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イスラム教・キリスト教・ユダヤ教の違い
イスラム教は怖い宗教?
塾生が「イスラム教は怖い」と話していました。
確かにテロが起きるたびに何かと騒がれるイスラム国、アルカイーダ、タリバン、アルシャバーブ、ボコ・ハラムといったイスラム教の宗派。
これを聞いたらテロリスト=イスラム教という印象がついてしまうのも無理はありません。
しかしイスラム教がそういう宗教というわけではなく、そういう宗派もあるというだけです。
日本人にもいい人もいれば、悪い人もいるのと変わりません。
イスラム教だというだけで偏見を持つようなことはないようにしたいものですね。
そんなわけで今回は宗教について。
今回も塾生達から出た質問を基にお話ししたいと思います。
まず中学受験、高校受験で出てくるイスラム教に関する知識を確認しましょう。
イスラム教のまとめ
- 神はアッラー。
- 預言者ムハンマド(マホメット)を通じて広められた。
- 聖典はコーラン。
- アラビア語で書かれている。
- 聖地はメッカ、メディナ、エルサレム。
- 豚、お酒、イカ、カニ、うなぎ等の魚介類は禁止。
- ラマダン(断食月)の期間に断食(サウム)がある。
- 一日に5回、聖地メッカに向かってお祈り(サラート)をする。
- ムスリム(イスラム教徒)の女性は肌を見せてはならない。
- 一夫多妻制。
受験で必要とされるのはこのぐらいでしょう。
これだけ知っていても意味がありませんので、キリスト教とユダヤ教も押さえておきましょう。
キリスト教のまとめ
- 「三位一体」の神(実は神は曖昧)。
- イエスキリストの教え。
- 聖典は新約聖書。
- 旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシャ語。
- 聖地はエルサレム、バチカン。
- 日曜日は安息日。
- 基本的には生活や食べ物に制限はないが、宗派によってあることも。
なお、駅前で冊子を配布していることが多いエホバの証人は異端とされる宗派ですが、見かけることも多いので簡単に紹介しておきます。
エホバの証人では輸血、格闘技、軍への入隊、政治活動、偶像崇拝、クリスマスといったものが禁止されています。
そのため学校イベントに参加できない子もいます。
ユダヤ教のまとめ
- 神はヤハウェ(アドナイ)。
- 聖典はタナハ(旧約聖書とほぼ同じ内容)。
- 聖書は旧約聖書で、ヘブライ語で書かれている。
- 聖地はエルサレム。
- 豚、イカ、カニ、うなぎ等の魚介類は禁止。
- 肉と乳製品は一緒に食べてはいけない。
- 安息日(金曜日没~土曜日没)は家事も仕事も禁止。
一見ばらばらに見えるこの3つの宗教。
並べてみると共通点に気付くことでしょう。
実は聖地が一緒なのです。
イスラム教の聖地はメッカとされることが多いのですが、これはキリスト教との確執によって変えられたもの。
今でもイスラエルにあるエルサレムも聖地である事に変わりないのです。
さて、ではなぜ3つの宗教の聖地が重なってしまっているのでしょう?
上記の共通点から答えは見えて来るはずです。
なお、ノーベル賞の2割はユダヤ教徒が占めていると言われており、世界の富豪にもユダヤ人が多くいます。
これはユダヤ人がキリスト教徒がやらなかった金融業に手を出して成功したためと考えられています。
そしてユダヤ教が多数を占めているイスラエルでは、1990年代からプログラミング教育を取り入れており、現在はハイテク産業の最先端の技術力を保持しています。
これはユダヤ教徒の人数(イスラエルの国民)が周辺国よりも少ないため、国防をハイテク化させて無人で行えるものを多数生み出したためと考えられています。
ユダヤ教には超正統派(ハレーディー)というユダヤ教の教えを厳格に守る宗派があります。彼らの服装は特徴的で、黒い大きな帽子、白いシャツに黒いスーツ(背広は膝まで丈がある)を着ています。また、もみあげを切ってはいけないという教えを守っているため、もみあげが非常に長く、髭にしている人も多くいます。
それぞれの宗教の特徴
聖地が全部同じ理由
なぜなら元は一つの宗教だったからです。
一番最初がユダヤ教。
そこからキリスト教が派生。
そしてさらにキリスト教からイスラム教が派生したのです。
同じ宗教でも聖書の解釈の仕方が違ってきたため分かれてしまったのです。
例えば「女性は大切にしなさい。」という教え。
ユダヤ教、キリスト教では
「女の子は社会的弱者なのだから、守ってあげよう」
という解釈。
ところがイスラム教では、
「女の子は家の中で守るべき対象であり、外に出すなんてとんでもない!」
という解釈になります。
だから肌をさらすな、とされているのです。
またキリスト教では一夫一婦制ですが、イスラム教では一夫多妻制。
これもちゃんと理由があるので、子どもに考えさせてみたいところです。
ヒントは戦争が絶えない時代だったこと。
なぜイスラム教は一夫多妻制?
中東は聖地ということもあり、以前から戦が絶えない地域でした。
そのため戦争に出される男性は多く、未亡人が多数発生。
しかし守られるべき女性が未亡人になると、一人では生きていけません。
そこで戦争で夫を亡くなった未亡人を助ける必要があり、1人の男が複数の女性を守ることを許したのです。
日本では浮気が批難されることから一夫多妻制を子どもに理解させるのは難しいのですが、文化の違いを考えさせるにはいい題材になるため、きっかけがあれば話してあげるといいでしょう。
それぞれの宗教の人数
- ユダヤ教 : 1,500万人
- キリスト教 : 22億人
- イスラム教 : 15億人
- ヒンズー教 : 9億人
- 仏教 : 4億人
と言われています。
現在ユダヤ教は1番少なく、キリスト教が一番多くなっています。
日本ではそもそも無宗教と言っている人が半数以上で、宗教法人の分類では、
- 神道系(神社) : 約30%
- 仏教系(お寺) : 約40%
- キリスト教系 : 約15%
- その他
となっています。
もっとも上記は宗教法人の数の割合なので、信者の人数ではありません。
人数は各宗教法人が発表していますが、数え方に統一性がないため、ここには載せていません。
なんで戦争が起きてるの?
3つの宗教の聖地が重なっている事が、今の中東問題、イスラエル問題に直結しているのであり、中東が紛争地帯になっている理由でもあります。
では問題になっているイスラム国って何なの?
これはイスラム教の中の宗派の一つです。
その過激さゆえテロ集団と言われていますが、彼等には彼等なりのイスラム教の教えによる考え方があり、その考えに同調する人もいるのは確かです。
「正しいもの」は時代や権力者によって変わるといういい事例でしょう。
各宗教のロゴやシンボル
宗教のロゴも特徴が表れているため、知っていると受験でも有利になります。
ダビデの星。
六芒星とも言われる正三角形を上下さかさまにして重ねた図形です。
魔方陣にもよく使われたりしますね。
エロイムエッサイム、エロイムエッサイム…
十字架。
キリストがかけられたと言われています。
月と星。
三日月みたいな図の右側に星を書いたものを見た事ありませんか?
トルコやパキスタンの国旗に使われているようなロゴです。
国旗と言うのは面白いもので、その国の由来や考え方を表しています。
例えば国旗に三日月が入っている国はイスラム教だという事がわかります。
ハネムーンの聖地、モルディブやシンガポールの国旗にも月が入っています。
そして聖地エルサレムがあるイスラエルの国旗には六芒星。
ギリシャやフィンランドの国旗には十字架。
宗教の理解は国際社会の理解にも通じる
年の初めには神社で初詣(神道)
クリスマスやハロウィンはイベントを楽しみ(キリスト教)
亡くなったときにはお葬式(仏教)
ハチャメチャですね(笑)
日本人からしてみればそれが普通になってしまっていますが、実は世界的に見ると宗教を持たない人は珍しいのです。
「宗教は特にない。」という事は、「信じる神がいない=神を恐れない人なので、危ない事をやるかも!」と思われてしまう事もあるそうです。
宗教とはその人の生き方そのものでもあり、とても重要なものなのです。
殺し合いをする事になったとしても、譲れないものなのです。
その文化、考え方を理解することが、グローバル社会において必要になってくるでしょう。
特にこれからはもっと外国人が多数日本にも入ってきます。
そんな時代に「日本人なのに神社とお寺の違いも知らないの!?」なんていう状態では困ります。
机上で、受験のためだけに暗記した程度の文化なんて役に立ちません。
丸暗記の勉強が上手くいっていないなら、ファイで勉強のやり方を変えてみませんか?
「イスラム教って事件をたくさん起こしてて怖いのに、なんで信じてる人がそんなにいるの?」