目次
衆議院選挙のポイント
入試必須の衆議院選挙
菅政権がいつ解散するのか、オリンピック後か、という話題がちらほらと出ていますね。
ファイでも選挙は大人気の話題の1つ。
まだ解散もしていませんが、衆議院選挙のたびに話す事なのでまとめておきましょう。
選挙があると入試にも出題が一気に増えるぐらい重要な内容です。
一方中学受験でも高校受験でも、選挙を扱うのは公民の最後の方。
つまり受験直前。
しかも身近なこととはいえ、選挙権がないため全く実感がない。
そのため、習う前にどれだけ政治に関する話題に触れていたか、がそのまま成績に反映される単元なのです。
子どもが触れる機会があったら、すかさず話題にしていきましょう。
衆議院、参議院って何?
衆議院と参議院は日本の立法機関である議院です。
受験にも出る主な違いは以下の通り。
衆議院 | 参議院 | |
議員定数 | 465人 | 245人 |
任期 | 4年 | 6年 ※3年ごとに半数を改選 |
被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
解散 | あり | なし |
優越 | あり | なし |
ここでよくわからなくなるのが、被選挙権という言葉。
「被」とは「かぶる」という意味の漢字なので、選挙を受ける権利、つまり立候補をする権利という意味です。
いつ選挙するの?
衆議院は参議院とは異なり、解散があります。
解散というのは、総理大臣が「解散する」と宣言するものです。
よって、菅首相が解散の宣言を出すか、任期満了となる2021年10月21日前30日以内に行われることになります。
とはいえ、現行の日本国憲法下における選挙で衆議院が任期満了となったのは1度しかないので、任期満了前に解散となりそうな気もしますね。
衆議院選はどうやって投票するの?
衆議院の定数は465人で、その内289人が小選挙区制で選出し、176人が比例代表制で選出します。
この小選挙区制と比例代表制がまたややこしい・・・
実際にお住まいの地域の選挙で話をしなければ、あまりイメージが湧かないのです。
選挙が始まったら、選挙区や比例代表については意識して話をしてみて下さい。
小選挙区制
日本全体にまんべんなく人が散らばっていればいいのですが、現実的には人口が集中しているところと、少ない所とがあり、まばらです。
そのため、人口が同じくらいになるように全国を区分けして、その地区ごとに選出する方法を小選挙区制といいます。
どう区分けするかは10年ごとに人口を見直して決めています。
例えば、主要都市の人数は以下のようになります。
- 東京:25人
- 千葉:13人
- 埼玉:15人
- 神奈川:18人
- 大阪:19人
- 兵庫:12人
- 京都:6人
そしてこの人数で、さらに細かく選挙区をわけていきます。
例えば、東京の場合は東京全体で25人なので、東京の中で人数が同じくらいになるように25個に区切り、それぞれの地域で1人ずつ選出します。
千葉県なら13人なので、13区に、埼玉県なら15人なので15区に分けて、それぞれ1名ずつ選出していきます。
そのため、選挙では立候補している「人」に対して投票していくことになります。
これが結構重要なのですが、割とわかっていない子が多い(^^;
⇒ 小選挙区の区分け
比例代表制・ドント式
人ではなく、「政党」に対して投票し、ドント式という計算方法で議席数を配分します。
このドント式というのが入試でも定期テストでもよく狙われますね。
簡単に説明すると、以下のようになります。
それぞれの党が獲得した投票数を÷1,÷2,÷3,÷4,÷5…とした数を書き並べ,数字が大きい順に定数分だけ議席を党に割り振る方式です。
例えば議員定数を6人として考えた場合,以下のようになります。
A党 | B党 | C党 | D党 | |
得票数 | 150 | 90 | 50 | 40 |
÷1 | 150 | 90 | 50 | 40 |
÷2 | 75 | 45 | 25 | 20 |
÷3 | 50 | 30 | 16.6 | 13.3 |
獲得議席数 | 3人 | 2人 | 1人 | 0人 |
このようにして全国の政党に対する投票を集計し、政党ごとに何人当選させるかを決めていきます。
さて、当選人数が決まると実際に誰が当選するのか。
これは衆議院選の場合、政党が予め提出しておいた候補者名簿に記載された順番通りに当選していくことになります。
これを拘束名簿方式といいます。
ここまでは入試で問われませんが、ファイの塾生は突っ込んで聞いてきたため、簡単に解説しておきます。
衆議院選挙で採用されている拘束名簿方式というのは、名前を書いた順番通りに当選していくことになります。
それに対して参議院選挙で採用されている非拘束名簿方式は、個人にも投票できるため、個人に対する投票数で順位を決めて当選していくことになります。
なお、政党としては絶対に当選して欲しい人を当選させるために、拘束名簿方式のように予め順位を決めて優先的に当選者を決めることもできます。
この枠のことを「特定枠」と言います。
小選挙区制、比例代表制のメリット・デメリット
選挙制度が違うということは、それぞれメリット、デメリットがあるということです。
ただ丸暗記するのではなく、これをしっかり押さえておきたいところ。
⇒ 開成中でもこの部分を問う問題が出題されました。
小選挙区制のメリット・デメリット
小選挙区制は全国各地、それぞれの地域から確実に1人ずつ選ばれることになります。
つまり、日本全体としてみたら話題にもならないようなローカルな問題でも、その地域から当選した議員が取り上げて問題にしてくれる可能性があるのです。
また、人口が集中しているところからの議員ばかりではなく、日本全国にまんべんなく議員がいることで、一部地域に偏った政策を防ぐことができるようになります。
逆に全国を区分けするということは、どうしても議員の数が多くなってしまうということでもあり、人数を同じくらいにして区分けするということは、人口が少ない地域は広い範囲で1人しか出せないことになります。

開成中で出題されたのは、まさにこの部分についてでした。
イギリスの下院は小選挙区制のため、全国各地から選出することになります。
そのため、スコットランドという地域では、スコットランド国民党が圧倒的な支持を得て、議席数を大幅に伸ばすことに成功しました。
もしこれがイギリス全体での投票となれば、スコットランド国民党を支持する人は少ないでしょう。
これは小選挙区制度、かつスコットランドという地域で圧倒的な支持を集められたことが要因です。
比例代表制のメリット・デメリット
政党というのは、同じ政策、同じ考えを持った集団です。
そのため、自分と同じ考えの政党が議席数を確保してくれれば、政治にその意見が反映されやすいことになります。
ところが、小選挙区制だけでは小さな政党は全国各地に立候補者を擁立することが難しく、小選挙区で勝った人しか当選できないとなると、大政党には太刀打ちできません。
そこで「政党への投票」という制度を取ることで、人数が少なくても政策や考えに賛同してくれる人の票を集められるようにしたのです。
これにより、例えば5人しかいないような小さな政党であっても、全国から政党に対する支持が集まれば当選できるようになります。
デメリットとしては、小さな政党が乱立すると、政治が不安定になりやすいこと。
最も小さな党は影響力も少ないので、なかなかそういうデメリットを感じるようなことにはなりませんが(^^;
開成中 2021年 社会の出題内容
対象学年
選挙の仕組みを、用語も含めて深く知っていなければ答えられないため、一般的には小6で公民を勉強した子でないと答えられないでしょう。
しかし、原理自体はそこまで難しくないため、選挙のときに子どもと話してある程度知っている子なら、小6前でも答えられるでしょう。
問題
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特定の地域で多数の支持を得られている
子どもに教えるときのポイント
今回の開成中の入試では、イギリスの選挙だけではなく、アメリカの選挙制度も題材として出題されました。
このように聞くとイギリスやアメリカの選挙制度も勉強しておかなければいけないのかという気がすると思いますが、実はそうではありません。
確かにイギリスの選挙について予備知識があるに越したことはありません。
しかし、問題の本質はあくまで小選挙区制であり、イギリスの下院の選挙も日本と同じ小選挙区制だったので、題材にされただけです。
つまり、日本の選挙をしっかり理解できていれば、題材はイギリスの選挙制度であっても、解けてしまうのです。
そして今回の試験で題材にされたのは、時事問題との関係もあったため。
何もないところに降ってわいた問題ではなく、時事問題として話題になっていたから入試でも題材にされたのです。
ファイの時事問題は入試問題を予想しているものではなく、あくまで本質的な学習を目指すための一環ではありますが、それらの中から出題されることも多く、
「ファイのブログに書いてあることが出た!」
という嬉しいメッセージを多数頂いております。
ぜひご活用下さい。
また、ご家庭でお子様と話せれば全然問題ありませんが、親ではうまくいかない場合もあります。
そういったときには、ファイへご連絡下さい。
子どもには難しい時事問題でも、子どもが理解できるようにお話致しますよ(^^)/
開成中でもブログと同じ内容が出題されました!
イギリスの下院の選挙が題材として出されており、その中で小選挙区制についての問題が出題されました。
この問題は、ファイの時事問題とこの選挙に関する記事で全く同じものを取り上げていました。