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受験は「結果」か「過程」か
よく『結果が全て』という言葉を聞きますが、それは小区分での話。
例えば単語テストや漢字テストなど、出題範囲が決まっていて、やりさえすれば絶対満点が取れるような試験は「結果が全て」といえるでしょう。
しかし受験はどうでしょう?
受験で合格することは確かに大切です。
しかし、合格できなかったことにより、失敗と言い切れるでしょうか。
逆に、合格したら成功と言い切れますか?
私は、折角開成に合格できたのに、思うようにいかず、挫折してしまった子どもの話を何回も聞いています。
実はこれ、少数派ではありません。
中堅校になればなるほど、増えていきます。
増えるのですが、周りも同じ状況なので、気付きにくくなっているのです。
そう、勉強は受験が終わったから終わり、ではないのです。
私の教え子で、受験に失敗してしまった子のお話をしましょう。
私がオンライン授業を始めた初期の頃の生徒のお話です。
模試や過去問の出来から見れば余裕の合格圏内。
しかし残念ながら不合格でした。
ではこれで彼の人生が失敗したのかというとそうではありません。
彼が高校生になって目指したのは東大。
中学生の時はそういう高い目標には興味がなかったのですが、高校受験に失敗したことで火がついたのです。
中学生の時に目標としていた職業や大学よりも高い目標を掲げ、さらにそれをSNSに書くことで堂々と宣言までしました。
当時は今ほどオンラインは発達していませんでしたが、中高生でもSNSは結構使われており、卒業後も割と連絡をよくくれました。
なお、東大は出るか出ないか、といった感じの高校だったので、東大を目指すという事は、実質校内トップを目指すのと変わりがない状況でした。
そこそこできたことが仇になった中学時代
ちょっと前に戻って、中学生の彼を教えていた時の話をしましょう。
正直大して勉強していませんでした。
要領は良かったのですが、それゆえ高を括った感じがあり、ちょっとだけやって、そこそこの点が取れて、満足してやらない。
素頭が良かったので、ろくに考えなくても暗記出来てしまったんですね。
「そんな勉強の仕方をしていたら足元をすくわれる」と指摘はしておきましたが、点数を落とした経験もなく、実感が伴わないため、聞き入れてくれません。
残念ながら、そこそこ記憶力がいい子は、高校入試程度なら、丸暗記だけでもそこそこ点数が取れてしまうのです。
もちろんそのまま志望校へ合格してしまえばそれもありでしょう。
しかし、プレッシャーに弱い部分があり、万が一があり得る状況だったため、1年も前から受験でこけた時のための仕込みをコツコツとしておきました。
そして受験。
残念ながら悪い方の予想が的中してしまいました。
しょっぱなの安全校でいきなりコケたのです。
その後もペースは回復することなく、2回目で安全校は押さえたものの、チャレンジ校、次善校は全滅。
第4希望の学校へ進学することになりました。
第4希望とはいえ、決して余裕があったわけではないので、立派ではありましたが、受験に向けた姿勢から考えれば褒められたものではありません。
彼もそれを自覚していたのか、みんながいる前ではおちゃらけていましたが、私と二人になった瞬間、彼は大泣きしていました。
受験本番で、丸暗記の壁に当たってしまったのです。
受験に落ちたから東大を目指した
結局彼は行きたかった学校にことごとく滑ってしまったわけですが、その悔しさをバネに頑張り出したのです。
「どうせやるなら東大を目指してやる!」
と。
中学生のときのガッツのなさからは想像もつきません。
大切なのは、この目指してみようとする気持ちなのです。
実際合格できるかどうか、それはわかりません。
もちろん合格するに越したことはありませんが、合格が必ずしも成功とは限らないのです。
少なくともろくに考えもせず、丸暗記だけで乗り切っていた彼に関しては、受験で落ちたことをきっかけに、努力する勉強(考える勉強)ができるようになった訳ですから、長い目で見れば、不合格だったことが人生の役に立ったと言えるでしょう。
不合格で手にした合格
一般的な塾の体験談やストーリーは合格しておしまいですが、ファイは合格第一主義ではありません。
この子はもう就職も決まったので、この後のエピソードまでお話しましょう。
彼はその後も連絡をくれ、成績表を持って話しに来てくれました。
勉強の仕方から恋愛まで相談に乗っていました。
考える勉強をするようになった彼は、学校の中で選抜クラスにも選ばれ、学内トップレベルになりました。
一般的に塾は受からせてなんぼの世界となっていますが、私は受験は終わってからが勝負だと思って教えていますから、教師冥利につきるというものです。
彼は高校で優秀な成績を収め、模試でも実際に東大が視野に入るまで伸びました。
中学生の時は、東大の「と」の字も出てくるような感じではなかったのですが(笑)
そしてある日、私はどこを受けるか相談されました。
と。
私はブランドやネームバリューよりも、やりたいことを学べるところに行くべきだと考えています。
おそらく彼もわかってて私に聞いてきたのでしょう。
彼は慶應を選択しました。
「勿体ない!」という方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。
彼は偏差値が足りないから東大をやめたのではなく、積極的選択により、慶應を選んだのですから。
彼の通っていた高校からは、今でこそ東大が出ていますが、以前はそこまでではなかったため、「東大受けないのか?」と言われたそうです。
そんなところまで上り詰めたのですから、本当によく頑張ったものです。
彼はその後慶應に合格し、大学でも猛勉強。
さらに三大難関国家資格である、医者や弁護士と並ぶ公認会計士試験に見事合格!
しかも合格者順位がめちゃくちゃいい(笑)
大手の会計事務所に勤めることが決まりました。
そして合格した時の通知書を見せてくれました。
点数から順位まで、数字が細かく出ているため、ぼかしてお見せする形になりますが、本当はお見せしたいくらいいい成績(笑)
結果にするか、過程にするかは親次第
受験に落ちたらと思うと不安で眠れない方。
すでに受験に落ちて嘆いている方。
試験後の出来具合を見て落ちるとわかってしまった方。
落ちて終わるのは受験です。
人生ではありません。
その後の人生に活かすも殺すも、親次第なのです。
悔しいと思えば勝手に勉強します。
この子のようにね。
自分なりに頑張った、その結果をしっかり受け止め、今後に活かせれば、その受験は後の成功になるのです。
今回紹介したのは高校受験の子ですが、中学受験は3年も早い分、もっと活かしやすくなります。
どこに行くことになったか、はあまり大した問題ではありません。
そこでどうするか、の方が人生に影響を及ぼすのです。
今の受験は1度しかありませんが、人生において受験は何度かあります。
大切なのは、次の勝利のために負けを認め、反省すること。
今の受験はそのスタートであってゴールではないのです。
彼はファイでアシスタントとして手伝ってくれ、その時に丸暗記して私に叱られた子ども達にこんなことを話していました。
「切替さんは雑談ばかりしてるように見えるけど、なんであんなに関係ないことばかり話してると思う?
当時は何とも思ってなかったけれど、ふとしたときに、未だに『あぁ、先生が話してたことだ』って思うことが多々あるんだよね。
結局さ、何をしても勉強に通じるってことなんだよ。大切なのは今やっていること、やりたいと思っていることに全力を注いで考えること。やりたいことに全力を注げば、その時に考えた思考プロセスが、が巡り巡ってテストにも活かされる。
テストなんてそうやって得られる思考プロセスの一部を点数化するために作ってるものだから、テストのための勉強(丸暗記)なんてしなくても、点数取れるんだよ。だからもっと考えることを楽しまなきゃ!」
以前からスカイプというものがありましたが、今ほど通信状態が良くなく、あまり使えませんでした。
しかし今の通信環境は快適ですからね、遠方でも簡単に顔を合わせて会うことができ、このようにコミュニケーションを取ることができます。
本来自身の仕事や勉強に忙しいと、直接会って話するのは難しいものですが、これもオンライン授業ならではのメリットですね。
合格度外視の指導で伸びるのか?
合格度外視は受験戦争世代の親からしてみたら恐怖でしかないでしょう。
その気持ちはよくわかります。
しかし、時代は変わりました。
名の知れた大学に入れておけばいいという時代は終わったのです。
これからの時代に大切なのは、自分がやりたいことにしっかり打ち込めるかどうか。
受験も文部科学省も、詰め込み教育を排除していく方向に動いています。
特に中学受験はそれぞれの学校が作っていますから、難関ほどその傾向は顕著に表れています。
また、中高一貫校も、知識より思考力を問う問題を盛り込んできています。
テスト問題にしたときの評価のものさしがないため、理想と現実のはざまで混沌としてますけどね。
だから、これからの時代、考えられる子の方が伸びますよ。
合格度外視は理想論ではなく、現実論なのです。
現実的に考えて、その方が伸びる可能性が高いのです。
成績を上げることも合格させることも第一目的にしていないのであえてアピールもしていませんが、そんなもの目指さない方が、子ども達は伸びていくのです。
同じ受験でも、自分で決めてやった受験か、親や先生が決めてやった受験か、その違いは受験後に大きな差になります。
間に合う子はポーンと伸びて、志望校よりも高い所へ合格していきます。
受験に一生懸命になるのも大切ですが、受験後のことを真剣に考えておくことも大切なのです。
今の受験は受験業界があおりすぎている感じがしますね。
特に中学受験。
相当課金競争であおっていますよね。
結局塾業界は、受験業界が盛り上がらなければ売り上げが上がらないので、合格を餌にあおるしかないのです。
今のまま詰込み教育で進むか、変えて思考力を養うべきか
もちろんそのシステムに乗ってうまく行っているのであれば、わざわざ降りる必要はありません。
しかし、うまくいっていないのであれば、考える力で乗り切る方法に変えてみるのもいいでしょう。
受験を目指すなとは言いませんが、彼は受験に失敗して学んでいます。
とはいえ、受験後のことを何も考えずに落ちても、後付けになるだけで学ぶものは少なくなります。
そのため、もちろんファイの子も何も手を打たずに受験に挑んでいるわけではありません。
漠然と「受験後を考えろ」と言っているわけでもありません。
戦略的にあの手この手で布石を打っているのです。
自分で考えられるように、素地を作っているのです。
今現在、すでに波に乗れていない方は、すぐにファイへご連絡下さい。
ファイの指導は現実論ではありますが、時間がかかるのが難点なのです。
そのため、この指導法で受験も成功させるとなると、時間が少しでも長く残されている方が有利なのです。
もし踏ん切りがつかない方は、まず学習法診断をご利用下さい。
入会不要で受けられますし、入らなければいけないこともありません。
学習法診断のみ、定期的にお受けする方もいらっしゃいます。
オンラインなので遠方の方でも問題ありません。
今するべきことをハッキリさせることを目的としたサービスです。
今後の方針を立てるにあたって、きっとお力になれるでしょう。
「東大を目指してはいましたが、行きたいのは慶應なんです。どうしましょう。」