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子どもが朝起きられない時の対策
子どもが朝起きて来ない
小5の男の子のお母さんからの相談です。
この手の相談は、冬によくあるのですが、春から夏にかけても出てくることがあります。
冬なら寒いだけなので、暖かくなってくると起きられるようになってくるものです。
しかし暖かくなっても起きられないとなると、他の原因が考えられます。
実はこの子の場合、朝の気分の問題が大きいことがわかったのですが、一般的なお話もしておきましょう。
音で起こす
一般的に、危険な思いをした時の音は記憶と結びつきやすく、眠っているときでも反応を示します。
それを活用して、危険な思いをした時の音を目覚ましとして再生することで、脳が覚醒してすぐに起きられるようになります。
その代表例が「蚊の羽音」です。
あのぷーんという独特な音は、蚊に刺されてかゆい思いをした方なら作用することが多く、多くの人に通用しやすい音と言えます。
しかし、蚊の羽音が聞こえても実際には蚊ではない、と認識することを繰返すと、脳が危険な音ではないと判断するようになるため、しばらくすると起きられなくなります。
要するに慣れてしまうのです。
よって、どうしてもと言う時に使うだけにして、日常的には根本的な解決策を探るのがおすすめです。
起きてこないときのチェック項目
- 睡眠時間は6~8時間取らせている。
- 重度の低血圧などではない。
- 重度の貧血などではない。
- 22時~24時の間に床に入って寝ている。
- 夜寝る直前に夜食を食べさせていない。
以上で全て○がつけば、意識の仕方で改善できる可能性が高いでしょう。
もし1つでも○がついていない項目があるなら、まずは生活から改善していく必要があるでしょう。
24時までには寝かせる
割と中学受験に熱心なご家庭では、夜中まで親が付き合って勉強していることが多いようですが、いくら勉強が終わらなくても、24時までには寝かせましょう。
なぜなら、一般的には6~8時間がベストな睡眠時間という結果が出ているからです。
もちろんこの結果というのが、成績が良かった子にはこの睡眠時間が多かったというだけなので、あなたのお子様に合っているかはわかりません。
しかし合っているかどうかは、まずスタンダードなことを試してみて、それでもダメなら改めて考えればいいだけの話です。
よって、まずは6~8時間の確保をしっかり取るところから始めていくといいでしょう。
と考えると、24時以降に寝ると、6時間の睡眠時間確保ができません。
確かに明日までなどというものは何が何でも終わらせなければいけませんが、睡眠不足に振り回されて日中眠くなって授業を聞き漏らすようでは本末転倒です。
日中の過ごし方をしっかりと考えさせるべきです。
また、成長ホルモンは質の高い睡眠をとることで出ると言われています。
これが出るのは入眠から3~4時間と言われているので、遅くても問題ないのですが、学校がある以上、やはり生活のバランスを考えさせたいところ。
そのため24時には寝かせる方がいいでしょう。
夜食は寝る1時間前以降食べさせない!
食べたものは消化するのに時間がかかります。
夜寝ている間ももちろん内臓は起きて活動しているのですが、あまり重たいものをガッツリと食べさせると、内臓の負担が大きくなり、結果的に脳も体もあまり休まらない睡眠となってしまいます。
よく勉強の合間に夜食を持っていくシーンがドラマや漫画で描かれますが、寝る1時間以内の夜食は食べさせない方が良質な睡眠に結び付くはずです。
コーヒーやエナジードリンクを飲ませない!
コーヒーやエナジードリンクに入っているカフェインは量が多く、成長期の子どもにとっては過剰摂取になる可能性があります。
また、カフェインは次第に慣れてきて効果が感じられなくなってくるため、よりカフェインを求めて摂取してしまう可能性があります。
カフェイン自体の摂取が全くいけないわけではなく、過剰摂取が問題なので、少量であれば問題ありません。
細かいことを言えば、お茶にもカフェインは入っていますからね。
子どもの場合、カフェインの効果が強く出すぎるのです。
そのため、気にしすぎる必要はありませんが、子どもがカフェインを求めて主体的に摂取できるような状況は避けるべきでしょう。
言い方を変えると、カフェインを摂取させてまで勉強をさせるべきではないということです。
朝起きたら日光を浴びる!
うつ病の原因の1つに日光に当たっていないためという研究結果が出ています。
まだよくわかっていない部分も多い日光の効果ですが、生活のリズムに一役買っていることはわかっています。
特に脚の裏側(足の裏ではないですよ!)のふくらはぎやひざ裏に日光を当てると、生活のリズムが整うそうです。
時差ぼけの治療にも使われています。
今は新型コロナウイルスの影響もあるため、安易に外を歩き回るわけにもいきませんが、土日や休日に勉強で引きこもりになってしまうのも考えものでしょう。
やはり陽が出ているうちに外を出歩くゆとりを持ちたいところですね。
ぐっすり眠るエアコンのタイマー設定
意外とおろそかになりがちなのがこれ。
夏は特に寝苦しくなり大変ですよね。
エアコンをタイマーでセットして寝る方も多いと思いますが、これも設定時間一つで睡眠の深さが大きく変わります。
エアコンをつけっぱなして寝ると良くないと言われた時代もありましたが、どんどん気温が上がっている今は、もうエアコンなしで寝るのは下手したら死に直結します。
高齢者では死者も出ていますからね。
子どもは死ぬまで行かないかもしれませんが、睡眠の質が大きく左右されるのは確かです。
タイマーをつけるなら、大体3時間がいいと言われています。
ほとんどの人がタイマーを1時間にしておくらしいのですが、エアコンが切れた後に室内も体温も上がり始めて結局寝苦しくなるのです。
3時間までつけていれば、体温の上昇が緩やかになり、ちょうど6時間後くらいに目覚めやすい体温に近づいていきやすくなります。
なお、冬の場合はこちらにまとめてあります。
目覚ましは1つだけにする
「一つじゃ起きられない!もし起きられなかったらどうするの!?」
という方もいらっしゃいますが、いくつもつけているから起きられないのです。
まだ次があるって考えてしまって、起きる気を奪っているのです。
そこで、次はない限界ギリギリの時間のみにしてしまいましょう!
「この目覚ましでおきたらヤバイ!」
そういうギリギリの時間です。
こうすることにより、始めは遅刻ギリギリのオンパレードになりますが、ちゃんと起きなければまずいことを意識していれば、次第に目覚ましがなくても起きられるようになります。
なお、すでに遅刻常習犯で、遅刻に対して抵抗がない子には使えません。
「先生は?」
とよく聞かれますが、私は目覚ましを使っていません。
大体3~5時間くらいで目が覚めるので、時間に関係なく、目が覚めたら起きています。
睡眠障害なんじゃないかという話もありますが、睡眠に執着がないため好都合(笑)
次の日に着るものを用意してから寝る
次の日の朝、最初にやることが決まっていないと起きられなくなります。
そこで、必ずすることを予め準備しておき、それを起きたらすぐにやるようにする。
これだけで起きやすくなります。
よく使われるのは、次の日の朝すぐに着替えられるように、着替えを準備しておくというもの。
着替えを親が準備してしまっては意味がありません。
子どもが自分で用意することに意味があります。
自分で用意することで、次の日の朝やることが明確になりますし、目的意識を育てやすくなります。
また、着替えは身体を動かすため、目が覚めやすくなる効果もあります。
布団の中でもできることでは意味がないので、身体を意図的に動かさなければならないことにしておきましょう。
起こそうとしない
人に頼ると自分で起きる必要がなくなりますので、起きられない体質になってしまいます。
やはり自分で起きるという意識が大切なのです。
「ねむーい」って思っているようでは本当に眠くなってしまうのです。
朝起きてやるべき事がある人なら、どうしても目が覚めてしまいます。
この辺は意識で改善できる部分です。
例えば次の日の朝やるべきことを書き出させてから寝かせる。
このように次の日に対して意識を持つ工夫をすると、朝の目覚めに一役買います。
親の気分も影響する
中学生くらいになってくると、友達や学校の影響も受けるため、親以外の要素も朝の気分に影響してきます。
思春期もありますしね。
しかし小学生くらいまでは、親の気分が朝の子供の気分に影響を及ぼします。
例えば、親が朝からイライラ、ガミガミ。
これでは子どもは起きたいとは思いません。
また、思春期の子にありがちなのが、学校や塾、友達との関係。
いわゆるやる気が出ないというやつです。
この状態の場合、「起きなさい!」と言った所で起きられないため、起きられない原因をしっかり話を聞いて解決していく必要があります。
へたしたら不登校になる可能性もありますので、怒らずに、落ち着いて聞いてあげて下さい。
その問題に対して前向きに考えられるようになると、朝も起きやすくなってくるものです。
また、朝気分よく起きられるように、楽しい雰囲気を作っておくのも、親の役割といえるでしょう。
通称、修学旅行効果と言われる、修学旅行や楽しいイベントの当日は目覚ましよりも早く起きてしまう現象は、やはりその日楽しいことがあるから起きられるものです。
気象が影響している場合もある
偏頭痛を抱えている人は経験があると思いますが、低気圧の影響で頭痛を及ぼす場合があります。
これは子どもでも同じ。
しかも子どもは気象が関係しているなんて知りませんから、頭が痛いことを気分と直結して、「昨日〇〇があったから頭が痛いんだ」と思い込みを起こしてしまうことがあります。
ドラマやアニメでも頭を抱えるシーンはよく出てきますからね。
この思い込みは結構バカにできないため、気分とは切り分けてしまうことで、朝起きられない原因を断ち切れる可能性はあります。
つまり、偏頭痛が原因で起きて来られないのであれば、気象のせいにして、気分とは切り離す。
気象なら不可効力ですからね。
もちろん気象が原因でも対策はできますから、医者に相談の上、頭痛薬を使うなり処方された薬を使うなりで対処はした方がいいでしょう。
この場合、怒ったところで何の解決にもなりませんので、冷静に対処しましょう。
絶対真似させてはいけない例
以前オンライン授業では、こんな塾生がいました。
中学生の女の子の話です。
夜は12時には寝かせていたのですが、3時には目が覚めてしまうので、学校に行くまで結局勉強するという生活。
つまり毎日3時間睡眠。
これを目覚ましなしでやってしまうのです。
これは間違いなく絶対合格したいという本人の意思の強さです。
人間の意志というのはかなり生活にも影響を及ぼすもので、こんなこともできるようになってしまうのです。
ところが彼女。
ある日湯上りに髪の毛を乾かそうと洗面所に行って、そこでそのまま意識を失ってしまい、朝母親が起きてきて絶叫!
それで目が覚めたそうです。
のぼせたのもあるのでしょうが、意識が体力の限界を超えたのでしょう。
ここまでいくと、自己暗示の世界ですね。
でもこの自己暗示を活用すると、思い込みから脱却させることもできるようになります。
できると思わせる暗示のかけ方
テレビを朝つけている人なら、朝の占いを見たことがあるでしょう。
血液型占いだったり、星座占いだったり、ニュースのちょっとした合間に流れますよね。
そんな時、自分の星座や血液型の運気が一番よかったら、ちょっと得した気分になりませんか?
ラッキーカラーは赤と言われれば、その日一日赤を意識してしまうことも。
さて、そんな占いですが、私は正直な所、信じてはいません。
信じてはいませんが、いい結果だった時には信じるようにしています(笑)
経験ある方も多いのでは?
これを子どもの教育に使うと、うまくいくこともあるのです。
一見すると信じていなさそうに見えても、ちょっと意識すると気分に影響を及ぼすのです。
こんな実験をした人がいました。
当たっていると嬉しくなって意識してしまう心理
学生に「テストの結果であなたの性格を診断する」と嘘を付き、簡単なテストをした後に、事前に用意していた下記の文章を見せてどういう反応を示すかという実験を行いました。
あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
Forer, B. R.(1949). The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility. Journal of Abnormal and Social Psychology, 44, 118-123.
1948年にアメリカの心理学者であるバートラム・フォアラーが行った実験です。
この文章を見せられた学生の多くが、「自分に当てはまっている」と答えたのです。
当然いろいろな性格の人が受験しているので、たまたま全員同じ性格だったとは考えられません。
この中の文章の一部が自分に当てはまった。
ただそれだけの話です。
でもその一部当てはまったのが他のもあっていると思い込んでしまって、結果として自分の性格と合っていると思い込んでしまうのです。
これをバーナム効果といいます。
占いもこのバーナム効果で説明ができてしまうのです。
あれはその星座や血液型の人の運勢を占っているとは言えません。
でも自分の星座や血液型の名前が出てくると、意識はしてしまうものです。
そしてそれがいい結果だと嬉しい気分になるのも確かなのです。
絶対ウソ!そのぐらいでちょうどいい
さて、これを子どもの教育に応用して、何か思い込ませるようにすると気分が乗りやすくなります。
「今日のラッキーカラーは青なんだって。青を持っていると集中力が上がるみたいだよ!」
とか,
「紫が好きな子は成績が伸びやすいみたいだよ!」
とか。
デタラメですけど、もっともらしく適当な事を言っておくと、「嘘だー(笑)」とか言いながらも、気分よくなって頑張るものです。
私なんてもっと適当ですよ(笑)
「ダメだー先生。全然解けない!」
「おかしいなぁ。誕生日いつだっけ?」
「4月1日だけど…」
「でしょ?4月1日生まれの女の子は、図を綺麗に書いて考えれば難しい問題も解けるって言われてるんだけどなー。」
「なにそれ。意味わかんないよww」
こんなノリです(笑)
もちろん適当!
塾生も嘘だとわかっています。
嘘だとわかっていても、「誕生日」「男の子」「字が汚い」に当てはまっていると、自分の事だと意識してしまい、「難しい問題も解ける」と思ってしまうのです。
まぁ「字が汚いから解けてないんだよ。」っていうヒントは与えてはいますが(笑)
それでもとりあえずやってみようとするものです。
そして実際解けてしまうこともしばしば。
思い込みって凄いですね!
嘘かどうかは関係ない。信じるかどうか、ただそれだけ。
あからさまなウソだろうがそんな事は関係ありません。
できると思い込む要素を与えてあげる事が重要なのです。
「こんな点数じゃろくな学校に行けないわよ!」
こういう事を言っていると、
「私はろくな学校に行けないんだ。」
と、逆の暗示をかけることになってしまいますのでご注意を。
暗示のかけ方自体は慣れればとても簡単なのでぜひご家庭でお試し下さい。
ただし、性格を変えるには相当な根気が必要になります。
半年やそこらでは変わりません。
子どもと向き合って、じっくりと進めて下さい。
もしうまくいかなければ、ファイのオンライン授業では、月1万円で声かけのアドバイスも行っておりますので、ご連絡下さい。
こんな声かけをすれば、子どもができると思って頑張ってくれるんだ!
というのがわかってきますよ。
「いつもありがとうございます。今日は朝の様子について相談したく、ご連絡させて頂きました。子供が朝何度起こしても起きず、目覚ましもなりっぱなしになっています。私も朝仕事のため、子供よりも早く出てしまうのですが、先日はそのまま寝てしまったらしく、学校から連絡が入りました。なんとか自分で朝起きられるようにする方法はありませんか?」
中学受験なし 小5 男子母