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質問数と学力が比例するわけではない
今回は大手のとある集団兼個別指導塾から転塾して来た子のお話。
いわゆる集団塾と個別指導塾の両方の形式で展開している塾です。
質問室も使うことができ、授業時間外でも質問することができました。
今となっては個別指導併設が普通になってきたため、成績が伸びないとついつい促されるがままに追加しがちですが、おすすめできません。
なぜなら失敗する可能性が高いからです。
そんな個別指導塾の弊害と失敗が顕著に表れた例を紹介しましょう。
この子は絵にかいたように素直でまじめな子だったため、割と質問室に張り付いてよく見てもらっていたようですが、全然成績が上がらず、四苦八苦していたとのこと。
非常に人懐っこい子で、毎回のように質問しに行っていたので、塾の先生はみんなこの子のことを知っている状況。
みんな仲良くしてくれて、あれこれ相談にも乗ってくれて、普段から勉強もよく見てくれていたのですが、それでも成績が下がり続けてしまいました。
そんな時にファイのオンライン授業に通っているという友達から、ファイでは答案分析というのをやってくれているというのを聞き、通っていた塾の塾長に「私も答案分析をやって欲しい」とお願いしたそうです。
この時点ではファイのオンライン授業を調べて知っていはいたものの、塾を変える気はなかったため、問い合わせはしていません。
そのため、まだファイの答案分析というのがどういうものか知りませんでした。
そのためとりあえず問題と答案を持って塾へ行き、どうすればいいかを相談したそうです。
塾長は快く引き受けてくれて、
という話をしてくれたそうです。
そして次のテストに向けた対策も話してくれたそうです。
その時、この子は
「なるほど。よし、頑張ろう!」
と思ったそうです。
ところがそのまましばらく続けてみたものの、やっぱりしっくり来ない。
いつもと変わらない気がする。
そこでその子は、
「やっぱりファイの学習法診断を受けてみよう!」
と思ったそうです。
親に話して見ると、親もファイのオンライン授業のブログは見たことがあり、気にはなっていたとの事。
こうしてファイの学習法診断を申し込むことを決意したそうです。
このままじゃ変われない!勝てる気がしない!
ファイで学習法相談をしたとき、この子も親も相当衝撃を受けたそうです。
それもそのはず。
提出したものは、通っている塾の塾長に持って行ったものと同じものだったそうです。
「同じ答案を見てるはずなのに、こんなことまで見抜けるの!?」
と話していました。
診断ではお子様の性格や勉強スタイル、考え方を見ていきました。
中でも驚かれたのは、子どもの性格と口癖、テスト勉強の手順、そして塾の先生に言われて来たことがドンピシャだったことのようです。
そして、塾に入れていれば成績が伸びると思っていたけれど、そうではないんだって事が身に染みて理解できたそうです。
また、この子も今まで自分がやってきた勉強がなんだったのか、わからなくなったそうです。
親も子もそのまま数週間悩みました。
親は初回納入金が高い事を。
子はファイについていけるのかどうかを。
この子は相変わらず塾の先生には良くしてもらっていたので、塾は変えたくないと思っていたのですが、とうとう親にこう言ったそうです。
「今の塾の先生が一生懸命教えてくれているのはわかってる。楽しいし、わかるまで教えてくれるし。でもこのままじゃ私は変われないと思う。それに、今のままだとファイの子たちの、あの勉強のやり方に勝てる気がしない。」
これを聞いて、親もファイで学ばせる決意を固めたようです。
子どもからこのように言ってくるってすごいですよね。
私も後日この話を聞いて感動してしまいました。
子どもの変化のタイミングを逃さない
面談では必ずお伝えしているのですが、ファイのオンライン授業では親が無理矢理勉強させる指導をお断りしています。
子どもが頑張りたいと言っている場合のみ応援します。
これは一つのけじめです。
子どもは自らの意思で決定し、親がその意思を尊重し、認める。
だから子どもにも責任感が生まれますし、頑張ろうとする気持ちが強くなります。
これは塾の使い方として、一番最初の大切な心構えの一つです。
焦らず、慌てず、変化を待つのも大切、ということです。
結果はすぐに出ない
なお、この子はその後、成績が上昇するまで1年半という期間を要しました。
これは予め面談でお話した通りだったので、保護者の方は不安に駆られながらも見守って下さいました。
なぜそんなに時間がかかったのか。
その理由は従順さと習慣です。
この子は小さい頃からずーっと先生に言われたことを「はい!はい!」と言ってやり、褒められ続けてきたのです。
いわゆる典型的ないい子。
道徳の教科書に出てきそうな模範的な子。
そのため、先生に言われたことそのままやるのが当たり前になってしまっていて、中身がスッカラカンだったのです。
宿題も形式的、ノートも形式的。
勉強時間も人との付き合い方も全部形式的。
言われたことを言われた通りやるだけ。
それがこの子の生きてきた世界だったのです。
そしてこれが個別指導における最大の弊害でもあるのです。
信じやすい子は、個別指導で教えられると鵜呑みにしてしまう傾向が強くなるのです。
これが災いして自分で考えるという習慣が身につかず、勉強は覚えるものだという考え方をしていたので、私はこの子に疑わせるところから指導していきました。
例えばこんな指導をしています。
教えるときにわざと間違える
ファイの子は自分で考えることが当たり前になっており、先生が間違えるとすぐに指摘をしてきます。
「先生、違いますよ。〇〇じゃないですか?」
しかし考えていない子は、ノートを聞いたままに写し取ってしまうため、先生が間違えていることに気付きすらしないのです。
この子もそんな状態でした。
そのため、この子を教えるにあたって、通常の倍以上、わざと間違えて見せるようにしていました。
後々この子はこのことについてこう話しています。
「最初は間違いばかりの先生で、こんな先生で大丈夫なのかと思いましたよ。でもある時、みんなは間違いに気づいているのに、私だけ先生の間違いに全然気づいていないことに気付いて、ショックを受けました。頭使ってないって、これのことなんじゃないかって。」
これで3か月。
でもいくら疑うことができても、自分で確証のある答えを導けなければ意味がありません。
そこでこんなこともしています。
解答にわざと間違えた解答を混ぜる
これもファイのオンライン授業では日常なので、慣れている子にとっては何てことはありません。
「自分はこう考えた!」と自信を持って解いているので、答えと違えば検証します。
それでも合わなけば聞いてきます。
ところが頭を使っていない子は、解答・解説は絶対に正しいものと信じて疑っていないのです。
この子もこの状態でした。
そのため、家で宿題の丸付けをしてきても、自分の答えが間違っていると思っているので、間違えた解説をそのまま信じて持ってくるのです。
これも自分の答えが合っていると自信をつけさせ、理論的に解答を検証し、解答が間違っていると言えるようになるまで粘りました。
これで1年。
他にもこんなことをやりました。
ディベート、禅問答は思考力を鍛える
本格的なディベートをやったているわけではありません。
日常の雑談の中で出てくる考え方に、わざと反対意見や禅問答をぶつけて考えさせるだけです。
例えばこんな感じで他の子の会話を強引に無茶ぶりします。
「ねぇ、先生聞いてよ!今日学校で、男子が掃除サボってたからって、クラス全員残されてお説教されたんだよ?ありえなくない?マジ最悪!」
「そう、それは大変だったね。ところで何で君は掃除をサボらなかったの?普通一緒にさぼるでしょ。ねぇ〇〇?」
「え!?え…え~っと…私は…」
みたいに最初は全く会話になりませんでした。
でもこれも続けていると、ちゃんと自分の意見や考えを言えるようになるのです。
これも1年近くかかりましたが、最終的には私を論理的に非難するまでに成長しています。
一年半かかって大逆転!
時間はかかりましたが、自分の考えを持てるようになって、勉強のやり方はもちろん、授業の受け方、人との会話もガラッと変わりました。
実は成績に関しては転塾してきて半年は下降、その後1年間は現状維持してるかなーぐらい。
ところが1年半後に一気に急上昇。
あっという間に今までの自己ベストを抜き去って伸びていきました。
文章を書く力もつき、作文は校内で最優秀章に選ばれ、さらに市の作文のコンクールでも1位を取りました。
子どもの伸び悩みの原因は様々です。
そしてその解決法は1つではありません。
やる気があれば解決できるというものでもありません。
マニュアル通りのやり方には限界があるのです。
もちろん集団塾で、その塾のシステムにしっかり乗れているのであれば構いません。
塾もそれで実績が出せるからそういう方法を取っているのです。
しかし、実は実績を取る2割の子のために、8割がカモにされている現状を忘れてはいけません。
講師の先生がいくら熱心でも、実績を求める塾である以上、それが現実なのです。
そしてそういう塾の場合、マニュアル以上のことはできません。
でもこの子のようなケースの場合、その子としっかり向き合わなければ、根本的な改善はできないのです。
今の学習スタイルに手詰まりを感じているなら、まずは学習法診断をお試し下さい。
入会不要で、あなたに必要な学習法を診断することができます。
「漢字は取ろうね。」
「計算ミスしちゃったか。」
「宿題をちゃんとやっておこうね。」