目次
沖ノ鳥島はずるい!?
沖ノ鳥島には人が住んでいた!?
「先日、娘から『沖ノ鳥島ってなんで領土として認められてるの?あんな小さい島じゃ人住めないじゃん』と言われ、『今は温暖化のせいで小さくなったけど、昔は大きかったから人も住んでたんじゃないかな。』と適当なことを言ってしまいました。合ってますか?(笑)」
サピックス+ファイ 小6 母
合っていません(笑)
残念ながら、沖ノ鳥島には人が住んでいたという記録はありません。
研究者や工事関係者が泊まり込みで仕事をするぐらいですね。
でも大きいのは事実です。
そして沖ノ鳥島は排他的経済水域とその小ささばかりが注目されますが、もっと突っ込んで考えると、地理の根本にも触れることができる題材なのです。
子どもが沖ノ鳥島の話をしてきたら、ぜひ一緒に話して欲しいことが満載なので、ファイでどんなオンライン授業をしているのかちょっと紹介しましょう。
各種領域について
領土、領海、領空、排他的経済水域、大陸棚、接続水域。
やたらややこしいこれらの用語は中学受験でも高校受験でも必須の内容。
オンライン授業でも毎年塾生に聞かれるので、いずれ必要になる方のためにお話しておきます。
あちこちに書かれているため解説自体は今さら不要かと思いますので、
子どもがどこでつまづくのか。
何を知っていると理解しやすいのか。
どういう所に興味を示すのか。
を中心にお話します。
領土
水に沈んでいない自国の土地を領土といいます。
「先生、でも海って潮の満ち引きがあるじゃないですか。そうすると海岸線って結構ズレませんか?」
これは小4の塾生の疑問。
身近な生活とリンクしている知識は、このように勉強にもつながってくるのです。
さて海岸線はどうしているのか。
実はちゃんとルールがあって、一番潮が引いたときの場所とされています。
よって満潮時に沈んでしまう場所でも、干潮時に姿を現せば領土になります。
領海
海岸線から12海里(かいり)までの場所を領海といいます。
1海里が1.852kmなので、12海里は約22kmとなります。
この範囲内は自国の主権が及ぶので、自国のルールで裁かれます。
当然他の国は許可なく侵入してはいけません。
万が一、一般人が侵入した場合は不法入国、もしくは不法侵入となり逮捕、他国の軍が侵入した場合は攻撃もやむなし、場合によっては戦争になりうる場所となります。
接続水域
海岸線から24海里までの場所を接続水域といいます。
この場所はこれ以上近づくなよ、と警告を行う場所になります。
接続水域は通るだけなら攻撃を受けることはありませんが、基本的には許可を得て侵入する場所です。
クルーズ船や貨物船が港に寄るためには、許可を得る必要があります。
もちろん基本的には許可されます。
しかし何らかの事情により、許可を得ずに接続水域に入った場合は、基本的に挑発行為として捉えられます。
この挑発なのか、侵略なのかは大きな差です。
挑発なら対応によっては戦争になりかねませんからね。
領空
領海の上空から領土上空までが領空となり、ここに入るにも許可がいります。
領海と同様、許可なく侵入した飛行機や飛翔体は攻撃されても文句は言えません。
子どもは「どこまでが領空?」と言って高さを気にしますが、実は「宇宙空間よりも下」とされているだけで、明確に高さが決められているわけではありません。
逆に大気圏と呼ばれる場所で考えてみると、対流圏、成層圏、中間圏までになり、その高さは約100km。
対流圏というのは旅客機が飛ぶ高度ぐらいまでで、約10kmまでなので、その10倍くらいまでとなります。
ちなみに人工衛星は高度800~2万kmの高さで、ギネスにも認定された一番低く飛んだ人工衛星「つばめ」の高度は167km。
弾道ミサイルは高度100km以上の場所まで打ち上げて落とします。
領空外からくる攻撃、しかもその速度は秒速2~5km。
領空に入ってから着弾するまでの時間は20~50秒ということになります。
だからミサイル防衛は難しいんですね。
排他的経済水域
海岸線から200海里、約370kmの範囲を排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)といい、資源を占有する権利があります。
排他的というのは、他者を排する、つまり独占するという意味で、経済というのは、お金になる資源のことを指します。
この海域では他の国の人が勝手に資源(魚や鉱物など)を取ってはいけないんですね。
しかし資源を取ってはいけないだけで、通るのは自由です。
大陸棚
大陸や大きな島の周辺の、深さ約 200mまでの傾斜がきわめてゆるやかな海底と言われていますが、ハッキリ言ってしまえば何となくで決められています。
何となくここまで平で深さも200mより浅いな、というところが大陸棚と決められました。
そのため、最近は地殻が陸地と同じ地質と証明することにより、沿岸から200海里を超えて最大350海里まで自国の大陸棚を延長できる、としています。
これにより認められた大陸棚を延長大陸棚といいます。
実際に日本の大陸棚は延長が認められ、日本列島と沖ノ鳥島の間にあった排他的経済水域の空白地帯の大陸棚を獲得することに成功しました。
あくまで大陸棚の延長なので、排他的経済水域が増える訳ではありませんが、この地域の資源は日本が管理できることになります。
公海・公空
どこの国の領海、領空にも属さない場所のことを指します。
ここでは何をするにしても許可はいりません。
そのため、回遊魚を公海で根こそぎとってしまい、排他的経済水域内に来る魚が減ってしまうという問題も起きており、公海とはいえ、みんなで管理しなければいけない、という形に変わりつつあります。
各種領域のポイントのまとめ
- 領土:干潮時の海岸線。
- 領海:領土から10海里まで。不法侵入は攻撃対象。
- 接続水域:領土から20海里まで。警告する海域。
- 領空:上空約100kmまで。
- 排他的経済水域(EEZ):領土から200海里まで。通るだけならOK。
- 大陸棚:深さ200mまでの緩やかな海底。
- 公海:どこの国でも自由に使っていい海。
- 公空:どこの国でも自由に使っていい空。
これらの用語は中学受験では必須なので、役割まで踏まえて押さえておきましょう。
沖ノ鳥島が「島」である根拠とは
沖ノ鳥島は島なの?
沖ノ鳥島はれっきとした島です。
教科書やテキストでは水没しそうな満潮時の沖ノ鳥島ばかりが取り上げられますが、干潮時には東京ドーム100個分以上の面積になります。
これ、凄く重要!
先程の海岸線の定義によれば、干潮時の海岸線でいいことになるため、この広さで登録されていることになります。
そして島の定義とは、満潮時でも沈まない土地があること、ということになっているため、国際法上の島という定義にあてはまります。
もちろん以前はもっと大きな土地があったのですが、風化で削られて小さくなってしまっている事実には違いがなく、温暖化による海面上昇もあり、放っておけば消滅する可能性は十分あるため、保全に力を入れているのです。
沖ノ鳥島は岩じゃないかって言われてるけど…
沖ノ鳥島を岩だと主張しているのは中国と韓国ですが、中国に関しては南沙諸島(スプラトリー諸島)を島だと言い張って強引な領土拡大を続けています。
しかし南沙諸島には、実は島と呼べるものは一つもありません。
海面に出てすらいないのですから。
実際、国際仲裁裁判所でもあそこは島ではないという結論が出ています。
それにも関わらず、島ですらない場所を埋め立てて、強引に土地を作り上げて「島だ!」と言い張っている中国が「沖ノ鳥島は岩だ」と言っているのです。
さすが中国共産党。
法律を共産党の都合で好き勝手に解釈してしまう組織なだけはある。
しかし日本も日本です。
沖ノ鳥島が岩ではない根拠を明確に話せるような教育をしていないのですから。
受験競争を激化させて、丸暗記と偏差値偏重主義を蔓延させるから沖ノ鳥島がちっぽけな島だと勘違いするのです。
習ったことを丸暗記させて島だといわせているだけなら、中国のやっている情報統制と何ら変わりはありません。
自分の考えを持って話せるようになるのが勉強です。
ファイのオンライン授業では、この部分にとことん力を入れています。
理解できるなら学年の枠も教科の枠も超えて教えています。
でも、この程度のことなら、小4でも中3と一緒に授業を受けて理解できています。
ちなみに、この部分は教えるのではなく、調べさせたことをもとに授業しています。
沖ノ鳥島は何がすごいの?
日本の国土面積は約38万平方kmです。
そして排他的経済水域は約405万平方km。
沖縄の排他的経済水域は簡単に計算できますね。
半径200海里の円の面積を考えればいいのです。
(200海里×1.852km)×(200海里×1.852km)×3.14=約43万平方km
つまり沖ノ鳥島1つで日本の国土面積よりも広い排他的経済水域を獲得しているんですね。
そして日本全体の排他的経済水域の約1割が沖ノ鳥島によってもたらされています。
もし沖ノ鳥島が消失してしまえば、日本は日本の領土以上の面積の経済水域(資源)を失うことになるのです。
何で〇〇鳥島なの?
これも小4から出た質問です。
塾で教えられると、当たり前のように名前が出て、授業が進んでしまうので、気にも留めないところでしょう。
サピックスから転塾してきた中学受験の小6は、答えられずにしどろもどろ。
ファイに小4からいた塾生は、
「あぁ、それ、私も気になって前に調べたことある。アホウドリがいっぱいいた島についてるんだって。」
と答えていました。
そこで、ちょっと足りないので補足。
日本の領土の一番東は南鳥島。
一番南は沖ノ鳥島。
この鳥島の鳥とはアホウドリのことを指します。
アホウドリというのはその名の通り、天敵がいなさ過ぎて警戒心が無くなってしまった阿呆な鳥。
それゆえ、隣で仲間が捕まっていても逃げないため乱獲にあい、絶滅に瀕しています。
そのアホウドリは世界最大の鳥としても知られており、その大きさから見つけやすかったんですね。
このアホウドリが飛んでいく先には島があるため、アホウドリを追いかけて見つけた島に〇〇鳥島という名前が付けられました。
この話しは、割と食いついてきます。
沖ノ鳥島は、必ず触れる機会が巡ってくる話題
これら上記の内容は中学受験か高校受験で必ず必要となる内容です。
そしてニュースでもこれらに関わってくる国際問題が多いため、必ず耳にする機会は訪れます。
その時に何かしら興味を持つきっかけがあれば、話題にするチャンスになります。
教え込むのではなく、興味を持たせるだけですが、この単元に興味を持つと、その後の関連する単元の入りが断然楽になります。
特に理不尽さに興味を示すと、記憶にも残りやすく、自分の意見も持ちやすくなります。
教える必要はありません。
中学受験は親の受験と言われますが、それは知識量の話ではありません。
親としての意見が言えるくらいに知っていれば十分です。
正確性も気にしなくて構いません。
正確な情報なんてその内習いますから。
大切なのは、話題として触れる機会をなるべく多く作ること。
それこそが、机上の勉強を楽しくするための秘訣なのです。
ご家庭で同じことをやってあげればいいだけです。
保護者向けの時事問題解説もぜひご利用下さい(^^)/
話題にするときのポイントを解説しています。
それでもうまくお子様と話題にできない場合は、時事問題を教えることができます。
一見子どもには難しそうな話題でも、結構子どもは食いついてくるものです。
それどころか、結構保護者の方に人気なんですよ。
子どもに質問させて一緒に授業受ける、みたいな(笑)
ファイのオンライン授業は保護者も一緒に授業を受けられるので、そんなこともできるのです。
勉強のやり方自体にお困りの場合は、学習法診断をご利用下さい。
どうすれば成績を上げられるのか、全てハッキリさせることができます。
わかりやすっ!