珍解答から子どもの心理状態を読み解く
ファイのオンライン授業では、日々ノートや答案が送られてきますが、やはりくだらない間違いは多いものです。
中でも「こんな簡単なのに」と思うものや、漢字の間違いは親を怒らせる要因の1つになっていることが多いですね。
しかし、ファイのオンライン授業では、そういう間違いこそ、真剣に向き合うべきだと話しています。
最初は何を言っているのかわからないことが多いので、実際にお子様の答案を使ってアドバイスしています。
今回はどうやって勉強していくのか、その方法を紹介しましょう。
特殊な方法ではありません。
どれも実際に親とやってみるように提案していることですから、ファイの保護者も同じことをやっています。
ここでは、親を呆れさせた珍解答から、どうやって学びにつなげたかを紹介します。
同時に、珍解答には意味があることが多いものです。
その心理状態と思考回路の読み取り方も紹介しましょう。
オンラインだと子どもが実施した時に送られてくるため、その時の心理状態がより分かりやすくなるのです。
もしお子様の答案にも同じようなものを見かけたら、怒らずに、冷静に対処してあげて下さい。
間違いに対する考え方を変えるだけで、勉強が楽しくなりますし、どんどん頭に入っていきますよ!
学校に行きたくない…?
「通学区域」が正しい解答のところを、「痛」学区域にしたもの。
きっと学校に行くのが相当嫌だったのでしょう(^^;)
それはともかく、このように音が同じでも意味が全くことなる漢字間違いをする子は、漢字の意味を全く考えていない可能性が高いのです。
この子は漢字を間違えただけではなく、丸付けでもできていることになっていますからね。
丸付けが適当なのもよくわかります。
このような勉強をしている場合、頭に入らないどころか、間違えたことを覚えて返って面倒なことにもなりかねませんので、こういう場合は漢字の勉強自体をやめさせてしまった方がいいでしょう。
受験勉強として取り組んでいるのであれば、オンライン授業では、勉強禁止令事案に当たります。
特に受験勉強というわけでなければ、ここから言葉遊びができますね。
この子の場合、「痛学区域」の意味について考えさせました。
正しい漢字の意味ではなく、あえて間違えた方の意味を推測させます。
すると、大抵一人ツッコミを始めます。
そして、それに乗じて「痛」を使った漢字を考えさせます。
このとき想像する漢字は、正しい漢字でなくても構いません。
「痛い」というイメージさえ持っていれば大丈夫です。
例えば、この子が言っていたのは「痛勤列車」「痛知表」「頭痛」でした。
存在する言葉は頭痛だけですが、他の字は「痛い」というイメージをあえてあてて作った漢字なので、それでも構いません。
「いやいや先生。正しい漢字は『通』ですよね?そっちを教えないと。」
確かに正しいことを教えるのも勉強です。
しかし、間違えたことを教えるのも勉強なのです。
そして子どもは間違えたものの方が記憶に残りやすいものです。
それが「わざと」間違えたと意識していれば、結果的に正しいものを覚えたことになりませんか?
なので、勉強が嫌いなら、なおさら正しい事よりも、間違えたことを教える方がうまくいくのです。
この時間、働きません
こちらも漢字の珍解答です。
「勤務時間」と書くところを「難」務時間と書いています。
そして本当は間違えているのに、丸になっています。
これも先程と同様、現状では漢字の勉強そのものが無意味なので、勉強自体をやめさせた方がいいでしょう。
こちらも受験勉強なら勉強禁止令事案です。
とはいえ、やはり面白い間違いを捨てるには勿体ないですね。
やはりあえて突っ込んで、考えてもらいました。
「難務時間」なので、きっと働くのが難しい時間帯なのでしょう。
他にも難しいものを考えてもらうと、「非難」「困難」「難派(ナンパ)」
と言っていました。
非難と困難は正しい漢字ですね。
非難は思いついて適当に言った熟語だったようですが、自分で
「非難って『難しくあらず』だから、難しくないっていう意味じゃないの?なんて批判するみたいな意味になったんだろう?」
と言い始めました。
これはこれで勉強につながりますね。
自分で調べさせていますが、ここでは私が説明してしまいます。
「非」にはたしかに「あらず」という否定の意味もありますが、「よくないこと」「よくないことにする」という意味もあります。
「非行」がこれにあたりますね。
そして「難」には「とがめる」「なじる」「責める」という意味があります。
なので、似た意味が組み合わさった熟語にあたります。
このように、間違いをあえてさせることにより、正しいことを身に着けさせることもできます。
実際この方が覚えやすいですし。
3つ目のナンパは思いついたから言ってみただけの言葉ですが、ナンパも本来は「軟派」と書き、硬派の対義語です。
つまり、お堅い人の逆で、軽い人だから軟派、です。
そしてこの漢字を「難派」にしたということは、「優派」もいることになりますね。
「どんな性格だろ?」
と考え始めれば、それだけで「難」のイメージづくりをしていることになります。
あとは放っておいても問題ありません。
親子で言葉遊びを楽しんで下さい。
正しいことを教えようとしない
正しいことを教えるのが教育だと思っている人が多いのですが、正しい事しか教えないと、いずれ困ることがわかっています。
例えば、麻薬はダメというのも、麻薬がダメと教えるときに、必ず間違った方の世界も教えています。
もし間違った方を選択するとどうなるか、これは交通安全でもよく使われる方法です。
でも、なぜか点数化される教科には、そのような間違ったものから学ぶ教え方がないのです。
その理由は、時間がかかって大変だから。
間違え方なんて人それぞれですから、ケーススタディで1人のものを取り上げたとしても時間がかかって進まないんですね。
なので、正解ばかり教えようとします。
家で折角時間があるのに、親も同じ教育をする必要があるでしょうか?
親には学校にはできない教育法が存在します。
その一つが、誤答や珍解答を認めて、それをきっかけに考えさせる勉強です。
これをやってみた子は、例外なく「こっちの方が楽しい」と言います。
ファイのオンライン授業では、月1万円で、間違いを活かして楽しく勉強していく方法をアドバイスしています。
中学受験を通して親子関係が辛くなってきた方はご連絡下さい。
親子仲良く過ごしながら受験勉強をカバーする方法はいくらでもありますよ。
「くだらない間違いばかりで頭が痛くなってきます。勉強のやる気がないからいけないことはわかっているのですが、どう持っていけばいいかわかりません。なんとかならないでしょうか。」
日能研 小4 母