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いくら言っても綺麗に書かない理由
どれだけ言っても綺麗に書けない子、いますね。
しかもそれが原因で失点しているとなれば、なおのこと「綺麗に書け!」と言いたくなりますね。
しかし、言ったところでそう簡単には変わりません。
ファイのオンライン授業では、なぜ綺麗に書けないのかを考えます。
一緒にちょっと考えてみましょう。
なぜノートの作り方が大切だと思いますか?
- 後で見直した時に見つけやすくするため。
- ミスをしないため。
- 復習しやすくするため。
そうですね。
間違ってはいません。
では後で見直さない、復習をしない子は、ノートを綺麗に作る必要ないですよね?
「いえ、そんなことはないと思います。」
ではミスをしない(そもそもそんなに解けない)人はノートを丁寧に作る必要はありませんか?
「いえ、そんなことはないと思います。」
では、復習しない、ミスをしない(そもそもそんなに解けない)子は何のためにノートの作り方を学ばなければならないのでしょう?
そう、これがいくらノートを綺麗に作りなさいと言っても、全然聞いてくれない理由です。
みんな成績アップのためのノートだと勘違いしているんですね。
でも子どもは、ノートを綺麗に書いたからって成績が上がるとは思えない。
何よりめんどくさい。
だからいくら言ってもノートが綺麗にならないのです。
ノートを綺麗に作るとはどういうこと?
ノートが綺麗なら成績が上がる?
そうではないのです。
ノートをしっかり作るという行動は、勉強に限らず,全ての生活に直結してくる問題なのです。
例えばノートに日付を書かない。
これは日時の把握を全くせずに、日々その日の事に追われているだけという生活の様子を見る事が出来ます。
こういう子は計画的な行動が出来ません。
ノートや提出物に名前を書かない。
これは見せる相手に「見てもらおう」という気が薄いことの現れです。
こういう子は自分が正しいと思っていて、見下している人の話は一切聞こうとしません。
ノートの端っこに計算して消してしまう。
こういう子は見た目を気にして自分をごまかそうとします。
普段の生活でもそういう部分が垣間見えるのではないでしょうか?
このように、ノートには性格はもちろん、生活の様子そのものがそのまま表れるのです。
つまり、ノートの作り方を変える事は、生活そのものを直していく事にもつながっていくのです。
だからノートを変えるのはとても大変ですが、とても大切なことなのです。
しかし一度変われば、それは生活にも影響を及ぼしてきます。
そして一度それが当たり前になってしまえば、そうそう簡単に崩れる事はありません。
ノートが変われば成績が変わる!
精神としては若干武道と似ている部分がありますよね。
武士道精神ならぬ、ノート道精神とでもいいましょうか。
空手でも柔道でも剣道でも、大抵礼節や道場訓を大切にします。
そして武道を通して礼節を学び、人としての在り方を身に着けていきます。
ノートも同じようなものです。
勉強を通してノートの作り方を学び、社会人としての在り方を身に着けていきます。
決して成績を上げるために必要なものではありません。
とある教え子はこのように話してくれました。
「社会人になった今でも、先生に教わったメモの取り方が息づいてるなーって感じます。」
ノートを変えるとはこういう事なのです。
私がノートだけではなく、言葉づかいや姿勢、授業の受け方、メモの取り方、話し方など、一見勉強とは関係なさそうな所まで注意し、指導するのも、こういう部分から改善しなければ、ノートの作り方は改善できないためです。
「ノートの分析なんで誰がやっても同じでしょ?」
それはノート分析の世界を知らない証拠。
私から見れば、大手の塾でトップレベルの実績を叩き出す方でさえ、ノート分析は大学生のバイト講師と変わらない素人レベルです。
「生徒のノートなんてチェックしたことありません。そんなことしなくてもできる子たちばかりですから。」
そうおっしゃっているトップ講師の方がいました。
彼らのほとんどはノート分析をする必要がない子ども達を相手にしていますからね。
そして塾はトップ講師の彼らが仕切っています。
中位、下位クラスにも同じやり方が通用すると考えて。
だから中位、下位クラスの子が上位クラスの子を伸ばすシステムに乗っかろうとしても、うまく行かないのです。
ノートには子どもの考え、気持ち、性格といった様々な情報が表れています。
子どもの成長のカルテみたいなものなのです。
そこまで見るから、どう勉強すればいいか、今何をするべきか、正確に診断できるのです。
だから、ノート作りは大切なんですね。
東大生のノートを真似しても伸びない!
「いつもブログを拝見しています。先生のブログにあった通り、ノートの作り方を意識するようにしてみたのですが、どうもうまく行きません。東大生のノートを真似した時期もありましたが、うまくいきませんでした。真似する以外にコツがあるのでしょうか。」
サピックス 小4 母
ブログを見てからお子様のノートを見てみる方が増えてくれているようです。
そんな方からチラホラと、「ノートは綺麗になったんだけど…」というお話を耳にするようになりました。
いつもありがとうございます。
実はファイのオンライン授業のやり方を参考にしているという塾からも問い合わせを頂きました。
そこで綺麗なだけではなぜダメなのかも話しておこうと思います。
まずこのノートをご覧下さい。
これは間違えたところを中心にまとめを自分で行ったノートです。
一見すると綺麗にまとめられていますね。
実際これを見本として見せると、
「よくまとめられていますね!」
とよく言われます。
しかし、これはファイのオンライン授業ではダメなノートです。
このノート、実は「私は理解できていません!」という証拠が沢山あるのです。
その部分の理解度を試す質問をしていくと、案の定わかっていませんでした。
そしてもう一度考え直して追加でまとめさせたのがこのノートです。
些細な事のようですが、これはとても大きな違いです。
この部分が理解できていないと、この分野の本質的な部分は理解できず、違う聞き方で問題が出されたら解けないのです。
東大生のノートとか、ビリから1位になった人のノートとか、一生懸命真似しても伸びないのは、中身が伴っていないからなんですね。
この子は2年半見てきましたが、入試直前で成績が一気に上昇しています。
当初の第一志望を通り越して、ワンランク上の学校へ進学してしまいました。
オンライン授業の子のノート紹介:中学受験の算数の計算
実際にオンライン授業の子のノートを紹介しましょう。
中学受験の子のノートです。
この子は算数の時間の計算で、分を時間に直すときに、わる数と割られる数を逆にして計算してしまいました。
これは割り算は大きいものから小さいものを割るという先入観からやってしまったミスです。
直しをするときに、どこで間違えたのかをしっかり記入しています。
こちらは面積の単位換算で、ヘクタールとアールまではわかっていたものの、平方メートルを平方センチメートルに直すときに100倍でやってしまい、間違えたミスです。
直しの時に、その部分を注目して直してあります。
よくこの単位換算を覚えさせる先生が多いのですが、「1平方メートル=10000平方センチメートル」は暗記するものではありません。
平方の意味がわかっていれば簡単に説明できます。
この子も確認で聞いてみると、それをちゃんと答えられていました。
下の計算問題は、答えの数字に点が入ってしまい、それを小数点と見間違えて計算してしまったミスでした。
この子の場合、シンプルにまとめていますが、ポイントは理解できているのでこれで大丈夫なのです。
大切なのはノートを綺麗にすることではなく、頭に綺麗に入れることです。
伸びる子のノートとは
もう一つ例をあげましょう。
このノートの子は伸びるでしょうか、伸びないでしょうか。
この子も一見すると普通の綺麗なノートに見えるかも知れません。
しかしこのノート、ファイのオンライン授業ではダメなノートなのです。
ダメな理由は、単に文字の羅列になっている所です。
この子は新しくならった部分を、家に帰ってもう一度自分なりにまとめて、問題演習をしています。
この自分なりにまとめ直したのが上記ノートです。
自分なりにまとめる所までは非常にいいのですが,文字だらけにしてしまっては頭に入りません。
文字だらけの方が入る子もいるのですが,この子はそういうタイプではないのです。
だからこういう勉強をすると、この子は頭に入らないのです。
ファイのオンライン授業では、このように宿題で実施したノートを送ってもらい、1つ1つ丁寧に見ています。
そしてノートの問題点や理解の甘い部分を指摘していきます。
この子の場合は、このまとめをした部分をちゃんと理解しているかを口頭で確認していきました。
やはり結果ボロボロ。
まとめた後に解いた問題も大して出来はよくありませんでした。
そこで単に教科書や参考書で調べた事をコピーするだけでは頭に残らない事を指導しました。
冷静に考えれば当たり前の事なのですが、人間の脳はそもそも文字を覚えるようには出来ていません。
例えば本を読んだ時、その本の内容やあらすじを説明出来ても、一語一句間違えずに読み上げる事は余程練習を積まなければできません。
「その本の内容を教えて」と聞いた場合、通常頭の中にその本の内容がイメージとして頭に思い浮かんで来るはずです。
これは頭の中では文字として記憶しているのではなく、イメージとして覚えているためです。
よってテキストの内容を右から左にコピーしただけでは頭に入る訳がないのです。
そこで、この子にはイメージにする事を指示しています。
文字で書くにせよ、一度読んで頭の中に入れ、それをイメージとして思い出しながら、自分の言葉で文章にする。
この「自分の言葉で」というのが最重要ポイントです。
正確に覚える必要が出てくれば、その時に補足していけばいいのです。
全く知らない物を覚えていく段階で、辞書のように網羅的に覚える必要はありません。
独自の解釈を入れたまとめたノート
これは過去問で日本の工業の単元を間違えた時の直しです。
ここには見開き1ページしか載せていませんが、実際には10ページにわたってまとめられていました。
面白いのは、自分で自動車の会社と特徴について調べてまとめているところ。
ノートの写真だと見えにくいので、一部分を書き起こしてみます。
- 日産
GT-R:力強い速さが魅力
フェアレディZ:美しい形がカッコいい
アルファード:文句なしの広さがいい - トヨタ
プリウス:燃費が良くて静か - ホンダ
技術のホンダ。エンジンが凄い。 - スズキ
軽自動車といったらスズキ!そこ(近所)にあったスズキのお店は潰れた。 - いすゞ
は〜しれはし〜れ〜いすゞ〜のトラック〜♪
特徴掴んでて面白い(笑)
そしてしっかり地図上でどこに位置するかも書き込んでまとめています。
一見無駄な気がしますが、こうやって自分なりにわかるイメージをつなげていくことが、本質的な学習につながります。
やってみればわかりますが、ここまでやればそう簡単に忘れないものです。
過去問で理解が甘いところは1つずつ丁寧に!
焦っても合格できません。
忘れてしまうかも知れない知識を入れるより、確実に覚えていられる知識を入れる方が、入試では使えるのです。
その確実に覚えていられる知識は、子どもの経験に左右されますが、探っていくと何かしらあるものです。
これについては、ファイでは月1万円で学習アドバイザーを行っています。
日常生活から、お子様の様子を伺い、興味がありそうな部分から学力へとつなげていくのです。
すると、ただ話していく中で学べるようになっていきますので、机上の勉強に向かったときに、定着しやすいというわけです。
説明できないノートはただの映え
ただ単に
「ノートをもっと綺麗に書きなさい!」
と言っても、中身が伴わないと点数には結びつきません。
それにこれはファイが十八番としている指導ですから、見た目は真似出来ても、質までは真似できません。
武道と同じで、やはり実演が伴って初めて学べるものでもありますからね。
もちろん見た目を真似していく事も大切です。
その点において、「もっと綺麗に書きなさい!」と促すこと自体は大切です。
参考となる見本のノートを見せるのもいいでしょう。
しかしそれは単に地ならしをしたに過ぎません。
そこに足場を組んで、実際に組み立てていって、初めて成績に結びつきます。
でもやってみると、実際には自分には合っていないことも多いのです。
だから真似するだけではうまくいかないんですね。
ご自宅でノートをチェックして、ある程度綺麗にかけているようでしたら、ノートの中身を本当に理解しているかを聞いてみるといいでしょう。
何も親がその勉強の内容を理解している必要はないので心配いりません。
大切なのは、子どもがちゃんと自分の言葉で説明できるかどうかです。
答えられず、単に綺麗なだけのノートは伸び悩む可能性が高いでしょう。
ノートチェックはご家庭でも簡単にできます。
成績表を見るより簡単ですよ。
みんな成績が下がると一生懸命成績表とにらめっこしますが、あの中に伸びるヒントは大して隠されていません。
今の成績を作った原因はノートにあるといっても過言ではないのです。
だから、そういう時程、ノートをしっかりと見てみて下さい。
ノートには、性格も、精神状態も、理解度も、伸びる見込みも表れています。
ノートの見方についてはこのブログでも話していますが、専門家に見てもらいたいという場合は、学習法診断をご利用下さい。
性格や精神状態を踏まえ、解き方まで考えた、お子様に合った勉強法、伸びるノートの作り方をご提案致します。
どうすればいいのか、ハッキリするでしょう。
「いくらノートを綺麗に書きなさいと言っても、綺麗に書かないんですが、どうしたらいいでしょうか。ミスも多いですし、綺麗に書くだけでも点数は上がると思うのですが…」
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