。結果それで良かったとは思うけど、まぁ今考えると洗脳だよね(笑)」
と言われていました。
洗脳はしてない(^^;)
でもこの子が偉いのは、ネガティブな発言をしても、ファイをやめなかったんですよね。
「無理、できない」と言いながらも、「先生、先生」と顔を出していました。
その結果、気付いたら勉強したくないと言っていた子が、有名な大学へ合格してしまったのです。
小学生の時は、このままいけばFランクの大学行けばいい方かなぐらい酷かった子でしたが。
でも受験は強かったですね。
中学も大学も、合格判定なんて一回も取ったことがない学校へ合格しています。
こうして発言が変わると逆転合格もしてしまうんですね。
問題を解くときに、どのような発言をしているか、ぜひ耳を傾けてみて下さい。
解けているかどうかよりも、その姿勢の方が将来に影響を及ぼします。
発言が変われば、結果も変わりますよ。
もし逆転合格を狙っているのなら、今すぐにでも変えていってください。
たとえ受験に間に合わなかったとしても、中学校に進学後の糧になります。
志望校に合格できなかったとしても、どこかの中学には進学することになるのです。
残り数か月を、受験と共に消滅するもののために時間を割くのか、受験後に残るものに使うのかは、大人になったときに大きな差を生みます。
このまま受験に突っ込んで、何も残せなさそうな気がする方は、学習法診断をご利用下さい。
何が足りていないのか、問題点をハッキリさせることができます。
入会不要なのでどなたでもお気軽にご利用頂けます。
思考の育成は時間との勝負です。
受験が終わったあとでは中々修正は効きません。
受験勉強を通して布石を打っておくから効果が出るのです。
逆転合格を狙うなら
失敗は全て許容する覚悟を持って、とにかくポジティブに楽しく!
そして受験前にしっかりと布石を打っておくこと!
-1024x576.png)
「試験前の勉強ではできているのに、試験になるとほとんど同じ問題なのに全然できなくなります。家でテストをすると、そこまで極端には点は下がりません。過去問も目の前でやらせていますが、そこそこ点が取れています。でも外に受けに行くとドッサリ落としてくるのです。本人曰く、緊張してパニックになってしまい、どう解けばいいのかわからなくなるということですが、この調子だと合格圏の学校すら不合格になりそうな勢いです。この本番の弱さは何とかならないものでしょうか。」
サピックス 小6女の子 母