目次
- 1 ファイの時事問題の使い方
- 1.1 日欧EPAが発効へ
- 1.2 「未来のミライ」アニー賞のインディペンデント賞を受賞
- 1.3 米国 INF離脱をロシアに通告
- 1.4 日独首脳情報保護協定
- 1.5 農産物輸出額、6年連続で最高更新へ
- 1.6 大津市の中学の女子生徒会長1割だけ
- 1.7 革命40年のイラン 反米ムード濃厚
- 1.8 ボーナス不支給が違法と判断
- 1.9 白血病などの遺伝子治療製品 国内初承認へ
- 1.10 豚コレラで5800頭の殺処分
- 1.11 「ゴディバ」日本事業など投資ファンドに売却へ
- 1.12 漢字の「五輪」日本国内で商標登録
- 1.13 探査機「はやぶさ2」,小惑星「リュウグウ」に到着成功
- 1.14 辺野古埋め立て72%が反対
- 1.15 第五福竜丸の乗組員,見崎進さん死去
- 1.16 上皇の英語称号「名誉ある」を付与
- 1.17 ドナルド・キーンさん死去
ファイの時事問題の使い方
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続々と「全部ここから出ました!ありがとうございます!」
といったメッセージを頂く事が多くなり,大変嬉しく思います(^^♪
しかしながら,時事問題は問題作成者である先生の興味や関心にも左右されます。ここから出ると信じ込むのではなく,ここにある問題は押えておくという考え方にして下さい。また,PHIでは基本的に社会的,科学的発展性があるニュースしか扱っていないため,スポーツ系は社会的にも影響を与えた大きな話題となったものしか載せていません。場所は地図を開き,確認する癖がつけられるといいでしょう。
PHIの時事問題は点数を稼ぐためのものではありません。これをきっかけに保護者のみなさまがお子様との話題のきっかけにできることを目指しています。また,子どもが1つでも「へー!」と思って,興味を持ってくれたらと思い公開しています。そのため,数字も細かい数字ではなく,印象に残りやすいようにキリのいい概数にしてあります。
日欧EPAが発効へ
2月1日
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)が発効し,国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)合計で世界の30%,域内人口が6億人を超える世界最大級の自由貿易圏が誕生した。
相互に撤廃する関税の品目は9割超に上ります。チーズ,ワイン,チョコレートやキャンディなどの欧州産食品の値下がりが見込まれ,消費者は恩恵を受けることができますが,国内の生産者にとっては安い外国産の商品が多数入ってくるため大きな打撃となります。経済界は自動車などの輸出増に期待しています。日欧EPAは昨年末に発効した環太平洋連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership Agreement)を上回る規模の経済圏となります。日欧EPAとTPPの参加国のGDP合計は日本の重複分を除いて世界の約35%を占め,人口は10億人を超えることとなりました。関税は経済分野で出てきてもなかなか理解し辛いところ。しかし身近な出来事と合わせておくと理解しやすくなるでしょう。
「未来のミライ」アニー賞のインディペンデント賞を受賞
2月2日
アニメ界のアカデミー賞とされる「アニー賞」の授賞式が2日、米ロサンゼルスで開かれ、細田守監督の映画「未来のミライ」が、インディペンデント作品賞を受賞した。
作品は,4歳の男の子が未来からタイムスリップしてきた妹と出会い,成長していく物語です。細田監督本人の実体験をベースにしたオリジナル作品で,一つの家族を通して,過去から未来へつながる生命の大きな循環が描かれています。時事性としては高くはありませんが,日本のアニメは世界でも高い評価を受けているということは,これからの経済を知る上でも重要でしょう。
米国 INF離脱をロシアに通告
2月3日
ポンペオ米国務長官はロシアとの間で締結している中距離核戦力全廃条約(INF:Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)からの離脱をロシア側に正式に通告したと発表した。
条約は規定に従って6カ月後に失効する見通しです。中距離核戦力全廃条約は1987年に結ばれ、射程500~5500キロメートルの中距離核戦力(INF)を世界的に禁止しているものです。500kmとは大体東京から大阪の距離です。5000キロだとオーストラリアまで届きます。米ソ冷戦終結を象徴する歴史的な条約が消え去ることになり、米露間のもう一つの核軍縮条約に対する影響への懸念も出始めました。公民で出てくる条約のため,関連事項という意味では時事性が高い問題になります。
日独首脳情報保護協定
2月4日
安倍首相が来日中のメルケル独首相と会談し,両国間での機密情報の交換を可能にする情報保護協定を締結することで合意。
情報保護協定の締結によって,日本とドイツは軍事機密やテロ情報などの機密情報のやり取りがこれまで以上に容易になります。サイバー系のセキュリティの協力にも役に立つといわれているのですが,時事性はそこまで高くないでしょう。首相の名前とドイツの場所は確認してみて下さい。
農産物輸出額、6年連続で最高更新へ
2月8日
農林水産省は2018年の農林水産物・食品の輸出額(速報値)が前年比10%増の1兆円弱と,6年連続で過去最高を更新したと発表。
欧州やアジアの和食ブームなどを背景に輸出が拡大しました。品目別では,和牛などの牛肉が台湾向け輸出が新たに解禁されたことなどを追い風に30%増の250億円,日本酒は20%増の200億円となりました。青果物ではリンゴが30%増の140億円。農産物全体は15%増の5600億円でした。一方で、東日本大震災後の原子力発電所事故による輸入規制が一部の国で続いているほか,検疫基準の違いで輸出ができない農産物も少なくありません。このニュース自体の時事性は高くありませんが,貿易に関する原因と結果を考えることは経済に対する感覚を身に着けるのに役立ちます。
大津市の中学の女子生徒会長1割だけ
2月8日
市長や教育長,教育委員が教育政策について議論する会議が開かれ,大津市立小中学校の児童・生徒会長の男女別データなどが示され,大津市の中学の女子生徒会長は全体の1割しかいないことを問題視した。小学生の児童会長は男女ほぼ同じ割合だったとのこと。
今回注目するのは,データからみて小学校の児童会長は男女のバランスがとれているのに,中学校の生徒会長に女子が少ないのはなぜといった面です。小学校の児童会長の男女比は大体半々となっていたのですが,中学校になったとたんに女子の会長が1割まで落ちてしまっています。今回の調査では滋賀県大津市のみでしたが,おそらく全国的にどこを見ても似たような結果になると思います。社会のリーダー役に男性が多い現状が中学生のころから潜在的に社会の縮図として刷り込まれているような結果になっているのはどうしてなのか,公民分野で出てくる男女雇用機会均等法にも関係してくる話なので,子どもに問いかけてみるといいでしょう。
革命40年のイラン 反米ムード濃厚
2月11日
イランで王制が崩壊し,イスラム教シーア派の法学者が権力を握った革命から40年がたち,国内メディアによると全国各地で数百万人が革命を祝って行進した。
それまでの数十年イランの石油は欧米企業の支配下に置かれ利益を搾取されていたのですが,1951年に民主的な選挙によってモサデク政権が誕生すると,モサデク新首相は就任直後にイランの石油産業を国有化して欧米から奪還することに成功しました。すると米英はすぐさまモサデクを失脚させて米英寄りのパーレビ国王に君主政治を敷かせるべくクーデターを起こさせたことが原因で,イランは反米になっています。前米大統領のオバマ氏はイランとの核合意にこぎ着けたのですが,現イラン大統領ロウハニ師は演説で「他者に許可を得ることなくミサイルを製造する。軍事と防衛の道を歩み続ける。」と軍備強化を継続する意向を示しました。中東の問題はとても複雑で,時事問題にはしづらいものも多いので無理する必要はありませんが,聞いたことがある程度に耳に入れておくと布石にはなるでしょう。
ボーナス不支給が違法と判断
2月15日
大阪高裁がアルバイトに賞与(ボーナス)を支給しないのは違法とする判断を示した。大阪医科薬科大学でアルバイトの秘書として勤務していた女性が,正職員であるほかに秘書よりも仕事量が多いにもかかわらず,年収は3分の1程度であったことが違法性に問われた判決。 一審判決では全面敗訴だったが,逆転勝訴に。
アルバイトや契約社員らの非正規労働者は2000万人を超え、全労働者の4割近くを占めています。しかし非正規労働者に賞与を支給していない会社や法人は多く、他の同種訴訟でも大きな争点となってきています。働き方というのは,働く側もしっかりした知識を持って経営者と立ち向かわなければなりません。しかしその知識は学校では教えてくれません。結局自分で情報を集めて学んでいくしかないのですが,多くの方が与えられた環境を当たり前だと思い込み,いいように使われているのが現状です。ぜひしっかりと考えられる子に育てて,いい働き方ができるようにしてあげて下さい。ちなみにPHIは講師に働き方はもちろん,給与や税の仕組みに至るまで0から教えていて,バイトにもボーナスを支給や年数回の昇給,有給休暇の取得推奨をしているめちゃくちゃホワイトな会社です(笑)
白血病などの遺伝子治療製品 国内初承認へ
2月20日
厚生労働省の再生医療等製品・生物由来技術部会は,患者の免疫細胞を増強する新たながん免疫療法に用いる製品の製造・販売の承認を了承。
白血病とは骨髄にある「造血幹細胞」という血液を作るところから白血球,赤血球,血小板が作られるときに,遺伝子に何らかの異常が起こることで細胞ががん化し、増殖してしまう病気です。全がん種の中で10番目くらいに多いものですが,水泳の池江璃花子選手の発病で認識が広まりました。今回新たに認証される薬品の対象は難治性の白血病とリンパ腫ですが,今後新たながん治療の柱となることが期待されています。また,足の切断にもつながる重傷虚血肢を対象とした製品についても了承されました。いずれも遺伝子治療技術を使った製品で,承認されるのは初めて。この時事問題自体はそこまで時事性は高くありませんが,白血病については色々と触れる機会も増えましたので,どのような病気か知っていると,人体の仕組みの理解につながってきますよ。
豚コレラで5800頭の殺処分
2月21日
岐阜県瑞浪市の養豚場で家畜伝染病の「豚コレラ(トンコレラ)」が確認された問題で,県は養豚場で飼育されていた豚約5800頭の殺処分が終了したと発表。
豚コレラというのは,豚やいのししの病気であって人に感染することはなく,仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人には影響はありません。また,感染豚の肉が市場に出回ることはありません。しかし,豚やいのししには強い伝染力と高い致死率が特徴のため,感染拡大を防ぐために殺処分が行われています。命をテーマにした問題は難関になるほど入試で多く出題される傾向にあります。利益のために,これ以上犠牲を増やさないためにとはいえ,人の都合で育てられ殺される動物たちに現代社会の食生活は支えられているということについて,考えるきっかけを与えておくと理解しやすくなります。
「ゴディバ」日本事業など投資ファンドに売却へ
2月21日
ベルギーの高級チョコレートメーカー,ゴディバは日本事業などをアジア系投資ファンドのMBKパートナーズに売却することで合意。売却額はおよそ10億ドル(約1100億円)を超え,今後の売り上げ増に期待がかかるカフェの新設などに投資する。
チョコレートとは,カカオの種子を発酵・焙煎したカカオマスというものが原料です。カカオマスには動脈硬化の予防の効果のある「ポリフェノール」やリラックス効果が高い「テオブロミン」という成分がたくさん含まれています。ゴディバのカカオは赤道を中心に南北緯20度以内(カカオベルト)で主な産地は南アフリカ,インドネシアとなっています。最近では今まで栽培できなかった台湾や沖縄での栽培も試みられているのですが,その理由は温暖化。国産チョコレートを素直に喜んでいいのやら…ですね。チョコレートネタは結構社会に直結してくる話題が多くあります。バレンタインもありますし,身近なものから学べる社会の代表と言っても過言ではありません。ぜひ積極的に話題にしてみて下さい。
漢字の「五輪」日本国内で商標登録
2月21日
国際オリンピック委員会(IOC:International Olympic Committee)が,日本国内で定着しているオリンピックの通称「五輪」について、日本の特許庁に商標登録した。
2020年東京五輪・パラリンピックにむけて公式スポンサー以外の便乗商法を防ぐ目的だと考えられます。登録商標とは特定の商品やサービスを他と区別するため特許庁に申請を出して登録が認められたものです。とても身近なものなので,身の回りにどのようなものが特許や登録があるか調べてみると子どもの興味がわきやすくなります。
探査機「はやぶさ2」,小惑星「リュウグウ」に到着成功
2月22日
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球から遠く離れた小惑星「リュウグウ」への着陸に成功したと発表。
はやぶさ2は「弾丸」をリュウグウの表面に向けて発射し,舞い上がる物質を採取して地球に持ち帰って分析する計画となっています。リュウグウには太陽系が誕生したおよそ46億年前にさかのぼる有機物質と水が比較的大量に存在しているとされているので,地球の生命の起源が宇宙からの物質に由来するのかといった,根源的な疑問のいくつかに解決の糸口を見いだすことが期待されています。探査機名や目的などは時事にされやすい話題なので,押さえておきましょう。
辺野古埋め立て72%が反対
2月25日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る県民投票は、辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」が70%を超えた。
沖縄に米軍基地が作られる理由の一つとして,地の利があります。沖縄本島は日本本土よりも台湾に近く,中国海軍の司令部がある青島までおよそ1300キロ,中国の特別行政区の香港までおよそ1400キロ,北朝鮮のピョンヤンまでおよそ1500キロ,韓国のソウルまでおよそ1300キロと日本の安全保障上の脅威になるそれぞれの地域とほぼ等距離の位置にあることがわかります。何かあった時に迅速に対応することができます。今回の投票率は50%をこえることとなりました。沖縄県知事の玉城デニーさんは,安倍晋三首相とトランプ米大統領に結果を伝達する予定ですが,今回の投票の結果に法的な拘束力はないので辺野古埋め立ては民意に反して国の意思決定で進みそうな気配。森かけ問題といい,辺野古問題といい,結局権力者の方針に従って進んでいってしまう民主主義。損をするのは何も知らずに,何も考えずに生きていく人。賢い子どもになってもらいたいですね。
第五福竜丸の乗組員,見崎進さん死去
2月25日
太平洋・ビキニ環礁で行った水爆実験で被曝した静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員だった見崎進さんが肺がんのため亡くなった。
アメリカは1946年7月,ビキニ環礁で「クロスロード作戦」という核実験を行いました。この核実験は予め告知されており,危険水域も定められていましたが,想定外の爆発の威力で危険水域をはるかに超えて強烈な放射線が放たれました。その際に爆心からおよそ160km離れたところでマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員全23人が「死の灰」を浴びて被曝した事件を第五福竜丸事件と呼んでいます。死の灰というのは核兵器や原子力事故で発生した放射性物質を含んだちりのことです。原発問題は度々話題になりますし,教科書にも載っている事件なので話題にしておくと印象付けになります。
上皇の英語称号「名誉ある」を付与
2月25日
宮内庁は代替わり後,上皇,上皇后になられる天皇皇后両陛下の英語称号を発表。上皇はHis Majesty the Emperor Emeritus。上皇后はHer Majesty the Empress Emeritaと呼ぶことに。
天皇皇后の英語称号に「名誉ある」を意味するEmeritusとその女性形Emeritaをそれぞれ付けることで,立場の変更を明確にすることができます。エンペラーというのは古代中国で秦の始皇帝がはじめて中国全土を統一したときに大王では物足りず,皇帝と呼ばせたのがきっかけです。それに倣い日本も「皇帝」を名乗ろうとしたのですが当時の中国は強大な力を持っていたので怒らせないように「天皇」となりました。そこからの英訳で天皇も皇帝もEmperorとなりました」。それぞれの単語の意味としてMajesty=威厳,emperor=天皇 となっています。
ドナルド・キーンさん死去
2月26日
米国に生まれ,晩年に日本国籍を取得した日本文学研究者のドナルド・キーンさんが96歳で亡くなった。
ドナルド・キーンさんは第二次世界大戦中に米海軍で日本語を学び,日本軍捕虜の取り調べや日記の解読などをしていました。戦後には,源氏物語,徒然草,奥の細道などの日本の古典文学や戦後を代表する作家の谷崎潤一郎,川端康成,三島由紀夫,安部公房らと親交を深め、その作品の翻訳などをして,世界に広めるという日本文学において多大な功績を残してくれました。時事性はそこまで高くないとは思いますが,関連事項として文学作品は出てくるかもしれないので,教科書に出てくる名前と作品ぐらいは確認しておくといいでしょう。
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