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親子で話す、時事問題としてのポイント
近年ニュースでもウクライナは取り上げられることが多くなっており、緊張が高まっている様子がうかがえます。
それと同時に、保護者の方からも「子どもと話したけれど、話題を広げられない」という相談が多く寄せられました。
そして2022年2月には、ロシアがウクライナに侵攻し、戦争が開始されたと話題になりました。
ファイのオンライン授業では、親子で一緒に学ぶことを推奨しているため、ここでも
- 中学受験につながる話題
- 親子で話せる話題
- オンライン授業で、実際に塾生が興味を持っていた話題
に絞ってお話していきましょう。
ウクライナをめぐる、近年の出来事
歴史を振り返るともっと昔からトラブルを抱えていた地域ではありますが、まずは近年に絞ってお話しましょう。
2014年、ウクライナの南部に位置するクリミア半島が独立を宣言しました。
そしてロシアへの編入を求め、ロシアのプーチン大統領がこれを承認し、クリミア自治共和国とする事を宣言してしまいます。
しかしこの編入に際し、ロシアが軍事行動を起こした事が問題視され、ウクライナの大統領ペトロ・ポロシェンコはもちろん、EUを含む欧米諸外国はこの独立及び編入を認めていません。
つまり、現時点では、ロシアとクリミア自治共和国を名乗る地域だけが勝手に言っているだけ、という状態です。
すごく雑な例えをするなら、子どもがお隣の家のお兄ちゃんと仲良くなって、勝手に親元からの独立を宣言して「俺の部屋に入るな!干渉するな!」と騒いでいる、という構図です。
そしてこの後に住民投票が行われ、若干ロシア併合に賛成が多かったということで、ロシアとクリミアは併合条約を締結してしまいました。
なお、この時の投票率は3~5割と言われており、領土に関することは住民投票ではなく国民投票で決めるというウクライナの法律に違反しているため、これも国際法上は無効です。
しかも、ロシア軍が占拠する中で行われた投票だったため、その平等性は疑問だと言われています。
しかし本人たちは合法だと思っており、クリミアの住民も少なからず併合を望んでいるという現実から、ロシアは軍を展開して事実上クリミアを制圧してしまいます。
そして2022年2月には、ロシアと国境を接する地域で、親ロシア派が多い地域へ軍事侵攻を開始し、ウクライナとの全面戦争が始まってしまいました。
世界情勢の話なので,中学入試としてはそこまで重要ではない、と考えている塾の先生も多いようですが、開成を始めとする難関では話題にされているので、知っておいても損はありません。
子どもが興味を持っていなければ無理に教える必要はありませんが、興味を持って話題に上がっているのであれば、どこかでつながってくるため、中学受験にも役立つ可能性が出てきます。
でも、そんなのを最初に話しても面白くないので、こういう時は相手の言い分を考えて、自分の考えを話させるのがいいでしょう。
解釈が間違っているとか、そんなことは気にする必要はありません。
誰も答えは持っていませんから、色々な考え方があっていいのです。
なので、ここから先は、子どもが興味を持ちやすいように話してあげるといいでしょう。
ロシアの言い分とクリミア半島
こういう時事問題を話す時、正しいことを教えようとする必要はありません。
色々な意見に耳を傾けることが大切になります。
もちろんその中には親の意見があっても構いません。
そして意外と子どもが興味を示すのが、非難されている側の言い分です。
今回の話ではロシアの言い分ですね。
まずは2014年に問題となった、クリミア半島について。
クリミア半島の場所は黒海の北部にある半島部分。
2014年のソチオリンピック(ロシア)が開かれた場所は黒海の東側なので非常に近い場所ですね。
羽生結弦選手がフィギュアスケートで金メダルを取って一躍有名になった大会ですね。
この場所は歴史的に見るとギリシア人に始まり、ローマ、モンゴル、オスマン帝国と様々な民族や国によって支配されてきた地域です。
そして日本では江戸幕府により寛政の改革が行われていた1783年に、皇帝エカテリーナ二世がロシアの南下政策の一環としてクリミア・ハン国を併合したことにより、ロシア帝国の支配下になります。
エカチェリーナ2世は大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)が漂流した時に謁見したロシアの皇帝(女帝)で、ラクスマンに日本へ送り届けて貿易交渉をするように命じた人物でもあります。
これは中学受験でも問われる、とても重要な歴史ですね。
そして1853年には、フランス、イギリス、オスマン帝国などが宗教上の問題からロシア帝国と激突します。
その戦場となったのがこのクリミア半島で、この時の戦争をクリミア戦争といいます。
「クリミア戦争ってなんか聞いたことがある気がするのですが…なんでしたっけ?」
そうなんですよね。
クリミア戦争は、難関中学の授業やテキストには出ていますが、通常の中学受験勉強ではあまりお目にかかりません。
しかし、どこかで聞いたことがある、という子が多いのです。
そう、クリミア戦争は、ナイチンゲールが活躍したことでも有名な戦争なんですね。
クリミア戦争は知らなくても、ナイチンゲールは知っている子が多いので、つなげていくことができます。
簡単にナイチンゲールについて触れておくと、クリミアの白衣の天使と呼ばれた女性のことです。
複数の言語を操り、数々の学問を習得したナイチンゲールは、戦場で敵見方関係なく傷病者の看護した天才少女として知っている子も多いでしょう。
そして複数の言語を操り、と言うことは…
そう、このクリミア戦争はロシア対ヨーロッパという、複数の民族を巻き込んだ対立だったということです。
この辺りはナイチンゲールの凄さから関連付けられますね。
また、どうでもいい話ですが、銀行強盗がよく使っている目と口だけ穴があいている覆面(バラクラバ)は1853年のクリミア戦争の時に、バラクラバ(Balaklava)いう場所で用いられたものですでした。
寒冷な土地(バラクラバ)で少しでも暖かくして戦えるようにと、妻や恋人が持たせたものです。
これだけでも結構強い印象付けができますね。
クリミア戦争の結果とウクライナ政府
クリミア戦争のとき、ロシアはまだ産業革命を経験していなかったので、その武力差は歴然としていました。
そのためロシアは負けたのですが、宗教戦争が原因だったので、クリミアは領土的にはロシアのまま残ることになります。
だからロシアにとってクリミアは特別な場所であり、因縁の場所でもあるのです。
ところが1917年に、ロシア内戦によりロシア帝国は崩壊し、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)へと移行します。
その時クリミアは、クリミア自治ソビエト社会主義共和国としてソ連に編入されました。
ところが、1945年の第二次世界大戦の時にはナチスドイツが占領。
世界大戦終了後にソ連に戻されたものの、度重なる独立運動から1954年にはウクライナ・ソビエト社会主義共和国へと移管します。
そしてとうとうソ連が崩壊し、ウクライナが独立してしまい、クリミアはそのままウクライナに編入されました。
とはいえ、クリミアは何度も侵略、編入を繰り返しているものの、基本的にはロシア中心の政治でした。
だから親ロシア派が多いのです。
ところがウクライナ自体はソ連から独立した事を考えても親欧米派。
独立した時に一緒にウクライナになってしまいましたが、クリミアは本当はロシアとくっつきたかったのです。
そのため、1992年にはクリミアはウクライナからの独立を決議してクリミア共和国を立ち上げることを宣言したのです。
ここまでの流れがわかると、子ども達も状況が飲み込めます。
オンライン授業でも、塾生に
「なんでロシアはウクライナに侵攻したと思う?」
と聞くと、
「『ソ連時代に自分たちの領土だったところなんだから、取り返してもいいでしょ。そもそもウクライナだって強引にソ連から独立したんだから。』ってことでしょ?」
と返ってきました。
なお、もし万が一変な言葉が返ってきても、訂正する必要はありません。
解釈は人それぞれですし、全く的外れな答えが返ってきたら、まだ早かったというだけの話です。
ウクライナ問題はしばらく尾を引くでしょうから、無理する必要はないのです。
何回でも話題に触れる機会が巡ってくるでしょう。
難関中学を受験するなら、知っておいた方がいい知識や世界情勢が出てくるので簡単にまとめると、以下のようになります。
- 実際、現在ウクライナとなっている地域は、ソ連と何度も独立戦争を繰り広げており、宗教戦争にも発展した。
- ウクライナはソ連の崩壊に乗じて独立した。
- ウクライナの中でもクリミアを始め、一部地域では親ロシア派が残っている。
- 親戚がウクライナにいるロシア人も沢山いる。
- ロシアにも「ウクライナに奪い取られたロシアの領土を取り戻したい」という気持ちを抱いている人が大勢いる。
独立宣言後の情勢
勝手に独立を宣言してしまったクリミアですが、当然ウクライナは大切な領土が減る事になるのでそれを許しません。
しかしもちろんロシアはクリミアを支持します。
「独立したいって言ってるんだからさせてあげればいいじゃないか!」
そして2014年。
ウクライナ経済の低迷によりヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権が崩壊し、今がチャンス!とばかりにロシア派と親欧米派の対立激化しました。
その時に武装勢力が政府の建物と議会、空港などを一挙に占拠しましたが、
プーチンはロシア軍ではないとしてこれを否定します。
もしこれがロシア軍なら、立派な軍事介入で国際的にも大問題ですからね。
認めるわけにはいかなかったのでしょう。
この占拠された状態でクリミアはロシア編入の住民投票を実施し、9割以上の賛成を経てウクライナからの独立を宣言。
ロシアのプーチン大統領もこれを承認し、「自国民(編入されたのでロシア人でしょ!)を守るため!」と言って公式に宣言してクリミアを占拠してしまいます。
この後にウクライナは大統領をペトロ・ポロシェンコとしましたが、その時クリミアはすでにロシア軍が占拠しています。
ペトロ・ポロシェンコはプーチンと直接会談をし、「クリミアはウクライナの領土だ。」と明言し、ヨーロッパ、欧米諸国も軍事介入をした違法な編入だとして認めていません。
それゆえクリミアでの軍事衝突はもちろん、ロシア対欧米諸国という対立も生み、世界情勢にまで不安定な影響を及ぼすまでになっています。
しかし、この時はもちろん、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻する直前まで、半数以上の人が本当に戦争になるなんて思ってもいませんでした。
それどころか、ウクライナ政府自身も、「あまり危機だ危機だとあおって、市民を不安にさせないでくれ。ロシアの思うつぼになる。」と国際社会に訴えていました。
その間、ロシアは着々と計画を進めていたのです。
オンライン授業で塾生から出た疑問
ロシアがウクライナを狙う理由
「ロシアってあんなに土地が広いのに、なんでウクライナを狙うの?」
確かにロシアは世界一の領土を持っています。
しかし、その大半は氷の世界です。
そして広いだけで人が住みやすい環境自体は少ないため、空白地帯が多いのです。
日本の人口は1億2千万人に対して、ロシアは1億4千万人で、国土の差はあれだけ大きいのに、2千万人ほどしか差がありませんからね。
よってロシアは使える土地、そして冬でも凍らない港(不凍港)が欲しいというのはずーっと変わらずロシアの野望になっています。
また、ウクライナはロシア発祥の地とも考えられており、中でも首都キエフは、後にロシア、ベラルーシ、ウクライナとなるキエフ大公国があったため、長いロシアの歴史で見れば、奪われた首都を取り返すとも取れると考えられています。
日本でいうなら、京都・奈良が独立して奪われるような感覚ですからね。
ヤルタ会談
「クリミアってヤルタ会談が行われたところですよね?」
その通りです。
1945年に戦後の国際社会の後処理について話し合われたというヤルタ会談は、このクリミア半島の南東に位置するヤルタで開かれました。
中学受験必須の内容ですね。
一応場所も確認しておきましょう。
この会談では、アメリカ(ルーズベルト)、イギリス(チャーチル)、ソ連(スターリン)が会談したています。
第二次世界大戦後の国際秩序に関する方向性を定め、約束事を交わしました。
北方領土問題、北朝鮮と韓国の領土問題など、現在にまで影響を及ぼしている問題の発端となった会談でもあるります。
NATO
「NATOって何?」
北大西洋条約機構(NATO:North Atlantic Treaty Organization)は、第二次世界大戦後の1949年に誕生した組織で、ドイツとソ連の封じ込めのために作られた組織でした。
これに対し、ソ連はワルシャワ条約機構を組織し、NATOに対抗しようとしました。
ところが、NATOはロシアの西側を次々と取り込んでいき、とうとうソ連の崩壊まで追いやります。
その時にワルシャワ条約機構も消滅したため、ロシアは「もうソ連は解体した。NATOも必要ないだろう。解体してくれ。」とお願いしていました。
しかし、NATOは聞き入れず、ロシアはソ連が崩壊してもなお、警戒され続けています。
今回のウクライナ戦争も、ウクライナがNATOに入るなら、それを阻止するために軍事介入も辞さないという考え方からでした。
そのため、ロシアとしては、ロシアの正義を振りかざし、「親ロシア派を守る必要が出て来たから、やむなく軍事行動に出た。」と言い、正当化しようとしているのです。
ウクライナ戦争に世界中が注目する理由
「日本から離れている場所での戦争なのに、なんで世界中が騒いているの?」
確かに日本からは離れた場所での戦争です。
しかし、侵攻したロシアは核保有国、かつ国際連合では常任理事国です。
何か国会で決めようとしても、ロシアが反対すれば白紙に戻ってしまいます。
今回の出来事について、国際連合ではロシアを非難する声明を出すことにしていますが、ロシアの拒否権により、流されるだろうと考えられています。
そのため、国際連盟としては、ほぼ機能せず、具体的な政策や制裁もできないだろうと考えられています。
そして日本も他人事ではありません。
この動向を注意深く見守っているのが中国共産党です。
そもそも、オリンピック期間中は停戦するという国際的なやり取りがあるにも関わらず、ロシアは軍事侵攻を開始しました。
ロシアの言い分としては、
「オリンピックは終わった」
ということですが、国際社会の認識では、
「パラリンピックがまだ終わっていない」
のです。
おそらく、ロシアはあえてこのグレーゾーンを攻めてきたのでしょう。
もし北京オリンピックの開催中に社会主義国が戦争を仕掛けたとなったら、中国共産党のメンツも潰されてしまうため、おそらく中国共産党も知っていたと思われます。
つまり、グレーゾーンの違反をしたときの欧米諸国の出方をうかがうために、あえてやったと考えるのが普通です。
子どもが「やっちゃダメ!」と言われることを、あえて試してみるのと同じですね。
もしこれで欧米諸国が大した手を打てなければ…
次は中国共産党が同じ手段、あるいはもっと発展した手段で台湾、そして周辺諸国の侵略に乗り出す可能性が高くなります。
そうなると、日本も他人事ではありませんよね。
ウクライナの助け方
「ウクライナを助けてあげることはできないの?」
残念ながら、ロシアが核保有国なので、万が一のことを考えたら手出しができないのでしょう。
また、ウクライナはNATOにも加入していないため、経済制裁以上のことはできないだろうと考えられています。
しかも、NATOは元々
「万が一ウクライナに侵攻するようなことがあれば、ロシアへの攻撃も持さない。」
と言っていたのに、いざロシアによる侵攻が始まると、具体的な攻撃の話はなく、周辺国の防衛強化を打ち出しました。
おそらく介入したくないというのが本音でしょう。
そして、ウクライナ政府を始め、現地の市民も含め、戦争にまでは発展しないと考えらえていたのに、あっという間に侵攻してしまいましたからね。
この先何が起こるのか、もしかしたら第三次世界大戦にまで発展してしまうのか、誰も全然わかりません。
ただ、唯一ハッキリしているのは、同じく社会主義国家である中国共産党は、この状況を見ながら、台湾を併合し、周辺国への侵略を狙っているということです。
そのため、もしロシアに対して経済制裁以上のことをしなかった場合、中国共産党も台湾へ侵攻し占領してしまう可能性が出てきます。
プーチンはバカなのか
「二十一世紀にもなって、武力で制圧とかプーチンはバカなの?」
結構な割合でこのような考えを持つ子がいます。
言いたいことはわかりますし、最もだと思います。
しかし、日本のメディアは、日本にとって都合のいいことしか流さないという視点を忘れてはいけません。
ロシアにはロシアの言い分があるはずなのに、そこには大して焦点が当てられていないのです。
その顕著な例が、NATOがしてきたことです。
NATOがソ連の解体を目論み、次々とソ連から引きはがしてNATOの仲間に引き入れて来たことは、あまり話題になりません。
この原因に当たる部分には焦点が当てられず、ロシアが侵攻した結果ばかりが報じられます。
ロシア側の視点に立ってみれば、NATOによって侵略を受け、国が解体させられたと考えていてもおかしくないですし、実際ロシアではそのように歴史を教えられてきています。
これについては、日本も教科書に書いてあること以上のことは勉強しないため、ロシア国民を非難できないはずです。
プーチンをリーダーにした国民がいけないという意見もありますが、現政権の圧力を前に、プーチン以外の選択肢が認められなかった可能性もありますし、そもそも情報が与えられていない可能性もあります。
そして、何よりプーチンを選ぶしかない状況に追い込んだのは、NATOを始めとする資本主義国とも考えられます。
チェルノブイリ占領の理由
「なんでチェルノブイリ原発を占領したの?今は使ってないし、軍事施設じゃない気がするけど。」
チェルノブイリ原発は、現在のウクライナの首都キエフから北に100kmに位置する原子力発電所で、1986年のソ連時代に爆発事故を起こして大量の放射性物質をまき散らす大災害を起こしました。
この時の事故レベルは、福島第一原発事故と同等のレベル7です。
現在は廃炉したくても近づけない状況にあり、石棺と呼ばれるコンクリートの塊で覆って立ち入り禁止となっています。
つまり、使われていない。
なのになぜこれを占領したのか、本当の目的はプーチン大統領にしかわかりませんが、現在出ている推測は以下の通りです。
まず、プーチンは侵攻直前の演説で、「ウクライナは核兵器を製造しようとしている。」と言っていたことから、チェルノブイリ原発の核とその技術を核兵器開発に使うのではないかと懸念していた可能性です。
しかし、そもそも近づくのすら危険な場所ですから、現実的ではありません。
どちらかというと、アメリカがイラク戦争を仕掛けたときに「イラクは核兵器を開発しようとしている!」と表明して軍事行動に出たのを真似して、グレーゾーンを狙ってきた可能性が高い気がします。
なお、ウクライナ政府が核保有について言及したことはなく、むしろ旧ソ連時代の核兵器の遺産を撤去する協定(ブタペスト覚書)を結んでいます。
この協定には、アメリカ、ロシア、イギリスの核保有国がウクライナの領土保全と安全を保障すると署名しているのですが、今回のウクライナ戦争に関してはロシアが裏切って攻撃を仕掛けて来ただけではなく、アメリカ、イギリスも戦ってくれないという状態に陥っています。
これに関しては、日米安全保障条約を結んでいる日本も他人事ではないですね。
アメリカは戦ってくれない可能性があります。
ベラルーシとロシアの関係
「ベラルーシは何でロシアの味方をしているの?」
今回のチェルノブイリ原発及び首都キエフへの侵攻にあたり、どうやらベラルーシを通って侵攻したらしいとのことでした。
ということは、ベラルーシもこの侵攻に間接的に関わり、ロシアの手伝いをしたことになります。
なぜベラルーシはソ連から独立したにもかかわらず、ロシアの味方をしているのでしょうか。
実はベラルーシとロシアは、民族的にも国家的にも、ルーツが同じなのです。
そしてここ近年の話で言えば、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、欧州最後の独裁者とも言われ、約30年独裁政権を築いているのです。
2021年の東京オリンピックの際、ベラルーシの選手が亡命を求めたこともありました。
これは選手曰く、コーチに逆らったとして、帰国命令が出され、命の危険を感じたからだと言います。
もしこれが事実なら、オリンピックの選手ですら、国家の命令でなされている国ということになります。
そしてこのルカシェンコ大統領は、同じく長期政権のプーチン大統領と仲がいいのです。
ではそんなに仲がいいベラルーシが独立をしたのはなぜでしょうか。
実は、ベラルーシはロシア(ソ連)と離れたくて独立したわけではなく、大地位次世界大戦時にドイツ軍に占領された時に独立させられた国家なのです。
しかし民族的にも考え方もロシア(ソ連)そのものなので、第一次世界大戦が終わるとソ連とくっつくことになりました。
ところが第二次世界大戦ではポーランドに占領されることになり、またしてもソ連と分けられることになります。
こうしてミニロシアとして自治権を持って発展していき、ベラルーシとなったのです。
チョコレート王と賄賂
「チョコレート王って何?」
これは2022年時点での話ではなく、2014年のクリミア併合時の話ですね。
冬至の大統領のペトロ・ポロシェンコ氏はチョコレート王とも呼ばれ、チョコレートの会社で大金持ちになった人物です。
その前のヴィクトル・ヤヌコーヴィチは贅沢三昧の生活をしており、税金を私腹を肥やすために使ったとされて相当批判を浴びています。
逆に言えば、すでにお金持ちならそういう心配もないだろうという考えからチョコレート王のペトロ・ポロシェンコ氏が支持されたと言われています。
トランプ大統領が誕生したときと同じような気がしますが、果たして…
クリミア戦争と日本への影響
ウクライナ戦争より昔の話になりますが、クリミア戦争も中学受験の歴史と関わってくるので、その話も補足しておきましょう。
クリミア戦争があった1853年は、日本にとっても重要な年でした。
そう、ペリーの黒船来航です。
このクリミア戦争、でロシアもヨーロッパもみんなクリミア地区に注目が集まっていたので、誰も日本を相手にしようと思っていなかったのです。
そこにサッと目をつけて入りこんできたのがペリーの黒船来航です。
そして吉田松陰もクリミア戦争の影響を受けた人物の一人です。
長崎からの密航を計画していましたが、クリミア戦争が始まってしまったためにロシア艦が予定より早く引き上げて失敗し、捕まって処刑されてしまいました。
これを安政の大獄といいます。
これはもう中学受験では必須の出来事ですね。
また、天気予報ができたのもこの時期です。
フランス政府がクリミア戦争のために暴風雨の研究をパリ天文台に指示したのがきっかけです。
さらに、ノーベル賞で有名なアルフレッド・ノーベルも関係しています。
ロシア軍の機雷設置、兵器開発などでかなり儲けたため、「死の商人」と言われていました。
アームストロング砲が開発されたのもこの時期ですね。
同時代の大砲に比べて軽量、装填が早い、楽、命中率が高いといった点で、圧倒的に優れた性能を持っていました。
これは明治維新のときの、薩英戦争や下関戦争でも使われていますね。
さらに女子高生に大人気のカーディガン。
クリミア戦争バラクラバの戦いの時に、無謀な突撃をして大損害を出した事で有名なカーディガン伯爵が考案した服と言われています。
彼は軽騎兵旅団673名を率いてロシア軍砲兵陣地に正面から突撃し、死傷者278名という大損害を出しました。
これは「無謀ではあるが勇敢である」と評価されていて、数多くの絵画や文学、音楽等の創作の題材となっています。
時事問題を親子で話す時のポイント
今回、ニュースでウクライナ戦争が報じられるや否や、オンライン授業の塾生や保護者達から、ドッと疑問が寄せられました。
割と何かあればすぐに疑問が送られてくる塾ではありますが、ウクライナに関しては異常な早さでした。
それだけ子どもも含めて関心が高い話題だということでしょう。
普段ニュースを見ないというご家庭からも連絡がありましたからね。
そんなわけで、急遽オンライン授業で取り上げて、時事問題解説を行いました。
正直、受験に直結するような話はほとんどありません。
一部の難関中学を受験する子たちに役立つかもしれない、といった程度です。
しかも話の内容がとても難しい。
それでも聞きたいという子が多く集まりました。
それだけ子どもも関心を持っているということです。
教科書にない、テストに出ない、そういう枠組みで勉強させるのではなく、子どもの興味関心から勉強に使えるものを使う。
ファイではそういうスタイルでやってきていますが、今回の授業は小3の子も聞いていました。
結局、テストに出ないことでも、難しい事でも、大人が難しいと決めつけているだけで、子どもは興味があれば学んでしまうのです。
そしてこうして得た知識は、直接使うことはなくても、巡り巡ってどこかで役に立ちます。
子どもにつまらない勉強を強要してしまっているとお感じの方は、ぜひご相談下さい。
苦しい思い何てさせなくても、勉強はできるようになります。
ファイのオンライン授業では、月1万円からお子様の楽しみを勉強に活かす方法を提案しています。
「『戦争だ、戦争だ』とニュースでは騒いでいて、子どもも『戦争が起きたの!?』と話題にしていますが、正直なところ何が起きているのかわかりません。実のところ、ウクライナがどこにあるかもわからず、子どもと一緒に地図で調べたレベルです。何か子どもと話して広げていける話題はありますでしょうか。」